法務教官

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法務教官(ほうむきょうかん)とは、主に法務総合研究所や矯正施設(少年院少年鑑別所婦人補導院刑務所少年刑務所及び拘置所)に勤務し、被収容者の矯正教育を担当する法務省所属の職員(国家公務員)の官職名である。なお、採用試験の区分の法務教官Aが男性法務教官、法務教官Bが女性法務教官である。それぞれ制服が定められており、貸与されている。

法務教官の官職を有する者は、人事異動などにより上記施設以外の官署(法務省施設等機関で、矯正職員の研修を実施する矯正研修所など)に属することもあるが、通常、法務教官と呼ぶときは、その「教官」という部分に着目し実際に上記施設で勤務する職員を指すことが多い。なお、法務教官は青少年の更生教育を主な任務とすることから、刑務官のような階級制度はとられていない。

また法務教官は公安職であるが、一般職国家公務員と同様に、労働基本権のうち、団結権団体交渉権が認められている。

法務教官は、かつては1989年から実施されていた法務教官採用試験(国家公務員II種相当)又は国家公務員採用I種試験「人間科学II」区分合格者から採用されていたが、2012年からは法務省専門職員(人間科学)採用試験の法務教官区分又は総合職試験(人間科学II)から採用されている。 採用後は全国の少年院及び少年鑑別所に配属される(例外的に「自庁採用」という、各施設で個別に実施される試験の合格者も採用されることが稀にある)。

採用されると、通常は自庁における研修を経て、全国8か所に設置されている矯正研修所支所で約3か月間、基礎科研修を受ける。同研修は合宿による集合研修であり、法務教官として必要な学科(少年法少年院法矯正社会学矯正心理学矯正教育学、基礎的な処遇技法等)及び術科(矯正護身術、戒具使用法、集団行動指導法等)を学ぶことを目的とする。

また、採用後おおむね5年目には、より専門的な学識及び技術を習得するために、矯正研修所支所において、約3か月間、応用科研修を受ける。 さらに上級の幹部職員を養成することを目的とする高等科研修がある。同研修は入所試験合格により入所資格が与えられ(ただし、国家公務員採用I種試験合格者は無条件に入所資格が与えられる)、矯正研修所東京都府中市)において約6か月間の研修を実施する。

広島少年院暴行事件

広島県東広島市にある広島少年院2009年4月、複数の法務教官によって在院者に対して腹部や顔面への暴行のほか、トイレに行かせずに失禁させたり、腕立て伏せを1000回するよう命じ、達成できなければ進級[1]を遅らせるとして腕立て伏せを強制するなどといった虐待行為と思われる事案が115件あったことが判明した。この事件で虐待行為をしたとされる5人の法務教官が43件の特別公務員暴行陵虐罪で起訴され、一審の広島地裁では5人全員が有罪判決を受けた。1人は広島高裁控訴したが、2011年6月30日棄却、弁護側は即日上告[2]

久里浜少年院いじめ暴行事件

神奈川県横須賀市にある久里浜少年院で、1980年以来断続的に法務教官による新人法務教官に対する暴力を伴ったいじめの事例が発生し、内部告発されたテンプレート:要出典

脚注

  1. 少年院における累進処遇上の級が昇級すること。昇級すると処遇の規制が緩和され、社会復帰への道が早くなる。
  2. テンプレート:Cite web

 

関連項目

テンプレート:Gov-stub テンプレート:法務省 テンプレート:矯正局