姓名判断

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テンプレート:出典の明記 姓名判断せいめいはんだん)とは、人の姓名からその人の性格や人生の趨勢、適職、恋愛の傾向、結婚運・家庭運、かかりやすい病気など、一般に運勢として総称される事柄について解釈を与える占いの手法の一つ。

一般的に、人の姓名の文字の画数から5つの格数を算出し、それらに与えられた伝統的・経験的な解釈に基づいて解釈を行う。また、生年月日(人物の持つ本来の性質・役割)と、陰陽二気(身体的調和)、および姓名が発音されるときの音を五行に対応させた際の調和、八卦九星などの数理との関係、姓名を文として解釈するところの意味などを考慮して、総合的な鑑定を示すこともある。 姓名判断は、個々の漢字の画数ではなく、漢字2つ以上の合算にて占う学問(哲学)である。この点は、誤解されないように注意されたい。

鑑定に科学的根拠や合理的理由は無いように言われるが、姓名判断は統計学である。統計であるからこそ、当たっているから信じる人が多い。他の占いとの違いである。 従い、新派は沢山あるが、信憑性はその理論を作った者(創始者)が、「どのくらいの実際の鑑定経験を積んだか」で決まると言っても過言ではない。

五運

以下に示すのは一例であり、実際の占い方は占い師によって微妙に異なる。この他、五行を用いた三才で健康運を見ることもある。伏運、社会運、家庭運を出す流派もある。 占い師や流派によって、考え方が異なり、姓名判断は統一された学問ではないことがよく分かる。

天格(祖格)

姓の総画数。一文字姓は、霊数を加える。

この数が直接運勢を支配することはなく、他格との相関で運勢が変わる。 即ち、天格だけで吉凶は判断しないが、姓と名の画数の関係が、姓名判断においては重要である。 婚姻をすると、一般的には配偶者のどちらか一方の姓を他方の姓に合わせるため、配偶者の一方は婚姻後には天格が変わり、地格以外の全てが変化することになる。

祖先運として、晩年になるほど影響力を強めるとされる流派もあるが、総格との関係が曖昧である。

人格(主格)

姓の最後と名の第一字を足したもの。主運を表す。

姓と名双方の画数を用いることから、姓名の中心、五運の中核を成す。

同一の格数であっても、姓と名からどのような画数が組み合わさっているかによって、その強弱が左右される。

人物の内面をあらわし、家庭・仕事・結婚運、中年期の運勢に影響を与える。 具体的には、人格が吉数であれば性格面で良い影響(物事を前向きに考える、積極的に活動できる、自信にあふれる等)が現れ、逆に凶数であれば悪い影響(物事を悪く捉える、自信を喪失しやすい、他人を妬みがち等)が現れる。本来は性格面を表象する数であるが、人間の性格が人と触れ合う際に意味がある以上、必然的にこの数が仕事運や家庭運を司ることになる。

地格

名の画数の合計。一文字名の場合は、霊数を加える。

幼年期〜成人までの運勢をあらわし、人物の成長過程に強い影響を与えるため、性格、才能、金運、適職、性的傾向に関与する。

人格が人間の内面を表象する数であるのに対し、外格は「他人に対する自分の印象」を表す数である。

外格

姓の画数(下一文字を除く)と名の画数(頭一文字を除く)の合計。

一字姓、一字名の場合はそれぞれ、霊数を用い1 とする。姓も名も一字の場合は必然的に 2 になる。

家族や職場などの外因的要素、対人関係・社会的環境一般の運勢。

人生は人間関係によって決まるといっても過言ではない。他の数が吉数でも外格が凶数であれば人間関係に恵まれず、人生の実りを大きく損ねる可能性があるので注意する必要がある。逆に吉数であればよき友人・よき配偶者・よき上司・よき先輩等に恵まれる。

総格

姓名の総画数。霊数は加えない。

人生を歩むにつれて色濃くでてくるといわれ、晩年、40歳以降の運勢を表す数である。

霊数

一字姓、一字名の場合に足す数。

本来、姓名判断では、姓と名を各2文字(計4文字)を前提として鑑定方法が確立されているので、この考え方が必要となった。

一文字の姓名においては天格・地格・外格の鑑定の際、仮数として1を加えて鑑定する。この仮数を霊数と呼ぶ。 但し、鑑定士によっては霊数を加えず、そのままの数で鑑定する者もいる。ちなみに、どの流派でも総画の判断においては霊数は加えない。

20歳以上の場合のみに霊数を加える流派もある。

数理

画数によっての吉、凶を表す考え方。

数理は吉と凶が表裏の関係にあることから、吉と凶のどちらかが強く現れたものと解釈すべきである。 吉凶相半数というものもあり、必ずしも、どちらかに分類されるものではない。

奇数を陽、偶数を陰として、偶数より奇数の方が強く影響するという陰陽説もある。 姓名とは強弱の調和(バランス)が最も重要であり、姓名の格に凶数を含むことが一般的に「悪い」と解釈されるべきではない。逆もしかりである。

