筑豊電気鉄道2000形電車

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テンプレート:Pathnav 筑豊電気鉄道2000形電車(ちくほうでんきてつどう2000がたでんしゃ)は、筑豊電気鉄道鉄道車両の一形式である。

概要

筑豊電気鉄道は開業以来、親会社の西日本鉄道からの乗り入れ車両だけで運行されており、自社では車両を保有していなかった。これを改め、筑豊電気鉄道初の自社車両として導入された電車が2000形である。

1977年1980年に投入された3両連接車2001~2007と、1985年に投入された2両連接車2101~2118の2タイプがあるが、いずれも西日本鉄道からの譲渡車である。現在は2両連接車は全廃され、3両連接車のみが残る。

3両連接車

ファイル:Chikuho Dentetsu EC Type2000 2003ACB.jpg
塗り替え前の2000形2003編成(2007年10月28日、楠橋駅にて撮影)

3両連接車は2001 - 2007の7編成が在籍していたが、2012年3月30日付で2001号が廃車となり6編成となった。各編成ともA車・B車・C車に分かれており、A車は筑豊直方側の先頭車でパンタグラフを装備する。B車は黒崎駅前側の先頭車で、C車は中間車である。

西鉄福岡市内線の第1次廃止により余剰となった1300形4編成と1200形1編成の計5編成を1976年10月に譲り受け、2両連接車の2001AB - 2005ABとして使用開始した。この5編成は翌1977年10月に北九州線1000形2編成と福岡市内線1000形1両の車体を改造した中間車を組み込み、3両連接車の2001ACB - 2005ACBとなっている。

1980年には北九州線1000形3編成を改造した3両連接車2編成(2006ACB・2007ACB)を増備し、計7編成となった。

中間車は北九州線に存在していた1000形3両連接車と違い、車体長が長く扉があるため、重量が増している。このため電動機を55kWのものに交換している。

3連化改造時より西鉄天神大牟田線2000形のような黄色地に赤帯の塗装を施されており、「黄電(きなでん)」と呼ばれている。また、2001 - 2005は竣工当初は前照灯が窓下1灯のままであったが、2006・2007登場時に前照灯が尾灯と一体型のケースに収められて左右に配置された。

2006・2007は北九州線1000形の中でも福岡市内線1000形に近い形態をした最終グループ(1062AB~1064AB)を改造したため、前面中央窓1枚・大型方向幕という種車時代の特徴を色濃く残している。

大きな改造としては1984年から1985年にかけて冷房改造が行われたほか、1990年から1998年にかけて更新工事が実施され、窓が従来の上段Hゴム支持固定・下段上昇式(いわゆるバス窓)から上段下降・下段上昇式のアルミサッシのユニット窓に交換される[1]とともに、乗降口のステップを改造して床面との間の段差を380mmから290mmに縮めている。2004年にはATS取り付け工事が行われ、「2003A-1」のようにハイフンの付いた番号になった(完了後は元に戻されている)。また、後述の塗り替えとほぼ同時、または先行する形で2001 - 2005の前面中央窓のワイパーを窓下に移設、同時に前面窓も上方に移動したため2006・2007と同じスタイルとなった。これにより2001 - 2005と2006・2007の相違点は方向幕のみとなった。

なお冷房改造時より全ての編成にブラウン管テレビが設置されたが、2003年頃に4編成が液晶テレビに交換され、残りの3編成はテレビが撤去された。現在はすべて3000形に移設し撤去している。テレビでは、初期の頃はNHKの地上波放送を流していた。1990年代は福岡ダイエーホークスのプロ野球中継が始まると、チャンネルを変えることもあった[2]。その後、ビデオによる次駅案内や沿線企業のCMなどが流されるようになった。末期にはビデオテープからDVDに変更された。

2007年度から2008年度にかけて、「レインボー電車」と称して7編成全車をそれぞれ虹を構成する7色(紫・藍・青・緑・黄・橙・赤)に塗り替える計画が発表された。その第1弾は2001編成の「紫」で、2007年10月28日から運用を開始した。なお、レインボー電車となった編成には前面左下に「Nishitetsu Group」のロゴが、ドア横にレインボー電車の概要ステッカーが施されている。2008年度末に完了とされていたが、映画「おっぱいバレー」の撮影に使用された2004編成は、この編成のみの特別日程が組まれ、塗り替えをせずに運行されていた。2009年12月4日、最後まで残っていた2004編成も緑色に塗り替えられて営業運転を開始。これをもって黄電カラーは消滅した。

