生産可能性フロンティア

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経済学において、生産可能性フロンティア(せいさんかのうせいフロンティア)とは、一国(または一経済)に存在する資源をすべて使って生産可能な財の、最大数量の組み合わせの軌跡である。

ファイル:Production-Possibility Frontier 0001.png
図1: 生産可能性フロンティア

農産物を1単位生産するために必要となる労働力が1人であり、工業品を1単位生産するために必要となる労働力が3人であるとする・このとき、一国に労働者150人が存在するならば、農産物と工業品との生産量の可能な組み合わせは、それぞれの数量を <math>x_a</math>、<math>x_m</math> として、

<math>x_a + 3x_m \le 150</math>

と定義される。この場合、生産可能性フロンティアは、図1の線分ABによって表される。

労働力に加えて、農産物を1単位作るためには土地が2ヘクタール、工業品を1単位作るためにも土地が1ヘクタール必要であり、1国に土地が100ヘクタール存在するならば、<math>x_a</math>、<math>x_m</math> は、

<math>2x_a + x_m \le 100</math>

についても満たさなければならない。この場合、生産可能性フロンティアは、図1の折れ線ACDによって表される。

さらに農産品について、1単位作るためには労働力が1.5人、土地が1.5ヘクタール必要であるという、より労働集約的な生産方法が存在するならば、この方法での農業生産と先の工業品の生産とを組み合わせた場合、労働制約と土地制約とはそれぞれ

<math>1.5x_a + 3x_m \le 150</math>
<math>1.5x_a + x_m \le 100</math>

で表され、生産可能性フロンティアは図1の折れ線AEFになる。

ところが、農産品について、先の土地集約的な方法と新たな労働集約的な方法とが両方利用可能であるとすると、両者を適当な割合で組み合わせることによって線分CE上のすべての点が実現可能であるため、両方法が利用可能なときの生産可能性フロンティアは折れ線ACEFとなる。

生産方法がこのようにとびとびにではなく、連続的に変更可能であるならば、滑らかな生産可能性フロンティアを描くことができる。テンプレート:Link GA テンプレート:Link GA