ヴァンパイア セイヴァー 〜魂の迷い子〜

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テンプレート:Sidebar with collapsible listsヴァンパイア セイヴァー 〜魂の迷い子〜』(VAMPIRE SAVIOR たましいのまよいご)は、東まゆみ作の漫画作品。略称は「セイヴァー」。

1997年エニックス(現スクウェア・エニックス)刊の漫画雑誌月刊少年ガンガン増刊ガンガンWING」夏季号にて連載開始し、2001年月刊ガンガンWING」9月号にて連載終了した。ガンガンコミックス全5巻、全24話構成。

カプコン開発の2D対戦型格闘ゲームソフト『ヴァンパイア』シリーズの第3作目『ヴァンパイア セイヴァー The Lord of Vampire』を原作としたファンタジー漫画であるが、アレンジが加えられており、登場人物の性格などは原作ゲームと一致する事もあれば、全く異なっている場合もある。また設定としては第2作目『ヴァンパイア ハンター Darkstalkers' Revenge』に近いキャラもいる。

ゲーム版『ヴァンパイア』シリーズでプレイヤーが使用できるキャラクターは総勢18人。そのうち、本作に登場するのはパイロンを除く17人。その他に数人のサブキャラクターが登場する。


あらすじ

人々がダークストーカーと呼び恐れる闇の魔物達がうごめく世界…。夢魔の少女リリスは魔界の冥王ジェダの城を抜け出し、人間界へと降り立つ。彼女は魔界貴族モリガン=アーンスランドから切り離された魔力の一部に、ジェダが肉体を与えたことによって生まれたダークストーカーだった。 人間界で心優しい少年ジョーンと出会ったリリスは彼と共に暮らすようになるが…。

