レーウィンゾンデ

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ファイル:Meisei RS2-91 Rawinsonde.jpg
気球に取り付けられる直前のレーウィンゾンデ。(写真は日本の気象庁で使用されているRS2-91型)

レーウィンゾンデ (RawinSonde) は、高層気象観測機器のラジオゾンデの一種で、従来のラジオゾンデが持つ上空の気圧、気温、湿度の観測機能に加え、風向、風速の観測機能が付加された気象観測機器である。

レーウィンゾンデは無線測風 (Ra[dio] win[d]) の探測(Sonde,ドイツ語)の合成語であるが、風向・風速の観測にはゾンデの位置を無線で追跡する地上の方向探知器システムも必要である。

概要

レーウィンゾンデは水素ガスまたはヘリウムガスを充填した気象観測用ゴム気球(無人のゴム製軽気球)に無線発信器を搭載した観測機材を吊り下げ、1日2回定時(協定世界時で0時と12時すなわち日本時間で9時と21時)に各観測所から上空に放って観測する(実際に上空に放つ時刻は、目標高度まで上がるのにかかる時間も見越して08時30分と20時30分である)。

レーウィンゾンデ本体が観測する要素は気温気圧湿度で観測結果は刻々無線で送ってくる。日本の気象庁の主力ゾンデであるRS2-91型レーウィンゾンデの場合は、気球に接続された長さ15mのクレモナ紐(紐の強度はICAOで規定されている)に吊り下げられ、無線の電波に前述の3要素とレファレンス信号を発振音の変化に変換、時分割方式で送信する。

高度は地上の気圧観測値と海抜高度を基に、上空の気圧、気温、湿度、重力加速度を使い計算によって算出(測高公式)する。また、位置は地上に設置した自動追尾型の方向探知機システムを使用して高度角(仰角)と方位角(真北を360度とする)を0.01度単位で観測し、高度と角度からその位置を求め、一定時間毎に変位したゾンデの位置からその地点地点の風向風速を計算する。これらの観測結果によって高層天気図を作成する他、気象衛星から得られる観測データの校正や、数値予報の基礎データを得る。

ヨーロッパでは方向探知機システムを用いた無線追尾方式に比べて地上設備が簡易なGPSゾンデにとって変わられ、日本でも気象庁が2009年までにGPSゾンデに移行している。

レーウィン観測

レーウィン観測(レーウィンかんそく)とは、レーウィンゾンデによる観測を簡略した高層風観測で、ゴム気球に規定の気圧の間だけ動作する無線発信器付きの空盒気圧計を付けて飛ばすもの。

気温や湿度などの観測機能はなく、規定の気圧の間に無線発信器が動作している時だけ自動追尾型の方向探知機システムにより風向・風速を観測する。

レーウィン観測はかつてはレーウィンゾンデの観測の補完目的で行なわれてきたが、近年では世界的に観測の実施は減少しており、日本の気象庁では2004年3月をもってレーウィン観測は廃止され、風の乱れによる電波のドップラー効果を観測するウインドプロファイラによる観測に移行している。

主な製造メーカー

外部リンク

テンプレート:気象設備