ルパン三世 1$マネーウォーズ

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ルパン三世 1$マネーウォーズ』(ルパンさんせい ワンダラーマネーウォーズ)は、モンキー・パンチ原作のアニメ『ルパン三世』のTVスペシャルシリーズ第12作。2000年7月28日日本テレビ系の『金曜特別ロードショー』にて放送された。視聴率は19.7%。

概要

ナポレオンレーニンヒトラーなど世界の歴史的指導者の手から手へ渡り歩き、それを手に入れたものは「世界の王」になれるといわれている「幸運のブローチ」をめぐって、ルパンと銀行頭取シンシアとの争奪戦が展開する。作品の舞台はITバブルに沸くアメリカ。ルパンはノートパソコンにインストールした古代文字の翻訳ソフトを使用したり、悪役の女性が新興の投資銀行の社長だったりするなど、時代の世相を反映しており、当時の文化を振り返る作品としても興味深い内容となっている。

この作品の冒頭では、ルパンは競売の会場から逃亡する際、会場にいた参加者全員に自分の顔のマスクを被せ「ルパン三世 (TV第1シリーズ)」の19話「どっちか勝つか三代目」のオマージュに近い演出が行われている。またそのマスクはTVシリーズから劇場映画に至るまで、さまざまなデザインの物が使用されていた。

本作のゲストマドンナキャラクターは事実上2名体制となっており、一方はテレスペで比較的登場する少女タイプ、もう一方は敵役の頭取かつ大人の女性であり、ルパンに恋心を抱く微妙な心境が描かれている。

前半では、飛行機に変形できるスバル360が登場し、オープニングのカーチェイスや、その後の尾行などに使用されたが、ドアの開き方は実車とは異なっている(実車の場合、ドアの蝶番は後部にあるが、ルパンのものは前部に付いていた)。

5年ぶりに柏原寛司が脚本を手がけた。殿勝秀樹は監督としては初登板。また今回から撮影監督の長谷川肇が降板している。

トムス・エンタテインメントが現社名で製作した最初の作品にして、ルパン三世テレビスペシャルシリーズ最後の非デジタル制作作品でもあり、ルパン三世のアニメでは20世紀最後の作品ともなった。

あらすじ

1カラットもない安物の指輪、マルケスの記念指輪がニューヨークオークション会場に出品された。呆れ返る衆人をよそに、一人の紳士が百万ドルの値を付けるが、1$差でバンク・オブ・ワールド頭取のシンシアに競り負けてしまう。 そこへ銭形警部が現れた。 シンシアと競り合っていた紳士の正体はルパンだったのだ。 ルパンは指輪を奪い逃走しようとするが、シンシアの部下ナビコフに奪われてしまう。

指輪には、持っているだけで世界の王になれるというブローチの所在を示す秘密が隠されていて、シンシアもそのブローチを狙っていたのだ。 ルパンと次元は、宗教にのめり込む五ェ門と共にバンク・オブ・ワールドに忍び込んだ。途中次元がマグナムを紛失し、やむなくルパンのワルサーを借りるというトラブルがあったものの、ハイテク機器で固められた金庫室に、煙幕などのローテクを駆使して対抗し、見事指輪を取り返した。

その後、やはり相性の悪かった次元はワルサーをルパンに返却。そして銭形をまき、ナビコフの包囲もヘリでくぐり抜けるが、一瞬をついてナビコフの銃弾がルパンの胸を貫いた。ヘリから落下したルパンの死を確認し、指輪を再び奪ってナビコフは去って行く。

号泣する銭形と放心状態の不二子をよそに、次元と五ェ門はルパンの棺桶を土に埋めた。ICPOに辞表を提出した銭形をよそに、ルパンの仇討ちのためにナビコフの元に乗り込んだ次元・五ェ門・不二子。その最中次元はマグナムを奪還するが、3人とも敵の罠にかかり、対人地雷と時限爆弾から一歩も動けなくなってしまう。しかしそこに現れたのはルパンの埋葬時にいた神父だった。彼は対人地雷を解除すると三人を助け出す。

