数量化理論

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数量化理論(すうりょうかりろん、Hayashi's quantification methods)は、統計数理研究所元所長の林知己夫によって1940年代後半から50年代にかけて開発された日本独自の多次元データ分析法である。 数量化理論にはI類、II類、III類、IV類、V類、VI類までの6つの方法があるが、現在、I類からIV類までがよく知られている。この何類という名称は、1964年に社会心理学者の飽戸弘東洋英和女学院大学学長、東京大学名誉教授)によって命名されたもので、以後その名称が定着した。

日本国内で開発され、普及したが、海外においても本質的に同種の手法が提唱されていたものも少なくなく、中には本質的に同一でありながら異なる名称であるがゆえに当初着目されず、今日になってその成果が再評価される例などもある。

程度,状態,有無,ハイ/イイエなど数値データ(量的データ)ではないデータ(質的データ)を分析するために、それらに強制的に数値を割り付けて既存の多変量解析手法を用いたり、 質的データ間の類似度を定義し、それに基づいた相互関係の解析を行う手法群である。

ダミー変数の導入による質的データの数値化により、 回帰分析を行うのが数量化I類、 判別分析を行うのが数量化II類と理解できる。 数量化III類は主成分分析あるいは因子分析に対応し、各国で独立に同じ解を与える手法が発展してきており、 パリ第6大学ジャン=ポール・ベンゼクリ J.-P.Benzécri により1970年代初頭に開発されたコレスポンデンス分析対応分析)、西里静彦による双対尺度法(Dual Scaling)、Albert Gifiによる等質性分析(homogeneity analysis)などと本質的に同じものである。 また、数量化IV類は多次元尺度構成法(MDS)に包含される。