登場人物

リリス
モリガンの魔力のカケラから生まれたダークストーカーの少女。純粋で優しい性格だが魔族としての力は未熟そのもの。ジョーンとの暮らしを経て「自己」として生きることを決意。自分が生まれた意味を知るべく魔次元へ向かう。
魔次元の戦いでは初戦のアナカリス戦、2戦目のドノヴァン戦に辛勝(ただしドノヴァン戦は勝と言えるか微妙)する中で魔力を増幅させる等成長を見せるが3戦目のモリガン戦で力尽き一度は彼女に取り込まれてしまう。しかし後にモリガンが彼女の可能性に賭けて完全体のコントロールを託した事で復活。救済と称して「人間界」と「魔界」を一つにしようとするジェダに反発し彼と戦い、アニタの助けも有り結果的に勝利を収めジョーンの元へ帰還する。
ジョーン・スタトレイ
イギリスコーンウォール地方に住む人間の少年。絵を描くこととロビン・フッドの物語を愛する。魔界からやって来たリリスを自分の家にかくまう。リリスにとってかけがえのない存在。
モリガン・アーンスランド
魔王ベリオールの跡を継ぎ、アーンスランド家の当主となったサキュバス(夢魔)。高い魔力と知性を併せ持つ。自らの分身であるリリスを吸収し完全体となることを狙う。戦いに刺激を求める性格。
魔次元での戦いでは初戦のフォボス戦の序盤でやや苦戦したが、それを除いては余裕を見せる勝ち方で勝ち残り、3戦目ではリリスに圧倒的な力の差を見せ付ける形で叩き潰し彼女を自らの中に取り込み、ついに完全体になる事に成功する。だがジェダの野望を阻止するべく無限の可能性を持つリリスに完全体のコントロールを託し消滅する。
しかし最終話でリリスとすれ違った女性はモリガンと思われ、本当に消滅したわけではないことが示唆される。
ジェダ・ドーマ
100年の時を経て復活した魔界の冥王。全ての魂を「救済」すべく、「価値ある魂」を集めるため、異空間「魔次元」を創り出し、ダークストーカー達を呼び寄せる。
魔次元での戦いに最後まで生き残ったモリガンの魂を回収するべく彼女に襲い掛かるが彼の行いに疑問を抱き反発したリリス(対ジェダ戦の最中にモリガンがリリスに完全体のコントロールを託す)に魂を差し出す事を拒否されリリスと戦う事になる。戦いの最中彼女の想いの強さを認めリリスの最後の攻撃を敢えて真正面から受け止め、リリス等に世界と魔界の行く末を託し消滅する。
キュービィ
ジェダに忠誠を誓うソウルビー(の妖魔)。無数の蜂の部下を従えている。魔次元では最後まで生き残ったモリガンに騙し討ちする形で襲い掛かるが、ジェダの真意を聞き感情が爆発したリリス(しかしキュービー戦の段階では、まだモリガンの存在は消滅していない上にリリスはまだ完全体とシンクロ出来ていなかった)に瞬殺される。
フェリシア
ミュージカルスターを夢見るキャットウーマン。育ちは人間界。だが人間ではない容姿のため幼少の頃からいじめに逢っていた。リリスと親しくなる。スピードを生かした攻撃が得意。魔次元に飲み込まれた人々を救うべく自ら魔次元に向う。
魔次元での戦いでは初戦でビシャモンと対戦。攻撃力の差を埋めるべくスピードで対抗するが歯が立たずビシャモンの必殺技に散り魂を抜かれ脱落する。
最終話ではザベル、ル・マルタと共に遊園地のステージでライブを行う。歌って踊れるミュージカルシスター(尼さん)になるのが夢。
ガロン
人と獣の魂のせめぎ合いに苦しめられているワーウルフ(人狼)。バレッタに命を狙われている。リリスに諭され、獣の血を克服するため闘うことを決意。
魔次元では初戦でデミトリと対戦するも、獣の魂に抗うために自身の力を抑圧していることを見抜かれる。それでもあくまで人間として戦うことに固執した。しかし、理性で力を抑えつけた状態ではデミトリには対抗できず、圧倒的な力の前に片手で倒され魂を抜かれ脱落。ジェダは常に彼の魂を獣に導こうとしたが、リリスに誓った彼には通用しなかった。
最終話では人間界に戻ったものの、相変わらずバレッタに狙われている。
バレッタ
童話の「赤ずきん」のような姿をしたダークハンター(闇狩人)。銃火器類の扱いに長ける。賞金首となっているガロン達ダークストーカーを狩るため、自ら魔次元へ飛び込む。
