正山小種

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テンプレート:中華圏の事物 正山小種(ラプサン・スーチョン)、烟茶(エンチャ、smoked tea)[1]は、紅茶の一種である。

紅茶の茶葉葉で燻して着香した[1]フレーバーティーの一種で、癖のある非常に強い燻香が特徴である。生産地は中国福建省武夷山市周辺の一部。正山は、現地で武夷山を指す俗称。現地では、半発酵茶岩茶類と区別すればよいので、単に紅茶とも呼んでいる。なお、小種 (Xiao-zhong,Souchong) とは岩茶の原料ともなる茶樹の種類のことであるが、紅茶の等級の一種であるスーチョンの語源にもなっている。

同じ製法で作られ、生産地が異なる外山小種(タリースーチョン)なども存在する。

生産された茶のほとんどがイギリスへ輸出されており[1]日本へ中国から直接輸入される事は多くない。そのため、大半がイギリスを経由して輸入されており、また、こうした輸入事情により中国茶として扱われない場合もある。

発祥

正山小種の発祥については紅茶の成り立ちとも関連する伝承がある。武夷山の桐木村では古くから岩茶が作られていたが、明代から清代へ移行する17世紀の混乱期に、軍隊がこの村へ進行してきた。軍隊の駐屯中は茶の製造作業ができなかったため、軍隊が去った後に松を燃やして茶葉乾燥の作業効率を上げようとしたところ、茶葉にその香りが定着し正山小種が生まれたというものである。

(なお軍隊の駐屯中、作業が停止したことにより茶葉の発酵が進み、これが最初の紅茶となったとも言われているが、紅茶の成り立ちについては未だ諸説が存在し、明確な結論には至っていない。)

特徴

ファイル:Lapsang souchong tea.jpg
淹れたラプサン・スーチョン

日本でしばしばその香りが正露丸にたとえられるのは、正露丸の主成分であるクレオソートの香りが松葉による燻香とほぼ同じだからである。ロンドンの水は石灰質を多く含むため、日本でいれるよりも味や香りが軽くなるという[2]。非常に特徴のある香りのために好みが分かれるが、その香りに魅せられる紅茶愛飲家も多い。

欧米への輸出用のものは燻香が強く中国国内向けのものは燻香が淡いものが多い。中にはまったく燻香を含まないものもある。

参考文献

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

テンプレート:茶
  1. 1.0 1.1 1.2 テンプレート:Cite book 36p
  2. 磯淵猛 『一杯の紅茶の世界史』 文藝春秋〈文春新書〉、2005年、40頁。