海事科学部

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テンプレート:宣伝 海事科学部(かいじかがくぶ、Faculty of Maritime Sciences)は理工系の分野から社会科学まで含んだ海洋に関する総合的・学際的な領域をあつかう学部、国内では神戸大学にのみ設置されている。英語名はFaculty of Maritime Sciencesとしているが、海洋に関する人間の活動まで包含した海という場面に関わる諸科学の応用・連携を意味している。

海事科学部の前身

海事科学部は神戸大学の中では最も新しい学部・研究科であるが、起源は大正9年創設の官立神戸高等商船学校(航海科・機関科)に由来する。同校は川崎財閥川崎正蔵によって創設されたが、後に国家に献納され、東京高等商船学校(現・東京海洋大学)とともに高級船員ならびに海事の専門家養成の双璧として重きをなしてきた学校であった。戦時中、東京と神戸、および清水の高等商船学校が統合されたが、戦後、神戸高等商船学校跡地(現在の神戸大学深江キャンパス)に同校の伝統を継承する新制神戸商船大学が再設置された。

海事科学部の特徴

海事科学部が設置されている大学は神戸大学のみであるため、その学部の特徴がすなわち海事科学部の特徴を意味することになる。しかしながら、海洋科学については、多くの大学がその学問を扱っており、必ずしもその体系が取り入れられている訳ではない。それは、神戸大学海事科学部の前身が神戸商船大学に由来し、商船学部としての組織を踏襲しているためであると思われる。 したがって、以下の特徴は「神戸大学」の海事科学部の特徴として留意する必要がある。

一括入試と自ら選ぶことのできる柔軟なカリキュラム

海事科学部には、3つの学科(海事技術マネジメント学科、海洋ロジスティクス科学科、マリンエンジニアリング学科)があるが、入学時には学生の学科が決まっていないのが最大の特徴である。AO入試で入った学生は学科ごとに入試を行っているため学科が決まっているのであるが、その学生についても2年生の前期までは学部生はすべて学部共通のカリキュラムを受けることになる。したがって、学科ごとの授業や班分けは一切ない。学科の内容を紹介する授業を受けた上で、自分の進むべき学科を選択することになる。

学年で実施する低学年ゼミ(プレゼミ)

低学年ゼミは他の大学・学部でも実施されることが多いが、海事科学部では以下に挙げる特徴を持つ。

まず、このゼミは必修になっていること。さらに、ゼミを受ける前にゼミの紹介があって、学生は将来の学科とは関係なくゼミを選択できること(AO入試で入った学生は学科が決まっているが、これとは無関係である。当然、一般の入試で入った学生は自分で興味のあるゼミを選べる)。このゼミは少人数で行い、学生2人に教員1人の割合で開かれ、研究の面白さが実感できると学生からの評価が高い。 しかしながら、現実問題このゼミで選択した事が卒研の際の研究室選択に大きく左右し(ゼミをしていないと不可・ゼミ生優先などが非公式に存在。)最後の一年間の命運を分ける。

自由度の高いカリキュラム

この学部のカリキュラムは自由度が高い。これは、初めにある「海事科学」と関係がある。つまり、海という場面に関わる諸科学の応用・連携だからであり、高校時代の縦割りの科目からは想像できない「海事科学」だからである。だから、学生が自分で方向をつかみ、大学に入って研究室を見ることで興味を持つことを学部教育として期待しているからである。

大学院海事科学研究科

平成19年4月から大学院海事科学研究科が発足した。これは、理学、工学、農学、海事科学で構成されていた大学院自然科学研究科の改組によってできたもので、教員組織の大学院への重点化、教育の実質化に伴い、海事科学に関する研究を深く研究する体制ができあがった。教員は大学院に所属することによって、研究中心の体制となった。

研究室の選択と卒論のテーマ

本格的な研究は大学院で行うが、学部生の3年の後半では学生各自の関心に応じて、研究室を選択し、卒業研究を行う。研究室の研究テーマは、海水の組成、海流発電ロジスティクスマネジメント品質管理、海洋ロボット、海洋エネルギー、海洋微生物、海運経済学情報工学心理学材料化学等、大変広いので、研究室を幅広く選択でき、各自の関心に応じて進路が多方向にあるのが特徴である。

付属資料館

付属資料館には過去の歴史的資料が収められている。各地で収集されたそれらは当時の様子を現在に伝える歴史的に貴重な資料となっている。

関連項目

外部リンク