牧野修

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

テンプレート:Portal 牧野 修(まきの おさむ、1958年 – )は、日本作家SF作家大阪府生まれ。大阪芸術大学芸術学部映像計画学科卒。

別名義に亜羅叉の沙牧野猫牧野ねこ牧野みちこがある。

同じく作家の小林泰三田中啓文田中哲弥と合わせて「まんがカルテット」と呼ばれる。ミステリー作家の我孫子武丸を加えて「まんがクインテット」と呼ばれることもある。日本SF作家クラブ日本推理作家協会会員。

略歴

  • 高校生の頃から亜羅叉の沙名義で小説を創作。筒井康隆主催の同人誌『ネオNULL』の常連投稿者。
  • 1975年(亜羅叉の沙名義)掌編『ミユキちゃん』が『'74日本SFベスト集成』に収録(この時点でデビューとする見方もあるが、本人は否定的)。
  • 1978年牧野猫名義)掌編『地下鉄に乗って』で『ビックリハウスエンピツ賞入選。
  • 1979年(牧野猫名義)掌編『退屈』で『ビックリハウス』エンピツ賞入選。
  • 1979年牧野ねこ名義)短編『名のない家』で第2回奇想天外SF新人賞佳作。
  • 1985年牧野みちこ名義)短編『召されし街』で第1回幻想文学新人賞佳作。
  • 1992年『王の眠る丘』で第1回ハイ!ノヴェル大賞受賞(本人が作家デビューと意識している時点)。
  • 1999年『スイート・リトル・ベイビー』で第6回日本ホラー小説大賞長編賞佳作。
  • 2002年『傀儡后』で第23回日本SF大賞受賞。

作品傾向

ゲームのノヴェライズ

新人賞を獲得し、新進気鋭のホラー作家として注目されるが、ゲームのノヴェライズが専業作家としての初仕事になる。

電波系ホラー

毒電波、毒想念を感じる人々を描くことをライフワークにしている作家だと言える。ある種の人間を描くことにかけて右にでる者がいないとされる。

  • 長編
    • 『偏執の芳香―アロマパラノイド』
    • 『リアルヘヴンへようこそ―異形招待席』
    • 『だからドロシー帰っておいで』
  • 短編
    • 『電波大戦』(『SFマガジン』1997年2月号)では、独特の電波文体で読者を幻惑する。

科学とオカルト

科学とオカルトの混在する世界を描く。科学サイドからオカルトを描く小林泰三に対し、牧野修はオカルトサイドから科学を描くと言える。

  • 長編
    • 『偏執の芳香―アロマパラノイド』にて独特のオカルト世界観〈非-知〉を展開。
    • 『呪禁局シリーズ』では、オカルトが標準技術になり、科学がマイノリティとなった世界を構築している
  • 短編
    • 『〈非-知〉工場』ではオカルトの存在を独特の方法で描く。

ヒトデナシと人間

人造人間「擬人種(ヒトデナシ)」と人間の関係をテーマにした物語を書いている。北野勇作の描く人造人間「ヒトデナシ」とは対照的な存在となっている。

  • 『我ハ一塊ノ肉塊ナリ』(『SFマガジン』1999年3月号)で「亜種」という人造人間を描いている。
  • 『乙女軍曹ピュセル・アン・フラジャーイル』では「擬人種(ヒトデナシ)」と人間の闘いを描いている。

聖書の影響

聖書』をテーマにした作品にも特徴がある。

  • 『ヨブ式』
  • 『死せるイサクを糧として』

作品

長編

  • 呪禁局シリーズ(ノン・ノベルのち祥伝社文庫)
    1. 呪禁官(呪禁捜査官―訓練生ギア)
    2. 呪禁局特別捜査官 ルーキー
  • 都市伝説探偵セリ(フォア文庫)
    1. リコーダー・パニック
    2. 噂のサッちゃん
  • トクソウ事件ファイル (講談社ノベルス)
    1. 破滅の箱
    2. 再生の箱
  • 死んだ女は歩かない(幻狼ファンタジアノベルス)
    1. 死んだ女は歩かない
    2. あくまで乙女
    3. 命短し行為せよ乙女