2012年3月までは7編成全てが現存し、3両連接車の収容力を活かしてラッシュ時を中心に運用されていたが、2012年3月のダイヤ改正では運用削減のため余剰を生じ、2001編成が2012年3月30日付で廃車となった。なお、2013年現在では平日と土曜のみの運転となっている。

[3]

改造前の番号

  1. A・B車が福岡市内線1300形、C車が北九州線1000形
    • 2001ACB(1301A - 1043A - 1301B)
    • 2002ACB(1302A - 1043B - 1302B)
    • 2003ACB(1303A - 1044A - 1303B)
    • 2004ACB(1304A - 1044B - 1304B)
  2. A・B車が福岡市内線1200形、C車が福岡市内線1000形
    • 2005ACB(1205A - 1013A - 1205B)
  3. A~C車ともに北九州線1000形
    • 2006ACB(1062A - 1063B - 1062B)
    • 2007ACB(1064A - 1063A - 1064B)
※カッコ内は改造前の番号

主要諸元

  • 製造初年:1957年
  • 全長:25,300mm
  • 全幅:2,400mm
  • 全高:3,940mm
  • 自重:31.3t
  • 車体構造:全金属製
  • 定員(着席):132(62)人
  • 出力・駆動方式:55kW、ツリカケ式

エピソード

かつてはA車が黒崎駅前側、B車が筑豊直方側を向いていたが、1985年(昭和60年)に廃止された幸町のデルタ線を利用して現在の向きに修正された。

2両連接車

ファイル:Cer-2005.jpg
2105編成(2000年、熊西駅付近にて撮影)

2両連接車は2101~2118の18編成が在籍していた。各編成ともA車・B車に分かれており、A車にパンタグラフを装備していたが、3両連接車と異なり、A車が黒崎駅前側、B車が筑豊直方側となっていた。

西鉄北九州線の輸送力調整により余剰となった1000形を譲受したもので、ほぼ無改造のまま使用された。1985年に譲受した15編成は当初は元の番号のまま使用されていたが、1987年3月に3編成を追加譲受したのとほぼ同時に改番され(元のナンバーの上からプレートをかぶせていたが、後にペンキ塗りのナンバーになった)、2100番台を名乗る。改造車である3両連接車と区別する意味で2100形と呼ばれることもあった。

塗装は北九州線時代の赤色地にクリーム色帯のままで、「赤電」と呼ばれていた。西鉄時代には冷房・暖房とも設置されていなかった。2114~2118を除き譲受時に暖房が設置されたが、最後まで冷房改造はされなかった。

18編成が在籍していたが、1988年から1996年にかけて2110~2118の9編成が3000形に台車や機器を転用し廃車となり、2101~2109も1995年以降、ダイヤ合理化により順次廃車されていった。最後は2103編成のみが残り「使用休止中」の札が貼られて黒崎車庫に留置状態だったが、2006年6月に超低床電池駆動路面電車(SWIMO)開発計画の試験車両として川崎重工業に譲渡された。このため、2100形は形式消滅となった。

2101~2103は1988年から1989年にかけ、3両連接車と同じように窓をユニット窓に改造する工事が実施されていた。このうち試作車として最初に改造された2102は前面両側の窓までアルミサッシのユニット窓に交換されて異彩を放っていた。

主要諸元

  • 製造初年:1954年
  • 全長:18,400mm
  • 全幅:2,400mm
  • 全高:3,940mm
  • 自重:22.2t
  • 車体構造:全金属製
  • 定員(着席):96(46)人
  • 出力・駆動方式:45kW、ツリカケ式

改造前の番号

1021・1022・1031~1035・1046~1051・1058~1061・1036→2101~2118(A・Bの記号は改造前後とも同一)

参考文献

  • 『復刻版 私鉄の車両9 西日本鉄道』(ネコパブリッシング・飯島巌) ISBN 4873662923 他
  • 『鉄道ファン』1988年2月号(通巻322号)シリーズ 路面電車を訪ねて 17 西鉄北九州線・筑豊電鉄(交友社)
  • 『鉄道ピクトリアル』1989年9月臨時増刊号(通巻517号)特集:西日本鉄道(電気車研究会)
  • 『鉄道ピクトリアル』1999年4月臨時増刊号(通巻668号)特集:西日本鉄道(電気車研究会)


脚注

  1. 客室内の通風改善のため。
  2. 角川マーケティング発行、北九州市Walker2009にて記述あり。
  3. http://www.nishitetsu.co.jp/release/2009/oshirase/091204.pdf

関連項目

外部リンク

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