単数

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Rの元<math>a</math>が積に関して逆元を持つ時、つまり、 <math>a a^{-1} = a^{-1} a = 1</math> となる <math>a</math>が存在する時、<math>a</math>を環R単数(たんすう、unit)という。

環論の用語を使わない場合、次のように表現できる。この2つの定義は等しい。

ただし、約数・逆数は、自然数論での定義を一般化し、次のように定義する。

  • <math>a = bc</math> であるとき、<math>b</math> は <math>a</math> の約数である(<math>c</math> も <math>a</math> の約数である)。
  • <math>ab = 1</math> であるとき、<math>b</math> は <math>a</math> の逆数である(<math>a</math> も <math>b</math> の逆数である)。

たとえば自然数の中では、1の約数は1のみで、逆数が存在するのも1のみである(自然数でない逆数は逆数と認めない)。したがって、自然数の単数は1のみである。

単数を使って定義される概念

  • 同伴 - ある数に対し、それに単数をかけて得られる数を、元の数の同伴であるという。
  • 素数 - ある単数以外の数の約数が、単数とその数自身の同伴のみのとき、その数を素数という。
  • 互いに素 - 2つの整数の公約数が単数のみであるとき、それらは互いに素であるという。

例えば、

  • 自然数については、同伴はその数自身のみである。素数、互いに素は、通常の意味である。
  • 整数については、同伴はその数自身とその反数(-1倍)である。素数は通常の意味での素数と、それらの反数である。互いに素は通常の意味である。