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マリア・フョードロヴナの棺。後方の壁に掛けられているのは八端十字架

かんひつぎ))とは、遺体を納めて葬るための容器。木製の場合は木棺(もっかん)、石造の場合は石棺(せっかん)と称される。

俗に、中身が入っていないものを棺、遺体が収められたものを「柩」とする説があるが、遺体が収められたものを家から火葬場に送り出すことを「出棺」といったり、棺に「ひつぎ」の訓があるように、「かん」と「ひつぎ」の使い分けはほとんどない。

しかし、棺を載せる台を「棺台」(かんだい)、棺を巻いて荘厳する布を「棺巻」(かんまき)と呼ぶため、「故人が入っているものを柩」ということにこだわる場合、「柩を棺台に載せる」という表現になり、文章的に齟齬を来たす。故人が入っているものが「柩」であるのに、その台が「棺」台ということも矛盾がある。しかし、柩台、柩巻とは書かない。

「中身があるものを柩」というのはあくまでも俗説であり、一部の有識者や僧侶が主張するような学説ではない。

現代の棺

日本

今日の日本では火葬がほとんどであるため、それに適した棺が使用されている。大きく分けて天然木棺と合板製のフラッシュ棺に分けられる。 天然木棺は、主材が檜(ヒノキ)、樅(モミ)、桐(キリ)などの無垢材が用いられ高級品である。一方フラッシュ棺は、薄いラワン合板の間に芯材を入れて貼り合わせ、表面に天然木(桐が主流)を薄くスライスしたものを貼った突板貼り合板棺、木目を紙に印刷したプリント合板棺、布を貼った布張り棺がある。 最近は熱帯雨林の保護や地球温暖化そして地球資源の有効活用から、環境に配慮した特殊段ボール製のエコ棺も出始めている。 また、形状はそれぞれ型、カマボコ型、型、型などがあり、外観には彫刻を施した総彫刻、五面彫刻、三面彫刻、二面彫刻などの彫刻棺もある。サイズは火葬場により入れられる寸法が異なる。一般的に関東は大きめの棺が使われている。蓋には遺体の顔を見られるように専用の蓋で開く小窓がついている事が多い。

内装のほとんどは白が主流で、素材としてはポリエステルが用いられているが、価格により高価な素材が使われ、レース等の装飾が施されている。

棺の価格は安いものでも数万円は珍しくなく、高いものでは数十万〜100万円以上するものもある。遺体と共に愛用品やお気に入りだった衣服書籍などを副葬品として納め、そのまま火葬する事もあるが、最近は環境問題から火葬場側ではそれを自粛するように呼びかけられている(特にプラスチック類など)。しかし現状では社交的・風習的な事情からもそれが難しい側面がある。

棺の歴史

日本

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長持型石棺

弥生時代には、甕棺や憤丘墓に棺が使われた。弥生憤丘墓の棺は短く、内法で2メートル程度の組み合わせ箱形木棺が主流であった。中には底がカーブしており割竹形木棺のような棺もあり、組み合わせ石棺も北九州などにある。

古墳時代には、木棺や石棺が使われた。その形は様々で、木棺では刳り抜き式の割竹形(わりたけがた)、組合せ式箱形、長持形(ながもちがた)などがあり、石棺には割竹形、長持形などがある。

古墳時代に盛行した割竹形木棺(わりたけがたもっかん)は、直径1メートル前後のかなり太い丸木を縦に割り、内部を刳り抜いて大人1人の遺骸を収納できるようにした棺である。この名の由来は、竹を縦にわってつくったように見えることに由来するものと考えられる。舟形木棺(ふながたもっかん)も同じような造り方。棺の長さは平均でも5メートル前後、長いものは8メートルにもおよび、1人の遺骸を納めるには長すぎる。副葬品を入れるためとも思われるが、そればかりではないという意見もある。しかし、3分割して頭部上と足部下に各種品を納めている例もある。材質はコウヤマキが圧倒的に多い。

鎌倉時代からは型の棺(座棺)が主流となった。現在も使用されている「棺桶(かんおけ)」という呼称はこの形状に由来する。座棺はまだ火葬が主流になる前、土葬をする際に多く用いられた。戦前の瀬戸内地方を舞台とした映画の『カンゾー先生』でも、遺体を樽状の棺に入れて棒をわたし、男2人で棒を担いで運ぶシーンが登場する。火葬も可能であったがこの棺に対応する火葬場が少なく、薪木を燃料としていた場合は火力も弱かったので、実際に火葬が普及するのは戦後を待たなければならない。今日では土葬の減少もあって、主に寝棺が使われている。

中国

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オリエント

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地中海世界

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ヨーロッパ

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関連項目

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