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ファイル:Karman15anrp.gif
水流が岩(石)にぶつかり発生している渦
ファイル:Airplane vortex edit.jpg
航空機の作る渦(カラースモークで着色)

(うず、vortex ヴォルテックス)とは、流体やそれに類する物体が回転して発生する螺旋状のパターンのこと。渦巻き(うずまき)などとも言う。

概説

液体でも気体でも発生することがある。の起こす渦の中でも人々に馴染みが深いものとしては、洗濯機の中の水の渦、風呂の水を抜く時の渦、海峡などで発生する渦潮(うずしお)などがある。気体の渦としては、竜巻台風などがある。日常においても興味深いものであるが、科学工学的な視点からも、渦の理解や、その利用、あるいは対策が重要なものとなってくることがある。学問としては、流体力学気象学航空工学船舶工学などが扱っている。

発生原因(自然発生の場合)

自然発生する渦形成現象を一般的に述べた見解がある。それによれば、流体中で、質的に異なった二つのものが接触するとき、必ず渦が形成されるという[1]。質的な例として以下の8つが例示されている。(液体固体)(液体・気体)(速・遅)(温・冷)(濃・薄)(重・軽)(粘性流動性)(アルカリ性酸性


代表的な渦

流体力学での渦

流体力学においては、流体を微小な要素に分ける。この分けた微小要素の内の一要素に着目すると、その運動は、

  1. その要素全体の並進運動
  2. 要素を剛体として考えた上での回転運動
  3. 純粋な歪みによる運動

に分けて考えることができる。渦において重要なのは、2.の回転に関する部分である。

微小要素の回転の様子は、次の渦度w(=w(x , t )、x は流体の位置座標、t は時間)によって表される。

<math> \boldsymbol{w}(x,t) = \operatorname{rot}\,\boldsymbol{v}(x,t) </math>

ここで、<math>\boldsymbol{v}(x,t)</math>は流体の速度、rotはローテーションである。

更に、

<math> \operatorname{rot}\,\boldsymbol{v} = \boldsymbol{0} </math>

が渦なしの条件であり、この場合、流体は渦の伴わない運動を行う。従って、

<math> \operatorname{rot}\,\boldsymbol{v} \ne \boldsymbol{0} </math>

となる時、運動している流体のどこかで渦(としての運動)が存在する。

流体に粘性が存在する場合、渦度が拡散していく。このため、渦を扱う場合、粘性はごく弱い(小さい)として扱うか、無視する場合が多い。

数学的に単純化された渦のモデルとして、ランキン渦などが考えられている。

渦のできる場合

流体のある位置にそれらが急に集められる場合に、渦を生じることが多い。たとえばお風呂に水が入っている状態で、風呂桶の底のを抜くと、周りの水はここから流れ出すから、風呂桶の内部の水はすべてここに集まってくる。

この時、水の各部分がその位置へ向かう方向に対して横の運動量を持っていた場合、その位置を中心とする回転運動を行いながら次第に中心に向かって移動することになる。すると、角運動量保存の法則により、回転速度は増加する。実際には各部分は異なった方向の運動量を持つだろうから、次第にぶつかり合って、やがて一定の方向の回転を行うようになる。

台風のような地球上における大規模な渦は北半球では反時計回り、南半球では時計回りとなっている。これはコリオリの力が働くためである。詳しくは該当項を参照。なお、小さな渦についてもこういわれることがあるが、これは必ずしも正しくない。

洗濯機の場合、浴槽の底に回転翼をつけることで水に回転運動を起こさせている。しかし、実際にはこの運動では洗濯物が一定方向に動くだけで、押し洗いやもみ洗いに類する効果が得にくい。技術の進歩により、短時間で回転方向を変えるなど、渦を作らない洗濯機も出現している。

脚注

  1. テオドール・シュベンク『カオスの自然学』赤井敏夫 訳、工作舎、1986年、133頁

関連項目