自沈

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自沈(じちん)は、船舶もしくは艦艇を、船長艦長の命令の下、乗組員、またはそれに類する者の手によって、意図的に沈没させること。

軍用艦艇の場合は“自沈処分(じちん-しょぶん)”と呼ばれることもある。

概要

主に航行不能に陥った軍艦に対して機密保持、鹵獲防止などを目的として行われる。

また、港湾防衛戦の折、敵艦船・揚陸艇などの湾内侵入・上陸を防ぐため、湾口等に予め味方艦艇を多数自沈させ、水面下にバリケードを作る目的で行われることがある。この場合、輸送船や旧式軍艦を自沈させる場合が多い。これを戦略として用いた例は、日露戦争での旅順港閉塞作戦第一次世界大戦でのゼーブルッヘ閉塞作戦である。

民間の船舶の場合、かつては火災等により大きく損傷した船舶を曳行、修理する費用が割に合わないとして、事故地点が外洋の場合は自沈させる例があった。これらは保険の適用審査が厳格になるに従って行われなくなっていった。
外洋の航路上で航行不能になった船舶を、漂流による二次災害(他の船舶への衝突事故や、漂流した後の座礁)を防ぐために自沈させた、という事例も存在する。

廃用船舶の処分法の一つとして、船体を人工漁礁として利用するために行われた例も多いが、漁礁化のための自沈は、近年では海洋汚染防止や鉄鋼資源の有効活用の観点もあり、実行された例は少ない。

犯罪組織もしくは密航組織がそれらの目的にもちいた船舶を証拠隠滅のために自沈させる例は多く、カリブ海沿岸では麻薬戦争に関連して、洋上からの麻薬密輸に用いられた船艇が自沈させられた後に発見される事件が多数発生している。中には、麻薬組織が自作した潜水艇が自沈後に発見された例もあった。

軍事における自沈

史上最大の自沈は、第一次世界大戦後の1919年6月21日に発生したドイツ艦隊によるものである。イギリスのスカパ・フローに抑留されていたドイツ艦隊が、イギリスによる接収を避けるために、艦隊ごと一斉に自沈している

他には第二次世界大戦中の1942年11月27日にフランス艦隊がトゥーロンで自沈した例がある。

太平洋戦争では、敵味方問わず多くの艦船が戦闘で損傷し、自沈、もしくは味方駆逐艦等の砲撃もしくは雷撃により自沈処分された。

除籍の後に演習における実弾訓練の洋上標的とされた後、自沈処分される例もある。

「自沈弁」について

第二次大戦を扱った戦記物や小説などで『キングストン弁を開けて船(艦)を自沈させる』との記述が見られることがあるが、「キングストン弁」は船舶がボイラーの冷却用その他の目的のために水中より取水する配管に装備されているもので、航海中はもちろん停泊時も動力を使用する場合は開けておく必要があるものであり、「キングストン弁=自沈専用の弁」との認識は誤解である。 テンプレート:Main

関連項目