無顎類

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テンプレート:生物分類表 無顎類(むがくるい Agnatha)とは、脊椎動物のうち、を持つ顎口類以外の動物。現在生息しているのはヤツメウナギ類とヌタウナギ類のみであり、大半のグループは絶滅している。

概要

古典的には脊索動物門脊椎動物亜門無顎上綱のように単一のグループとされた。 しかし「顎を獲得していない」という共有祖先形質のみでまとめられた側系統群であり、無脊椎動物爬虫類などと同様、分岐学的には有効な分類名ではない。それでも、顎獲得に伴う大幅な形態の変化を記述する上での利便性から、この名称が用いられる機会は多い。 「顎口類を除くすべての脊椎動物」という定義のため、例えば史上最古の魚類とされるミロクンミンギアハイコウイクチスなども無顎類と見なされる。

無顎類のうちほとんどが絶滅種であるが、現在でも生息しているもの(ヌタウナギ類とヤツメウナギ類)に関しては円口類と呼ばれる。円口類の2つのグループに関しては、分子系統や詳細な形態解析から単系統クレードをつくるとの説が一般的になってきている。[1] [2] 。過去にはヤツメウナギと顎口類とを単系統としてまとめて「脊椎動物」と呼び、ヌタウナギをその外群とした説もあった。この場合、ヌタウナギと「脊椎動物」とをまとめて「有頭動物(Craniata)」と呼び、現在でもこの分類を採用している書籍などは少なくない。

進化

脊椎動物の進化において、無顎類は重要な位置を占める。最古の無顎類の化石は、カンブリア紀後期の地層から発見されている。あまり遊泳力がない、皮骨で覆われたオタマジャクシのような姿をしていた。つづくオルドビス紀に多様化が進み、シルル紀デボン紀になると、体側は丈夫な骨質のよろいのような皮骨で覆われ、鰭状の器官や奇妙な突起を発達させた。ほとんどの種はデボン紀末期に絶滅した。これら絶滅した無顎類のうち、どの系統が現生の無顎類の祖先だったかは十分に解明されているとは言えないが、化石が多く知られる皮骨の発達したグループにヌタウナギ綱の祖先は含まれていなかったと推測されている。また、コノドント動物は長くその正体が判らなかったが、現在ではこの類であり、ホソヌタウナギに近い系統とも言われている。小型のプランクトン的生活の動物で、世界中の海に生息し、古生代末まで生き延びた。


系統分類

以下に脊索動物の系統関係の概略を示す。 脊椎動物の中で顎口類以外の系統(太字)が全て「無顎類」にあたる。 無顎類内部の互いの系統関係は現在でも謎が多く、議論が続いている。なお、現生のものはすべて円口類に属するので、その詳細は該当項を参照されたい。

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引用・出典

  1. Kardong, K. (2008). Vertebrates: Comparative anatomy, function, evolution,(5th ed.). (pp.84-87). Boston: McGraw-Hill
  2. テンプレート:Cite book

関連項目