不思議がる三人の前で、神父はその正体を現した。なんと彼は射殺されたはずのルパン。ルパンは次元が返していたワルサーによって、奇跡的に助かったのである。日本に帰ろうとしていた銭形と途中で遭遇した後、彼らは海底油田が眠っているといわれる島、カリ島へと向かうのだった。

ゲストキャラクター

サンディ・フィッシュバーン
- 松本梨香
ルパンが幸運のブローチをプレゼントすると約束した、黒人女性歌手。とある芸能プロにその才能を見出され、本物の歌姫となった(その胸には幸運のブローチが付けられていた)。
シンシア・F・クレイモフ
声 - 小山茉美
巨大投資銀行「BOW(バンク・オブ・ワールド)」の若き女性頭取。父親は某国の独裁者だったが、その国で革命が起こって亡命する際に暗殺されており、その形見である1$のコインを肌身離さずに持っている。裏の世界全てを手に入れようと考え、幸運のブローチを狙い、更にはカリ島の石油採掘権も入手し、カリ島以外の産油地域でナビコフ達に戦争を起こさせる事で、経済の独裁をも目論む。しかし、ルパンに物の見事に嵌められた結果、BOWの株の大暴落を招いてしまい、一文無しになって、最終的にはルパンを射殺しようとするも失敗し、直後にカリ島の国王からICPOへ要請され、逮捕命令を受けた銭形によって反乱及びテロの疑いで逮捕される。
アレクセイ・ナビコフ
声 - 中田譲治
シンシアに雇われた凄腕の傭兵で、旧ソ連KGB局員であり、スペツナズにも所属していた。根っからの戦い好きでもある為、傭兵というよりは戦争屋に近い。目的のためなら自分の部下も平気で捨て駒にするほど非情で、利害関係でシンシアに協力しているだけでなく彼女に惚れ込んでおり、自分の女にしようともしていた。しかし、本人からはその事に関しては煙たがられ、新たに雇われた殺し屋に殺されかかった事もあるが、返り討ちにしている。ヘリの中からルパンを狙撃し、見事ルパンの左胸に命中させる(しかし、左胸部にワルサーP38をしまっていた為に死亡には至らなかった)。その後、カリ島以外の産油地域で戦争を引き起こそうとするものの、BOWの株の大暴落により実現不可能になった上に戦争に使う爆薬全てもルパンに爆破され、最後は計画の邪魔をしたルパンを殺そうとしたが、爆薬の入っていた倉庫の倒壊に巻き込まれ、剥がれ落ちた倉庫の壁の下敷きとなって死亡する。

声の出演

スタッフ

  • 原作 - モンキー・パンチ中央公論新社刊)
  • 監督・絵コンテ - 殿勝秀樹
  • 脚本 - 柏原寛司
  • 演出 - 矢野篤
  • キャラクターデザイン - 田中良
  • 作画監督 - をがわいちろを、大杉宜弘、平山智小林利充
  • 美術監督 - 宮野隆
  • 撮影監督 - 白井久男
  • 編集 - 鶴渕允寿
  • 音楽 - 大野雄二
  • 音楽監督 - 鈴木清司
  • 録音監督 - 加藤敏
  • 音響効果 - 糸川幸良
  • 音響制作 - 東北新社
  • 音響制作担当 - 田中信作、神部宗之、三好慶一郎
  • 制作担当 - 浄園祐
  • 脚本プロデューサー - 飯岡順一
  • アシスタント・プロデューサー - 大石祐道
  • プロデューサー - 山下洋、尾﨑穏通
  • 主題歌「Life's a Flame」
    • 歌 - ユー&エクスプロージョンバンド with リレット
  • 挿入歌「TAKE ME」(ラブ・スコール)
    • 歌 - 大野雄二トリオ with リレット
    • BGM - 「ルパン三世『1$マネーウォーズ』オリジナルサウンドトラック」
  • 企画・制作 - 日本テレビ
  • 製作 - トムス・エンタテインメント

関連項目

外部リンク

テンプレート:ルパン三世en:$1 Money Wars