ルパン三世 アルカトラズコネクション

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ルパン三世 アルカトラズコネクション』(ルパンさんせい アルカトラズコネクション)は、モンキー・パンチ原作のアニメ『ルパン三世』のTVスペシャルシリーズ第13作。2001年8月3日日本テレビ系の『金曜特別ロードショー』にて放送された。視聴率は22.8%。本シリーズ初のデジタル制作作品。

概要

サンフランシスコ沖に眠る沈没船の金塊を巡る、ルパンファミリーと秘密結社「シークレットセブン」との激しい金塊争奪戦を描く。敵組織の名を「シークレットセブン」にしたり、ケーブルカーで坂を下るなど、原作『新ルパン三世』のサンフランシスコ編からネタを拝借している。なお、この原作は『ルパン三世 PartIII』第1話「金塊はルパンを呼ぶ」でアニメ化されており、本作はそのリメイク版とも捉えられる。

本作ではゲストヒロインがラスト数分のみの登場となっている。TVスペシャルでストーリーラインに絡むマドンナキャラクターが登場しないのは、現時点では本作と次作の『ルパン三世 EPISODE:0 ファーストコンタクト』の2作のみである。

エンディングで、変装ではなくプライベートで洋服(Tシャツ・短パン)を着ている五ェ門を見ることができる。また、他のメンバーの服装も違う。

今回の「ルパン三世のテーマ」は従来のインストゥルメンタルではなく、akikoを起用した新しいヴォーカルバージョンとなっている。

本作はTVスペシャルのシリーズが始まって以来、初めてセル画からデジタル製作に変更となっている。また、21世紀最初の作品でもあり、銭形が「世紀を超えてお前(ルパン)と付き合うつもりはない」と、これを踏まえた発言をしている。

編集の鶴渕允寿はこの作品が最後の担当であった。

あらすじ

サンフランシスコ沖に浮かぶ違法カジノ船「マシンガン・ケリー号」から金を奪おうと、船に乗り込んだルパン・次元・不二子・五ェ門の4人であったが、ルパンからの予告状を見て現れた銭形警部の活躍によって計画は失敗してしまう。しかし、ルパンの真の狙いはカジノ船の金ではなく、船が調査している海底の地形データであり、ルパンはそちらを盗む事には見事成功していた。

ルパンは、そのデータを基にサンフランシスコ沖に眠る沈没船「ヤンキー・スレード号」に積み込まれていた金塊を手に入れようとしていたが、カジノ船の持ち主である秘密結社「シークレットセブン」に誘拐されてしまう。しかし、きっちりと地形データの入ったチップは3人の元へ残して行った事から、不二子はいつもの如くルパンをそっちのけで金塊の探索を開始するが、なぜか今回に限って五ェ門までもがルパンをそっちのけにする。実は五ェ門は、スーザンというモデルに恋をしていたのだ。

シークレットセブンが拠点にしている、かつてアル・カポネマシンガン・ケリーといった大物を収監していたアルカトラズ島に連行されてしまったルパンは、地下の拷問所で拷問好きの黄(ホワン)と、次元と因縁のあるハイエナにチップのありかを聞き出されそうになるが、そこに現れた次元の力を借りて黄(ホワン)を倒しハイエナを退け、アルカトラズ島を脱出した。その後、ルパンはシークレットセブンのメンバーやその秘密を次々と明らかにしていくが、銭形やシークレットセブンのみではなく、謎の黒服の男達の襲撃を受ける事にもなる。

果たしてシークレットセブンの本当の目的とは何なのか?そしてシークレットセブンとアルカトラズ、そしてかつて暗殺されたアメリカ大統領ジョン・F・ケネディの間にあり、闇の中に葬られてしまった驚くべき真実とは…?