魔次元では初戦でサスカッチと対戦、大苦戦するが彼女らしい大胆な作戦で不利な戦局を打開し辛くも勝利する。2戦目のデミトリ戦でも彼女らしい戦いを展開するもデミトリの前には全く通用せず敗れ脱落するが、実はデミトリ戦で行った奇襲作戦は後にデミトリと対峙する事になるザベルにとってデミトリ攻略のヒントとなっていた。
最終話で人間界に戻ったがしつこくガロンを付け狙っている、なお、彼女の破天荒な戦いぶりにジェダがずっこけるというシーンもある。
レイレイ
暗器と呼ばれる隠し武器による技を使うキョンシー。リンリンの力を借りることにより魔力を増幅できる。明るく活発な性格。原作「ヴァンパイアハンター」における戦いの後、再び双子の姉妹として転生したが、モリガンの襲撃により、前世での戦闘能力を取り戻す。記憶は戻っていない様子。
魔次元では初戦ビクトルと対戦、終始彼を圧倒する展開を見せるも戦いに対して非情になりきれず逆にピンチに陥るが、ザベルの忠告で再び戦いに集中しビクトルを破る。2戦目では、そのザベルが相手となり今度は逆に圧倒され瞬殺寸前だったが、ジェダが戦いに介入した事でリンリンによる魔力制御が出来なくなり、レイレイが暴走。力関係が一転しザベルを追い詰める。しかし姉であるリンリンまでに襲い掛かってしまう。結局最後はザベルが力づくでレイレイの暴走を止めリンリンは無傷だった。ザベルに姉を襲いそうになった自分を止めてくれた事への礼を言って脱落、彼女らの想いはザベルが引き継ぐ事になる。
最終話ではリンリンと共に人間の姿で人間界に戻っている。
リンリン
レイレイの双子の姉。魔力を込めた符の力によりレイレイを援護する。おとなしい性格。レイレイvsザベル戦でジェダの介入により魔力の制御が出来なくなり、暴走したレイレイに襲い掛かられるが、ザベルが体を張って彼女を死守した為無傷で済んだ。レイレイがザベルに敗れた事で彼女も魂を抜かれたと思われる。最終話ではレイレイと共に人間の姿で人間界に戻っている。
ザベル・ザロック
魔界の帝王オゾムに魂を売り、ゾンビとなったロックミュージシャン。多彩な機械武器を体内に持つ。同じアンデッド(不死体)のレイレイに惚れる。職業柄か陽気な性格で魔次元ではリリスやガロンの話し相手にもなっていた。言動は軽いが戦いでは実力者振りを見せ付ける。初戦のオルバス戦は強烈な連続攻撃で追い詰められるが一撃でオルバスを沈め、2戦目でも誤算は有ったがレイレイを破り、3戦目では最強と目されるデミトリに挑む、しかし格が違う戦闘力に圧倒され一回は体をバラバラにされるが不死の特性を活かして粘り続け、ル・マルタが命と引き換えに作ってくれた一瞬の隙を突きデミトリの心臓に会心の一撃を決め大番狂わせをやってのけた。しかしデミトリ戦で自身も力を使い果たしモリガンとの最終決戦を行わず後事を彼女に託し力尽きた。ちなみにモリガンの完全体のコントロール役はリリスが担っている事を彼は見抜いていた。
また最終話ではフェリシア、ル・マルタと共に遊園地でライブを行っていた。                                   
原作ではヒールなキャラとして描かれていたが本作では上記のとおりの主人公格の活躍っぷりを見せた(作者である東が彼を気に入っているためか)。
ル・マルタ
ザベルの相棒の魔界獣。飲み込んだ物を異空間転送する能力を持つ。バレッタに惚れる。デミトリvsザベル戦でデミトリが放った「デモンビリオン」からザベルを庇い消滅する。しかし消滅する際に散った自分の肉体がデミトリに対する目晦ましになり、それがザベルの会心の一撃に繋がった事を考えればル・マルタが居なければザベルがデミトリに勝つ事は不可能だったと言える。
最終話ではザベル、フェリシアと共に遊園地でライブを行った。
デミトリ・マキシモフ
魔界の支配者の座を狙うヴァンパイア(吸血鬼)。戦闘力・闘争心は圧倒的で「闇の貴公子」と呼ばれている。炎を操る能力を持つ。魔次元では初戦でガロンを、2戦目ではバレッタを無傷で倒し最強と目されたが3戦目のザベル戦で一瞬の隙からザベルに心臓を一突きにされ敗北。観戦していたモリガンにも「油断し過ぎ」と呆れられる羽目になった。
最終話ではしっかり復活し再び魔界の支配者の座を狙う。
ビシャモン
