唯物論研究会

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唯物論研究会(ゆいぶつろんけんきゅうかい)は、1932年昭和7)に戸坂潤三枝博音岡邦雄らによって創立された研究団体。略称は『唯研』。治安維持法による取締りを避けるため、マルクス主義者による団体という形態をとらず、あくまで唯物論について広く研究することを目的とした団体として創立されたため、必ずしもマルクス主義の立場にはない科学者などの参加もあった(寺田寅彦など)。しかし、1938年には解散へと追い込まれた。

活動期間は短かったとはいえ、『唯物論全書』を刊行したことなどによって、当時の思想界のみならず、戦後日本の唯物論研究に多大な影響をあたえた[1]。機関誌は『唯物論研究』で、1932年11月の創刊号から、1938年3月の第65号まで刊行された。解散後の後継誌として『学芸』を翌4月から発行したが、11月号まで刊行したところで再び取締りにあい、12月号(通算74号)は、発行直前に当局に押収され、そのまま廃刊に追い込まれた。(復刻版が青木書店から刊行されているが、この12月号は収録が不可能であった)

戸坂潤の影響下での客観主義的思考と思惟の明晰さが、この研究会の思想の特徴であるといわれる。

主なメンバー

関連書籍

  • 古在由重『戦時下の唯物論者たち』青木書店、1982年、ISBN 4-250-82051-3
  • 『季刊・唯物論研究』編集部(編) 『証言・唯物論研究会事件と天皇制』新泉社、1989年

脚注

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関連項目

関連項目

  • また、実質的には『三笠全書』の刊行にも関与している。