ゲストキャラクター

テリー・クラウン
- 石田太郎
銭形と行動を共にするサンフランシスコ市警の警部補。ボサボサの頭によれた服装などから頼りなさが窺え、いつも食べ物が入った紙袋を小脇に抱えている。また、冒頭のカジノ船の捜査では金をくすねて銭形の注意を受けたり、後の受章式では公共の場にも関わらず間食をするなど手癖も行儀も悪い。
その正体は「シークレット・セブン」のボス。本性は相当に頭がキレ、部下を容赦なく処断する冷酷で、銭形の捜査能力を利用してルパンを追うなど知略にも長けている。また、右腕の袖にデリンジャーを隠し持っており、胡桃を手で玩ぶのが癖。刑事という表向きの顔も大きく関与しているが、自ら積極的に前線に赴く事も多く、組織の長としては珍しいタイプである。大統領選に際して、CIAなど政府機関を黙らせるためケネディ暗殺事件の真相を示す証拠と、同じく証拠を狙うルパンの命を執拗に狙うが、その都度銭形の妨害に遭う。また、ルパンを自殺に見せかけて殺害したつもりでもなお用心深く爆弾で命を狙う用意周到さを見せる。終盤ではアルカトラズでルパン達と戦い、金塊を譲る代わりにケネディ暗殺事件の証拠を返すよう取引を持ちかけるも拒絶され、最期は銭形を人質に取る。しかし、人質に取られても動じなかった銭形の抵抗とルパンによって撃ち抜かれて失敗、すぐに早撃ち勝負の一騎打ちを繰り広げるも結果は銭形の勝利に終わり、膝を突いた直後にアルカトラズの地下街の崩落に巻き込まれ、教会の十字架の下敷きとなって死亡した。
シークレット・セブンのボスとしての本性を現すまでのテリーの姿恰好は、「刑事コロンボ」のコロンボ警部に似ており、石田太郎自身もピーター・フォーク演ずるコロンボ警部の吹き替えを担当している。
アンディ
声 - 大塚明夫
ルキノ・マルカーノの側近。自らを「マシンガン・ケリーの後継者」と自称し、2丁のトミーガンを愛用する。裏カジノ船「マシンガン・ケリー号」の支配人だったが、ルキノが粛清された後に彼の後任として「シークレット・セブン」の正式メンバーに昇格、テリーの腹心となる。終盤では地下街で次元と戦い、トミーガンの乱射で次元を苦しめるも鏡を使った目晦まし戦法に敗れ、虫の息だったところを爆発に巻き込まれて死亡する。
黄(ホワン)
声 - 滝口順平
チャイニーズマフィアのドンで、「シークレット・セブン」の一人。拷問マニアであり、自他ともに認めるサディスト。他人に自分の口調を真似されることを嫌う。ルパンの拷問を自ら行うが、軽くあしらわれた上、自らが用意した爆弾搭載ロケットを逆用されて爆死する。
ハイエナ
声 - 立木文彦
「シークレット・セブン」の一員で、「歩く武器庫」と称される殺し屋。その通り名の通り体中に武器を仕込んでおり、中でもナイフを得物とする。次元とは古馴染みであるため、互いのことをよく知っており、彼の性格を嫌っている。終盤ではアルカトラズ島へ向かう次元と五ェ門をスーザンと急襲するが、次元との一騎打ちの末に射殺され、仕込みナイフが暴発してスーザンを刺殺し、スーザンと共に海中へ沈む。
スーザン
声 - 沢海陽子
表向きはサンフランシスコで活動している売れないモデルだが、正体は「シークレット・セブン」の一員で、組織の紅一点である。ルパン一味を探るため、トップモデルを夢見る売れないモデルを装って五ェ門に近付き、自身に惚れた五ェ門は金策に奔走、ルパンとは別行動を取ることとなる。終盤ではアルカトラズ島へ向かう次元と五ェ門をハイエナと急襲し、2丁のサブマシンガンを使って五ェ門と戦うが敗北、直後に不運にも暴発したハイエナのナイフが突き刺さってしまい、ハイエナと共に海中へ沈む。
アレジ
声 - 緒方賢一
初老の科学者で、「シークレット・セブン」の一員。深海10,000mの水圧にも耐えると主張する潜水艇「アルカポネ2世号」の開発を行っている。口先の威勢は良くても内実は臆病で、潜水艇の安全性に自信を持つことが出来ず、不二子を騙して実験台にする(実際は6,000mで浸水した。ただし不二子が欲張って金塊を詰め込みすぎたのもあり、本来はケネディ暗殺の証拠のニセ金塊が回収できれば充分であった)。また、テリーは「気が小さく、頭でっかち」、アンディは「用心深さでは天下一品」と評している。ルパンに殴られて気絶していたが、目を覚ました直後にアルカトラズ島の爆発で起こった洪水に巻き込まれて死亡する。
ルキノ・マルカーノ
声 - 松井範雄
サンフランシスコ・マフィアのドンで、「シークレット・セブン」の一員。「マシンガン・ケリー号」のオーナーとして、真の目的であるシスコ沖の海底データを採取していた。しかし、海底データをルパンに盗難・消去され、幹部会議の席上でそのことを正当化しようとしたためテリーに粛清される。側近のアンディが後を継いだ。テリーは後に「ドジ野郎」と罵倒しており、早いうちからアンディが後釜になる事は決まっていたようである。
マックス
声 - 池田勝
サンフランシスコ市長。次期大統領選の有力候補だが、正体は「シークレット・セブン」の一員。組織の力と資金力を背景に、闇社会初の大統領の座に付こうとしている。選挙活動で忙しいため、幹部会議にあまり姿を現さない。大統領就任を阻止したいCIAによってヘリコプターに仕掛けられた爆弾で爆死する。
ミラー
声 - 出光元
アルカトラズ島の警備員をしている老人で、「シークレット・セブン」の部下。老齢のため、楽園の一刻も早い復活を望んでいる。また、テリーのことを「テリー・ボーイ」と呼んでおり、テリーとは親密な間柄である。終盤に登場するもマックスの乗ったヘリコプターの爆発に巻き込まれて死亡する。
CIA諜報員
ルパン達やシークレット・セブンの周囲で暗躍する黒服の男達。ケネディ暗殺事件の証拠を狙うシークレット・セブン及びルパン一味を追う。終盤ではマックスを暗殺し、アルカトラズ島の地下街に爆弾を仕掛け、テリーを襲うも返り討ちに遭い、最期は仕掛けていた爆弾を爆発させ、地下街を崩壊させる。
モニカ
声 - 川上とも子
しばしばルパンが口に出す謎の女だが、正体はサンフランシスコ在住の大学生である。ルパンと付き合うことを条件に卒業論文に必要なケネディ暗殺事件の物的証拠を欲しいとねだっていたがエピローグに登場。念願の証拠を手に入れたルパンを(大学を中退し、新しい彼氏もできたため、)フッてしまう。