悪霊が憑依した鎧を纏うサムライ。血と殺戮を求め出会った者を斬り続ける。
魔次元では初戦フェリシアに圧勝するも、2戦目のモリガン戦ではモリガンを追い詰めたかに見えたが「これ以上戦っても自分の糧にならない」とビシャモンを見切ったモリガンに弱点を一突きにされ敗北、鎧に憑依していた霊魂をジェダに献上する結果になった。
フォボス
古代の科学技術により製造されたキラーマシーン。高性能のレーダーレーザー銃などを搭載している。魔次元では初戦でモリガン相手に押し気味の展開を作るが彼女の分身能力に惑わされて隙を突かれ始め結局はモリガンに破壊された。なおこの話ではセシルは登場しない。
サスカッチ
食欲旺盛なビッグフット。あらゆるものを凍らせる冷気を口から吐く。力は強いが知能は低い。魔次元ではバレッタと対戦、冷気で彼女を追い詰めるがバレッタの奇襲策に嵌って敗れて魂を抜かれた。最終話では復活しているが、バレッタに背中の体毛を刈られてしまっていた。
アナカリス
古代エジプトの王(ファラオ)。最強国家存続のためミイラの姿で現代へ蘇る。魔次元におけるリリスの最初の相手となる。そのリリス戦では変幻自在な攻撃にリリスが手も足も出ない状態に追い込んだが「1点を集中して突き続けて包帯で幾重にも覆われた堅い外側を破る」というリリスの戦略が終盤で実を結び結果的にはリリスの精神力が勝った形で消滅した。
ビクトル・フォン・ゲルデンハイム
怪力を誇る人造人間。同じ人造人間の妹・エミリーを眠りから起こすため電気を求めて魔次元へ来る。
魔次元では初戦でレイレイと対戦、素早い連撃に為す術が無かったが止めを刺そうとするレイレイの前に突如エミリーの亡霊(幻)が現れレイレイを制止させる、ビクトルとエミリーに情が移って攻撃出来なくなったレイレイに逆襲し追い詰めるがザベルの乱入で止めを刺すのに失敗、その後ザベルの忠告で戦いに集中し直したレイレイに今度こそ止めを刺され魂を抜かれ脱落した。
オルバス
水中に栄える王国を治めるマーマン。行方不明になった息子・アルバを探し、魔次元を訪れる。水流を自在に操れる。魔次元ではレイレイvsビクトルと同時展開でザベルと対戦、素早い連続攻撃でザベルをあと一歩の所まで追い詰めたが、ザベルの強烈な一撃に沈み魂を抜かれる。
最終話では復活し、アルバも見つかっている。
ドノヴァン・バイン
ダークストーカーズの間で瞬く間に名が知れ渡った驚異的な実力を持つダークハンター。モリガン曰くデミトリに比肩する力を持っているとの事。
魔族と人間との間に生まれた男。己の使命のため、ダークストーカーを狩り続ける。魔次元では2戦目から参戦、その2戦目ではリリスとの対戦になる、圧倒的な力でリリスを瞬殺したかと思われたが、リリスの内側から発する力とアニタが自分に見せた未来のヴィジョンから彼女を「闇を祓う闇」となる可能性を認識し彼女の力を試すような戦い方に変更、以後リリスに戦局を逆転され奥の手として持っている数珠を使い彼女の潜在能力を計りに掛かったところ、リリスの潜在能力はドノヴァンの想像を遥かに超えていた。結局最後の攻撃で力を使い果たし魂を抜かれ脱落。リリス戦で脱落はしたが戦闘では相手を圧倒もしくは実力を試すと言った形でデミトリ同様苦戦している描写が一切無い(実際リリス戦ではデミトリとザベルとモリガンが彼の戦い方に違和感を持っていた)。
最終話では復活し相変わらず魔物を狩り続けている。
アニタ
ドノヴァンと共に旅をしている無口な少女。予知、テレパシーといった超能力を持つ。
その能力は魔次元において、ジェダを圧倒するほどの力を持ち、リリスを手助けした。

単行本

  • 第1巻 1998年7月22日初版、ISBN 4-87025-314-3(背表紙リリス)
  • 第2巻 1999年6月22日初版、ISBN 4-7575-0031-9(背表紙モリガン)
  • 第3巻 2000年4月22日初版、ISBN 4-7575-0200-1(背表紙フェリシア)
  • 第4巻 2001年2月22日初版、ISBN 4-7575-0386-5(背表紙バレッタ)
  • 第5巻 2001年11月22日初版、ISBN 4-7575-0563-9(背表紙レイレイ)