単発

単著
  • 『王の眠る丘』早川書房、1993 のちハヤカワ文庫JA  
  • 『プリンセス奪還―トウキョウ・バトル・フリークス』ソノラマ文庫、1995 
  • 『屍の王』ぶんか社、1998 のち角川ホラー文庫 
  • 『偏執の芳香―アロマパラノイド』アスキー、1999 のち角川ホラー文庫 
  • 『リアルヘヴンへようこそ―異形招待席(リアルヘヴンへようこそ)』広済堂文庫、1999 のち角川ホラー文庫 
  • 『スイート・リトル・ベイビー』角川ホラー文庫、1999 
  • 『病の世紀』徳間書店、2000 のち角川ホラー文庫 
  • 『だからドロシー帰っておいで』角川ホラー文庫、2002 
  • 『傀儡后』早川書房、2002 のちハヤカワJA  
  • 『乙女軍曹ピュセル・アン・フラジャーイル』ソノラマ文庫、2003 
  • 『アシャワンの乙女たち』ソノラマ文庫、2004 
  • 『蝿の女』光文社文庫、2004 
  • 『月光とアムネジア』ハヤカワ文庫、2004 のちハヤカワJA 
  • 『記憶の食卓』角川書店 、2005
  • 『水銀奇譚』理論社、2007 
  • 『ネクロダイバー―潜死能力者』角川ホラー文庫、2007 
  • 『少年テングサのしょっぱい呪文』アスキー・メディアワークス 電撃文庫 2009 
  • 『夢魘祓い―錆域の少女』角川ホラー文庫、2009
  • 『そこに、顔が』 角川ホラー文庫、2010
  • 『大正二十九年の乙女たち』メディアワークス文庫、2011
  • 『晩年計画がはじまりました』角川ホラー文庫、2011
  • 『奇病探偵 眠れない夜』タソガレ文庫、2013
  • 『怪しの晩餐』TO文庫、2013
  • 『私の本気をあなたは馬鹿というかもね』メディアワークス文庫、2014
共著
  • 『SFバカ本 だるま篇』広済堂文庫、1999
  • 『SFバカ本 ペンギン篇』広済堂文庫、1999
  • 『変化―妖かしの宴2』PHP文庫、2000
  • 『ゆきどまり―ホラー・アンソロジー』祥伝社文庫、2000
  • 『三人のゴーストハンター 国枝特殊警備ファイル』集英社、2001 のち集英社文庫
  • 『平成都市伝説―ホラーセレクション』C★NOVELS、2004
  • 『ハナシをノベル!! 花見の巻』講談社、2007
  • 『朦朧記録(妖怪変化 京極堂トリビュート収録)』講談社 2007
  • 『黎明コンビニ血祭り実話SP(NOVA 1-書き下ろし日本SFコレクション収録)』河出文庫、2009
  • 『逆想コンチェルト 奏の2: イラスト先行・競作小説アンソロジー 』徳間書店 、2010
  • 『郭公の盤』早川書房、2010
  • 『FKB話 怪談実話 饗宴』竹書房恐怖文庫、2011
  • 『僕がもう死んでいるってことは内緒だよ(NOVA 6-書き下ろし日本SFコレクション収録)』河出文庫、2011
  • 『怪獣文藝』メディアファクトリー、2013

短編集

  • MOUSE(連作短編集)ハヤカワ文庫JA、1996
    • マウス・トラップ
    • ドッグ・デイ
    • ラジオ・スタア
    • モダーン・ラヴァーズ
    • ボーイズ・ライフ
  • 忌まわしい匣 集英社のち集英社文庫、1999
    • 忌まわしい匣 1
    • おもひで女
    • 瞼の母
    • B1公爵夫人
    • グノーシス心中
    • シカバネ日記
    • 甘い血
    • ワルツ
    • 忌まわしい匣 2
    • 罪と罰の機械
    • 蜜月の法
    • 翁戦記
    • 〈非-知〉工場
    • 電波大戦
    • 我ハ一塊ノ肉塊ナリ
    • 忌まわしい匣 3
    • 文庫版解説(東雅夫)において「ミユキちゃん」を全文掲載している
  • ファントム・ケーブル 角川ホラー文庫、2003
    • プロローグ
    • ドキュメント・ロード
    • ファイヤーマン
    • 怪物癖
    • スキンダンスの階梯
    • 幻影錠
    • ヨブ式
    • 死せるイサクを糧として
    • エピローグ
  • 楽園の知恵 ―あるいはヒステリーの歴史 ハヤカワSFシリーズJコレクション、2003 のちハヤカワ文庫JA
    • 第1章 診断
      • いかにして夢を見るか
      • 夜明け、彼は妄想より来る
      • 召されし街
    • 第2章 症状
      • インキュバス言語
      • ドギィダディ
      • バロックあるいはシアワセの国
    • 第3章 諸例
      • 中華風の屍体
      • 踊るバビロン
      • 演歌の黙示録
    • 第4章 療法
      • 或る芸人の記録
      • 憑依奇譚
      • 逃げゆく物語の話
    • 付記・ロマンス法について
  • 黒娘―アウトサイダー・フィメール 講談社ノベルス、2003 のち講談社文庫

e-NOVELSで公開している短編

  • 死と演繹
  • ファイヤーマン
  • 読むな
  • 悪い客 ―黄昏ホテル
  • 記憶の食卓

ノヴェライズ

ゲーム

関連項目

外部リンク