勿論、姓名を構成する単独の文字の画数で、吉凶を議論すべきではない。 なお、姓名判断は1から80画までで、81画以上は1画に戻って順番に割当る。

男女ともに円満幸福の数 5 6 11 13 15 24 31 32 37 41 45 47 48 52 63 65

発展運の数 16 17 21 23 29 39 47 48 52

財運の強い数 15 24 29 31 37 39 47 48 52

頑固な数 7 8 12 14 17 18 27 28

後家相の数 21 23 29 33 39

波乱変動の数 26 28 30 36 40 46 49

危険事故病弱数 9 10 19 20 28

破壊運の数 4 14 34 44 54 64

各々の数に固有の意味がある。各部分の姓名の画数から被鑑定者の性格や考え方を調べた上で総合的な解釈、あるいは人生の進むべき方向性の示唆をするのが一般的である。

凶数

凶意を示す数。

2 4 9 10 12 14 19 20 22 26 27 28 30 34 36 42 43 44 46 49 50 54 56 59 60 62 64 66 69 70 71 73 74 76 79 80

画数が多くなるほど、凶数が増えることに注意されたい。

吉数

吉意を示す数。

1 3 5 6 7 8 11 13 15 16 17 18 21 23 24 25 29 31 32 33 35 37 38 39 41 45 47 48 52 57 58 61 63 65 67 68

なお、流派によっては、強運数と言い、女性には逆に凶数となる場合もある。

例 21 23 29 33 39

その他の凶配列

以下凶配列に関しては全ての流派で採用されている訳ではなく、考え方そのものが無い流派も多い。

天地同格(天地同画)
天格と地格が同数になることを天地同格といい、多くの流派で大凶としている。
陰陽配合
姓名のすべての漢字が偶数のみまたは奇数のみの場合を、陰陽配合と呼び、やはり凶としている。また、両方があっても並び方によってはさらに凶であるとする場合もある。
天天地地・精神連鎖
姓の最初の文字と、名の最後の文字が同画であること。精神的に不安定になることが多いとされる。
天地連鎖
姓の最初の文字と、名の最初の文字が同画であること。凶現象を引き寄せるとされる。

漢字の画数計算

画数の計算にはいくつかの方法がある。康煕字典を基準とした、旧字体の画数で計算する流派と、現行の新字体の画数で計算する流派がある。 また、部首を本字に直して計算する場合があり、旧字体派の場合はこの方法をとることが多い。たとえば「洋」は9画だが、さんずいは本字に直すと水であるため4画と計算し、合計10画とする。くさかんむりのように、3画派、4画派、6画派がそれぞれ地位を持っているものもある。 また、「澤・沢」のように両方が使われている場合や、「佐々木」の々のように同じ字が続く場合はどうするかについても流派によって異なる。

しかし、同じ漢字でありながら、書き方が違うと画数が変わるのであれば、姓名判断の信憑性は薄れてしまう。 旧字体、新字体、俗字体、本字体であれ、一つの起源の漢字は、同画数と扱うのが妥当だと思われる。

漢字だけではなく、ひらがなでも実際に手で書く画数とは異なる画数で計算する場合もある(「ち」を3画など)。

姓名判断の流派

姓名判断の理論、基礎的内容は熊﨑健翁によって広く世に広められ、熊﨑が姓名判断の源流と広く認知されている。しかし、熊﨑は姓名判断の理論を開発したのではなく、明治時代の易者・林文嶺と言語学者・永杜鷹堂が理論化したものを、大衆向けによりシンプルにしたものが熊﨑の姓名学である。

簡素化された理論は非常に理解しやすく、広く一般に姓名判断を普及させた熊﨑の功績は大きい。簡素化したことによる弊害として、真理が見抜けない娯楽的な姓名判断を普及させてしまった。という意見を説く鑑定士もいる。しかし、余り厳密に考えても結果が大きく変わることはない。

熊﨑式では、漢字の画数を戦前の字体である旧漢字の画数(正確には康煕字典の画数)でカウントする方法を取っており、多くの姓名判断の流派でこの方法が採用されている。一方で、新漢字は戦後の字体である新漢字のままで画数をカウントする流派も現れてきている。

熊崎式姓名判断をベースに陰陽五行を取り入れ、健康運を判断しているのが山本式姓名判断である。1998年にいち早くインタネットでの無料姓名判断を実現した、Web姓名判断の老舗でもある。無料でここまで鑑定するのか!という驚きの声も多く、TVのバラエティー番組にも採用されている。

また、新字派の桑野燿齊による「桑野式内画法」では、熊﨑式とはその理論的内容において一線を画し、五行、三才を廃し、従来の五格のほかに独自の4つの格をとり、同格現象、内格法という独自の理論を持っている。

また、熊﨑式以前のより複雑な理論を採用する流派では、画数の吉凶の判断に、四柱推命の「十干」の理論を用い、単に1 - 81画に対して機械的に意味を当てはめるのではなく、多元的に網羅的に判断しなければならないとしている。

近代では同格同数理論にカバラをくわえた吉元式新しい姓名判断などもある。

実用例

歴史のある有名企業に置いては、陰で姓名判断の占い師が活躍しているところもある。 シャープの元社長の片山氏の「片」は社長就任後に書き換えられ、社内PCには外字登録までされていた。 歌手の本田美奈子.は、姓名判断により名前の最後に点をつけた。また、麻原彰晃は姓名判断を考慮した類まれな吉名であるとされる。

このほかにも野球の山本浩二や歌手の石田燿子加山雄三渡辺えりなどが姓名判断を元に改名した経験を持つ。


外部リンク

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