声の出演

用語解説

マシンガン・ケリー
違法カジノを連夜続けている豪華客船。オーナーはサンフランシスコ・マフィアのルキノ・マルカーノ。一回の航海で膨大な金が動き、売上金はキャッシャーから直接船内下部の金庫へと送られる。この金庫は完全に独立したブロックで、航海中は完全に封印されて出入り口すらなく、港に入るとブロックごと取り外される。ルパンは売上金を盗むため、ブロックごと盗み出そうとする。また、この船はサンフランシスコ沖の海底調査船も兼ねている。
ヤンキー・スレード号
1854年に遭難した、サンフランシスコ沖に沈む船の中でも最大の船。船室を壊してまで無理矢理積み込んだ金塊は、今の金額にして小国の国家予算並みと言われている。しかし沈んだ場所が6,000mの深海であったのと海流の速さも相まって、未だに見つかっていない。シークレット・セブンとルパンは、この金塊を狙う。モデルとなった船は”ヤンキーブレード号”。この金塊のうちの1つにケネディ暗殺の証拠が隠されている。
シークレット・セブン
本作でルパン一味と敵対する、アメリカの闇社会最大の犯罪組織。アル・カポネマシンガン・ケリーなど犯罪者の子孫が、犯罪者の楽園創世を目指して作った組織。裏アルカトラズを本拠地に、「全ては我ら永遠の楽園のために」を合い言葉にして活動している。「どんな相手にも手を抜かないこと」と「やられた事はやり返す」ことがモットー。ボスはサンフランシスコ市警のテリー・クラウン警部補。他にもマフィアのボスなどが名を連ねるが、全員ルパン一味やCIAに倒される。原作にも登場する。
AL CAPONE II(アル・カポネ2世号)
シークレット・セブンのメンバーの一人であるアレジが海底に沈む船の金塊を引き上げるために、10年の歳月をかけて開発した潜水艇。アレジは10,000mの水圧にも耐えられると豪語していたが、実際には6,000mにも耐えられなかった。上昇、下降はリモートでしか行えない。

スタッフ

関連項目

テンプレート:ルパン三世en:Alcatraz Connection