精進湖

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テンプレート:Infoboxテンプレート:ウィキプロジェクトリンク 精進湖(しょうじこ)は、山梨県南都留郡富士河口湖町にある富士五湖のひとつで、西から2番目、東から4番目にあたる。富士箱根伊豆国立公園の特別地域内にある[1]

概説

同じ富士五湖の西湖、本栖湖と同一の水脈を有しているので水面標高も同じく約900mで、湖水の水位が連動する傾向がある。最大水深は15.2mで河口湖と並び3番目の深さ。0.5平方キロメートルと五湖中でもっとも湖水面積が狭く、流入河川および流出河川はない。

2013年(平成25年)6月22日富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産(富士山域)の一つとして、世界文化遺産(日本の文化遺産としては13箇所目)に登録された。

成因

富士山火山活動によって形成された堰止湖で、本栖湖西湖と同じ水位であり、かつては単一の大きな湖(剗の海;せのうみ、「背の海」の意か)であったと考えられている[2]が、富士山溶岩流でまず南西の本栖湖と分断され、『日本三代実録』に拠る864年(貞観6年)の貞観大噴火の溶岩流によって西湖と分断された。

名前の由来

精進湖という湖名は、富士参詣者が湖で沐浴して精進潔斎したことに由来する説や、(かつての単一湖「せの海」という名称も関連し)富士の背にあたることから「背地」(せのち)と呼ばれたとする説[3]がある(『甲斐国志』による)。

水質と生物相

栄養湖プランクトンが多く、湖色も緑色。1930年代の調査でも富栄養化していた[4]がそれ以降も富栄養化は進行している[5]ため、透明度は3m程度で有る。赤潮が発生することもある[6]ヘラブナワカサギブラックバス[7]タニシなどが生息している。

周辺

右岸には、甲府から右左口宿を経て駿河国へ至る軍用道路である中道往還(現国道139号)が通る。 精進湖北側から見る富士山は日本一美しいと言われる。富士山手前に大室山がそびえ立ち、その手前が青木ヶ原樹海であり、樹海の中に中道往還国道139号)が走っているため、精進湖北側からは富士山手前に一切の建物等が見えず、樹海の緑しか見えず絶景となっている。

かつては湖北部に集落があったが、西湖で増水による被害が発生したのを受け、同似地形にあった集落は、1972年頃に湖南部の中道往還国道139号)沿いの青木ヶ原樹海内に移住し、新居住地は移住地と呼ばれている。

戦国時代

静岡県富士宮市方面から富士吉田市方面に向かう中道往還(国道139号)から旧部落方面に入り、女坂峠(阿難坂・精進峠)を抜けて甲府方面へぬける山道は昔、魚道と呼ばれ、甲斐国山梨県)と駿河国静岡県)を結ぶ道であり、武田信玄はこの地域を重要視していた。武田信玄は駿河国(静岡県)から塩や魚を魚道経由で仕入れていたが、1567年(永禄10年)、武田信玄は13年間に及ぶ駿河国(静岡県)の今川氏真との同盟を破棄して東海方面への進出を企て、今川氏真は縁戚関係にあった相模国神奈川県)の北条氏康の協力を仰ぎ、武田領内への塩留を行ったため、塩が入ってこなくなってしまい食事に困った。この事態を見て、武田信玄の敵であるが義を重んじる上杉謙信は武田の領民の苦しみを見過ごすことができず、「塩ならこっちにいくらでもあるじゃないか。送ってやれ」と敵の武田信玄と領民に塩を送った。これが「敵に塩を送る」というとなった。

観光

河口湖や山中湖と異なり開発されていない大自然の絶景地であり、都心から2時間半ほどで行ける。古民家も古くなり、空き家も目立ってきた。その対応として、「The Shoji」を代表するスポットを体験できるフットパスプログラム[8]などが実施されている。

  • 毎年、カヌーの全国大会が開催されている。(ただし2007年佐賀県で開催された。)
  • パノラマ台:子供の足でも1時間ほどで登れる、精進湖と本栖湖の間にある標高1,325mの山。精進湖と本栖湖湖畔からハイキングコース入口があり、山下には本栖湖、精進湖、西湖河口湖が見え、富士山青木ヶ原樹海が一望でき、晴天ならば富士山の横から駿河湾が見え、北西部側には日本アルプスが望める絶景に出会える。
  • 諏訪神社:天井には百人一首が描かれている。
  • 精進の大杉:国の天然記念物で諏訪神社の入口にそびえる別名「千年杉」。御神木とされ高さ45m、根回り13.6m。
  • 遊歩道:青木ヶ原樹海の中を通る東海自然歩道、自然観察路がある。

ジャパン・ショージ JAPAN SHOJI

イギリス人のハリー・スチュワート・ホイットウォーズは、1895年富士山が綺麗に見られる避暑地「ジャパン・ショージ」として日本国外に宣伝した。そのため多くの外国人観光客が訪れ、精進湖に当時日本有数の避暑地として「精進湖ホテル」が創業された。

関連画像

脚注

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関連項目

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外部リンク

テンプレート:富士五湖

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  1. テンプレート:Cite web
  2. 富士五湖の水位変動機構 水工学論文集 Vol.39 (1995) P31-36
  3. 「セノチ → セウヂ → ショージ」という一種のウ音便は想定できる。 cf. ミョウガ
  4. 本栖湖及び精進湖の観測資料 / 1930年頃との比較 陸水学雑誌 Vol.20 (1959) No.3 P97-100
  5. 渡辺仁治:精進湖の富栄養化 日本水処理生物学会誌 Vol.5 (1969) No.1 P8-11
  6. 精進湖で発生した赤潮について 山梨県衛生公害研究所年報 (44), 58-61, 2000]
  7. 山梨県西湖及び精進湖における近年の魚類相の変化と国内外来魚の侵入 野生生物保護 : Wildlife conservation Japan 13(2), 59-66, 2012-05-31
  8. 「精進湖観光協会」「ヤマザキYショップ」「レストランことぶき」