白茶

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白毫銀針の茶葉

白茶はくちゃしろちゃパイチャ)は、主に中国福建省で生産されている中国茶。製法(発酵度)による中国茶の分類(六大茶類)の一つである。弱発酵茶。茶葉の芽に白い産毛がびっしりと生えていることが、名前の由来である。そのような特徴を持つ茶葉を白毫(はくごう、パイハオ)と呼ぶが、白毫のある茶葉がすべて白茶に用いられる訳ではない。

摘まれた茶葉を、萎凋(いちょう、放置して萎れさせ、発酵を進めるとともに水分を飛ばすこと)した後に、火入れして乾燥させるだけという、中国茶の中では特に簡素な工程となっている。六大茶類の中では、唯一白茶だけが「揉捻」を施さない。

萎凋は地域により、屋外での日光萎凋をする場合と室内萎凋をする場合がある。いずれも送風機を用いたり、揉む、揺らすなど人為的な発酵の促進はしないため、発酵はゆっくりと進む。発酵と言っても、黒茶プーアル茶等)の微生物による発酵を施した茶とは異なり、茶葉が元々もつ酸化酵素による酸化発酵が中心となるもので、黒茶以外の他の発酵茶と同様である。この段階で水分の9割ほどは蒸発している。萎凋が完了した茶葉は「烘籠」と呼ばれる竹で出来たバスケットに入れられ、とろ火にかけて乾燥、これにより酵素発酵が止められる。白豪銀針は、茶葉が未だ熱い内に紙袋に入れられる。この目的は、茶葉が熱く柔らかい内に袋に詰める事で破損を防ぐためと、数日間意図的に蒸れさせることで、更なる熟成を促すためである。但し、この工程は非常に熟練の技を必要とし、多くの白茶は「ムレ臭」を伴う。最高品質の白茶にはムレ臭がなく、色も均一なヒスイ色をしている。灰色や褐色化した白茶は、萎凋の際に層が厚すぎたり、取り扱いが乱雑だったことを示している。

多くの中国茶とは異なり、揉みこむ工程(揉捻)がないために茶葉そのままの姿で出荷される。そのため茶葉が揺れ動く様を楽しめるように、淹れる際には耐熱ガラスに90度前後のお湯を注いで飲むのが一般的。こうする事で、茶葉がまるで「笹の葉」のように、ゆらゆらと揺れ動く様子を楽しむことができる。また、冷たい水で淹れても美味しく飲める。

香り・味わい・水色ともに上品で後味がとても甘い。また、白茶には宿酔い、夏ばてに効くといった効能や解熱作用があると言われている。

主なものに「白毫銀針」「白牡丹」「寿眉」などがある。白毫銀針(はくごうぎんしん、パイハオインヂェン)は、1880年代から福建省の福鼎、政和で大白種の若芽から作られるようになった一芯一葉摘みの「白芽茶」で、最も代表的な白茶。白牡丹(はくぼたん、パイムーダン)は、一芯二葉の「白葉茶」の代表格。福建省の建陽などで大白種または水仙種から作られる。寿眉(じゅび、ショウメイ)は、白毫銀針などに用いる若芽を摘み取った後に、一芯二葉から一芯三葉で摘んだ、葉の部分を主に用いたもの。

日本ではあまり飲まれない珍しいお茶だが、『アサヒ 白茶』(アサヒ飲料、2005年)[1]、『本茶房 白いお茶』(大塚ベバレジ、2006年)[2]、『アサヒ 白烏龍』(アサヒ飲料、2009年、白茶と烏龍茶のブレンド)[3]などのペットボトル飲料も発売されている。なお、インドスリランカでもここ数年、差別化・ブランド化の一環として白茶生産を開始する事例が出てきた。

脚注

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参考文献

  • 菊地和男 『中国茶入門 : 香り高き中国茶を愉しむ』 講談社、1998年、ISBN 978-4-062-09232-6
  • 工藤佳治ほか 『中国茶事典』 勉誠出版、2007年、ISBN 978-4-585-06057-4

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  1. 「アサヒ 白茶 PET500ml」新発売 - アサヒ飲料ニュースリリース、2005年1月6日。
  2. 『本茶房 白いお茶』280mlペットボトル- 4月3日(月)より全国新発売 - 大塚ベバレジニュースリリース、2006年3月10日。
  3. 『アサヒ 白烏龍』新発売 - アサヒ飲料ニュースリリース、2009年7月9日。