朝日新聞の新党日本に関する捏造事件
朝日新聞の新党日本に関する捏造事件(あさひしんぶんのしんとうにっぽんにかんするねつぞうじけん)は、2005年に起きた朝日新聞の記事捏造事件である。朝日新聞社では虚偽メモ問題(きょぎメモもんだい)と呼んでいる。
事件概要
郵政民営化法案をめぐって8月8日に衆議院が解散され、各政党が総選挙に向けて動き出した時期に事件は起こった。
自由民主党の公認を得られなくなった亀井静香と当時の長野県知事である田中康夫が新党を立ち上げるという噂があり、朝日新聞東京本社は朝日新聞長野総局(長野市)に対して何か情報を得ていないか問い合わせた。これに対して長野総局の記者が取材をしていないのにも関わらず、田中の過去の発言を元に虚像の取材メモを作成。このメモから、東京本社の政治部記者により亀井と田中が新党日本立ち上げに向けてどのような行動をとったのかについて書かれた8月21日朝刊の記事が作成された。
8月21日の記事では、亀井と田中が「長野県内で会談した」としていた。
8月23日の長野県知事定例会見で田中が、長野県内ではなくて「東京都内で会談」したのであり、記事が事実ではないことを指摘し発覚した。
8月29日に朝日新聞は記事に誤りがあることを認め、亀井と田中に謝罪した。長野総局の問題の記者は懲戒解雇された。また、30日朝刊に事件の経緯とおわびを掲載した。31日朝刊社説でも事件について述べている。前社長で朝日新聞社取締役相談役の箱島信一は日本新聞協会会長を10月中に辞任すると表明した。その後、2006年12月1日付けで、この事件などの不祥事をきっかけとして組織再編を行なった。また、「朝日新聞記者行動基準」を発表した。
事件に対する反応
朝日新聞は捏造を認めた後、記者会見をせず報道各社に経緯を書いたファックスを送信しただけで済ませたため、その姿勢に批判が集中した。その後、対応の誤りを認めて謝罪した。
参考資料
- 齋藤憲・監修『企業不祥事事典』(日外アソシエーツ)
関連項目
外部リンク
- 連載 第三十七回「続・憂国呆談」番外編Webスペシャル 最低限の責任さえ放棄した国家 - 冒頭で本事件について触れており、田中は記者自身よりも「朝日新聞上層部」の空気が問題としている。
- 朝日新聞社 信頼される報道のために