唐音
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唐音(とうおん・とういん)は、日本漢字音(音読み)において鎌倉時代以降に中国から入ってきた字音。宋以降の字音である。唐音の唐は、漢音・呉音と同様に、王朝名を表す(唐朝)のではなく、中国を表す語(唐土)である。
概要
室町時代には宋音(そうおん)と呼ばれた。唐音と宋音をあわせて唐宋音(とうそうおん)とも呼ばれる。唐音は呉音・漢音のようにすべての字にわたる体系的なものではなく、断片的で特定の語と同時に入ってきた音である。遣唐使の中止で途絶えた日中間の交流が、平安末、鎌倉初から再開し、室町、江戸を通じてさかんになって、禅宗の留学僧や民間貿易の商人たちによってもたらされた。
学術的には鎌倉仏教の禅宗にもとづく中世唐音(これを宋音と呼ぶ人もいる)と、江戸時代の黄檗宗にもとづく近世唐音に分けられる。
例
- 餡(アン)
- 行火(アンカ)
- 行脚(アンギャ)
- 杏子(アンズ)
- 行灯(アンドン)
- 椅子(イス)
- 茴香(ウイキョウ)
- 胡乱(ウロン)
- 胡散(ウサン)
- 看經(カンキン)
- 橘飩(キットン) - 異説あり
- 銀杏(ギンナン) - 「杏」の唐音は「アン」だが、連声によって「ギンナン」
- 石灰(シックイ) - 当て字で「漆喰」と書くことが定着している
- 清(シン)
- 繻子(シュス)
- 杜撰(ズサン)
- 水団(スイトン)
- 扇子(センス)
- 炭団(タドン)
- 箪笥(タンス)
- 湯麺(タンメン)
- 楪子(チャツ)
- 提燈(チョウチン)
- 亭(チン)
- 団栗(ドングリ)
- 緞子(ドンス)
- 南京(ナンキン) - 地名
- 暖簾(ノレン)
- 瓶(ビン)
- 普請(フシン)
- 蒲団(フトン)
- 北京(ペキン) - 地名
- 饅頭(マンジュウ)
- 明(ミン)
- 鈴(リン)
- 湯婆(タンポ) - 「湯たんぽ」の「たんぽ」
参考文献
テンプレート:節stub 湯沢質幸『唐音の研究』,勉誠社,1987年