淋菌

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テンプレート:生物分類表 淋菌(りんきん、Neisseria gonorrhoeae)はナイセリア属のグラム陰性双球菌である。ナイセリア属の菌は全部で11種類あり、その内病原性のものは、この淋菌と髄膜炎菌のみである。淋菌は淋病の原因となる。 その他の9種類のナイセリア菌は全て口腔内に存在する常在菌(日本人の5~10%に常在)である。粘膜から離れると数時間で感染性を失う[1]。日光、乾燥や温度の変化、消毒剤で簡単に死滅するので、分離培養が必要な場合には検体の取り扱いに注意を要する[1]

1879年アルベルト・ナイサーが発見してゴノコックス(Gonococcus)と命名したが、1885年ヴィルヘルム・ツォプフにより、ナイサーにちなみ命名された。

特徴

ファイル:Neisseria gonorrhoeae 02.png
淋菌の蛍光染色写真

淋菌の大きさは0.6μm~1.0μmで線毛のある型と線毛のない型に分けられる。線毛は電子顕微鏡で確認できるが、光学顕微鏡では確認できないほど極細の構造である。生きている淋菌は、この線毛を活発に動かし粘膜上皮に付着、粘膜下に浸入するものと思われる。患者から採取した淋菌を血液寒天培地で培養すると、この線毛は消失する。病原性にはこの線毛が重要な鍵を握っていると考えられる。

疫学

淋菌はチンパンジーだけに感染する。白人蒙古人よりも淋菌に対して感受性が高く、B血液型と関係するといわれている。

近年、性交の多様化により淋菌の抗生剤耐性菌が増え、新しい抗生剤や抗菌剤に対しても短期間に耐性を獲得する。

無害のほとんどのナイセリア菌は口腔内・咽頭内で常在菌として存在している。これらナイセリア菌は、宿主の人が気管支炎風邪などの感染症に罹患する毎に、医師から処方される抗生剤の被曝チャンスを頻回に受ける。その結果、様々な抗生剤に対して耐性を獲得する。オーラルセックスで浸入した淋菌は、親戚である口腔内のナイセリア菌と遺伝子組み換え(交差現象)を行い、容易に抗生剤耐性を獲得すると考えられる。2010年時点ではニューキノロン系合成抗菌薬のレボフロキサシンに対しては高度耐性を獲得している。また、2011年セフトリアキソンなどのセフェム系抗生物質の耐性獲得が報告されている[2]

クラミジアとの重複感染もまれではなく、留意を要する。

脚注

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参考文献

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関連項目

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外部リンク

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  1. 1.0 1.1 2002年第22週号 感染症の話-淋菌感染症国立感染症研究所 感染症情報センター
  2. セフトリアキソン高度耐性淋菌日経メディカル オンライン 記事:2011.10.24 閲覧:2011.10.25