低公害車

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名古屋市の公用車として使われている低公害車

低公害車(ていこうがいしゃ)は、大気汚染物質(窒素酸化物一酸化炭素二酸化炭素など)の排出が少なく、環境への負荷が少ない自動車。狭義には電気自動車メタノール自動車圧縮天然ガス (CNG) 自動車圧縮空気車及びハイブリッド自動車の5車種を指す。低公害車の認定を受けた自動車は、税制面で優遇される等の特典を持つ。通称はエコカー (eco car)。

概要

日本では、環境省国土交通省経済産業省の3省は「低公害車」という場合には圧縮空気車を除く4種類の四低又は低公害車4兄弟を指す。基本的に「低公害性能」の他に「石油代替性」が要求されている。また日本政府の「低公害車普及計画」では、これらに加え「低排出ガス認定かつ低燃費車」を含め、クリーンエネルギー自動車という概念ではLPG車のうちトラック等貨物車とバス・特種車を加え「ディーゼル代替LPG車」が加わり、低排出ガスのガソリン車は除外されるという不思議な構造となっている。

日本以外では、代替燃料車として電気、メタノール等のアルコール系、天然ガス・LPガス・水素・DMEのガス系が上げられ、低排出ガス性能については「燃料を問わず一定のレベルをクリア」することが主流である。

日本では特に四低は石油代替法の足かせにより、既に数十台しかないメタノール車がいまだに「低公害車4兄弟」の1つとされていたり、CNG車と排出ガス性能でほとんど差のないLPG車が除外されていたり、「燃料電池自動車」は低公害車とはされていない。また、ガソリン・軽油の既存の液体燃料を使用する車両のうち排出ガス性能で低公害車としたため、概念が整理されていない。

低公害車の主な種類

研究・開発中の低公害車

超低公害車・無公害車

低排出ガス車のうち、特に排出ガスの低公害性が高い車両 (car) を超低公害車という場合がある。超低公害の輸送機器 (vehicle) を総称して ULEV (ultralow-emission vehicle) という。また、電気自動車など排出ガスがゼロである車両を無公害車という場合がある。無公害の輸送機器を総称して ZEV (zero-emission vehicle) という。また、無公害車に近いレベルの車両を極超低公害車という場合もある。極超低公害の輸送機器を総称して SULEV (Super ultralow-emission vehicle) という。

「低公害」「無公害」の限定性

低公害車、あるいは無公害車の「低公害」「無公害」とは、その車両が走行する周囲の限定的な環境に対しての「低公害・無公害」を指している。例えば電気自動車の走行に必要な電力を石油燃料を用いて発電(火力発電)した際に排出される大気汚染物質などについては考慮されていない。

低公害車や無公害車でも、新しく製造する過程や、廃棄(廃車)する過程において、やはり温室効果ガスや大気汚染物質が排出される。電気自動車・ハイブリッド自動車などに搭載されるバッテリーは廃棄時の環境負荷が大きい。(さらにハイブリッドの場合、この面では通常のガソリン車よりもバッテリーが余計に存在する分環境に悪い。故にそれ相応の燃費向上が期待できなければ全くエコではない。もちろん、この比較ではピュアガソリン車の燃費も向上していることを忘れてはならない。)

また、使用環境と車両特性がマッチしていない場合(例えばハイブリッドは低速でモーター・高速でエンジンを使うという特性上、市内を走るタクシーのように低速・加減速が多い環境で走る場合は特性が発揮される。しかし逆に高速道路ばかり使う場合は「無駄に重いガソリン車」でしか無くなってしまう。)も当然逆効果になりうる。

つまり、車両の製造、使用、廃車まで、全体を見渡すと、低公害・無公害とは決して言えない場合もあるということである[1]

購入補助制度

経済対策と環境対策のために、低公害車の普及を促進させるべく、低公害車の購入について補助を行う国が増えている。

日本でも、バブル景気の崩壊以降は新車販売台数が落ちる一方であり、各自動車メーカーの国内での業績も悪化する一方であった。また近年の環境保護への意識の高まりもあり、温室効果ガスや有害物質の排出量抑制や、有限エネルギーの省エネ性が求められるようになった。 そこで国は、経済対策のために、環境対策と絡み合わせて様々な補助制度を展開し、買い替えや所有による各種優遇を行っている。しかしこのような対策は買い換え需要の底上げを狙った経済対策の性格が強く、使えるのにスクラップにしてしまうというもったいない運動に反した側面もある。

脚注

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関連項目

外部リンク

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  1. 『ハイブリッドカーは本当にエコなのか?』両角岳彦 宝島社 ISBN-13: 978-4796666916