主系列星

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テンプレート:ヘルツシュプルング・ラッセル図 主系列星(しゅけいれつせい)とは、HR図上で、左上(明るく高温)から図の右下(暗く低温)に延びる線である主系列 (Main Sequence) に位置する恒星をいう。

ファイル:Sun in X-Ray.png
典型的な主系列星である太陽

概要

質量の大きく明るい星は主系列上で左上、質量の小さく暗い星は主系列上で右下に位置する。主系列星はしばしば、恒星の一生において、人間で言えば働き盛り、壮年期にあたる星とされる事があるが、厳密には正しくない。誕生した恒星は、主として重力による位置エネルギーによって輝く原始星の段階を急速に通過し、主系列に入って、太陽のように水素核融合反応が安定に進行している状態で生涯の大部分を過ごし、進化の最終段階で急速に膨張して赤色巨星または赤色超巨星となり一生を終える。従って、巨大な質量を持ち誕生後数百万年で超新星となるようなものを除けば、大多数の恒星は生涯のほとんどの時間を主系列に位置する事になり、人間の場合とは異なった経過をたどる。また、そうした理由により全天の恒星の大部分は、この主系列星に属する。

恒星は、星雲から原始星として誕生し、この段階で、HR図上で表すと、最も右下から左上に向かって移動していくことになる。原始星は表面温度は低いが直径が主系列星よりも大きいので絶対等級は明るく、HR図上では主系列の右上、赤色巨星の下部に位置する。

やがて収縮し、中心核の温度が上昇し、核融合反応が始まると星は原始星から主系列星となり、その質量に応じて、質量の大きなものは左に、質量の小さなものは右下に、いずれも主系列上の位置に移動する。

主系列上に位置する時間の長さは恒星の質量による。質量が大きい星ほど核融合反応が激しく進行するので水素の枯渇が早く主系列上に位置する時間が短い。つまり質量の大きいスペクトル型がO型やB型のような主系列星は、寿命が短いといえる。

関連項目