ヤマハ・TXシリーズ

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TXシリーズ(ティーエックス・シリーズ)とはヤマハ音源モジュールの型番・商品名。派生モデルとしてFB-01もここで紹介する。また、TXシリーズではないが便宜上EMT-1も紹介する。

概要

基本的にはDXシリーズから鍵盤を取り除いたモデルという位置づけで、多くはFM音源を採用しているが、TX16Wはサンプラーであり、TX1PはPCM音源を採用したピアノ専用音源モジュールである。鍵盤タイプがDXシリーズからSYシリーズに移行したのに合わせ、この後の音源モジュールはTGシリーズに移行した。

シリーズのモデル

TX7
1985年発売。DX7のモジュール版。デスクトップに置くタイプ。設定や音色エディットはMIDIで接続したDX7が必要で、本体だけではできなかった。また、TX7はDX7の音源モジュール版であることに加えてDX7と併用することでDX7の機能強化(DX7単体では、音色毎にファンクション設定を記録できなかったがTX7側でその部分を代用することができる等)も行えたことから、特にDX7との併用を意識したモデルである傾向が強い。定価145,000円。
TX816
1984年発売。DX7と同等のFM音源ユニットTF1を8台ラックに並べたモデル。当時、1台で複数のパートを担当できるマルチティンバーの技術がなかったため、音源ユニットを並べる方式を採用したと言われる。TF1の数によって、TX116やTX216…と型番が変わる。TF1を8台並べたTX816の定価は89万円。1台のみのTX116は30万円。TF1の定価は9万円。
TX81Z
1986年発売。V2の音源モジュール版。4オペレーター、8パート、8音ポリの音源モジュール。マルチティンバー対応。OPZ (YM2414) 搭載。V2同様8種類の波形からFM合成可能。プリセット128音色、ユーザ32音色。トランスポーズド・ディレイ、パンニング、EGリバーブといったエフェクトを内蔵。マイクロチューニング機能を搭載。1Uフルラックマウントサイズ。定価59,800円
TX802
1987年発売。DX7IIの音源モジュール版とされるが、ユニゾンモードがなく、マルチティンバーに対応している。TX816の後継機として開発された。8パート、16音ポリ。2音ずつ別々の8音色に分けて演奏可能。プリセット128音色、ユーザ64音色。本体だけでなく、カートリッジに音色保存可能。DXシリーズとの音色の互換性を確保している。8系統の独立アウトを持ち、平均律以外に純正律、ベルクマイスターなどの調律に変更可能なマイクロチューニング機能を搭載。特徴的な機能として、音を左右に飛ばすことのできるオルタネイティブ・アサインがあり、(上記TX81Zにも搭載されている)シーケンスパートに最適な機能である。定価198,000円。
TX16W
1987年発売。国産初のステレオサンプラー。12bit、16音ポリ。サンプリング周波数は16.7kHz、33.3kHz、50kHzから選択可能。33.3kHzの時にステレオサンプリング可能である。本体メモリーは1.5Mbytes。別売りメモリーで最大6MBまで拡張可能。デジタル・フィルター搭載。サードパーティ製OSで、AIFFファイルが取り扱えるTyphoon2000が無償公開されている。サンプラーの音源モジュールの後継機はAシリーズに移行した。
TX1P
1987年発売。ピアノ音源モジュール。1Uラックマウントサイズ。AWM音源。16音ポリ。5音色。コーラス、トランスポーズド・ディレイ、コードプレイの3エフェクトを内蔵。
FB-01
1986年発売。ヤマハ初のDTM音源というべきハーフラックサイズの音源モジュール。4オペレーター・8アルゴリズムのFM音源。最大同時発音数8音、最大8パート。プリセット240音色、ユーザー96音色。単体での音色編集は行えないためシステムエクスルーシブを直接制御するか、MSX用の専用ハード (SFG-01/05) およびソフト (YRM-506) で行うのだが利便性・機材の入手性などの観点から現実的ではない。現代においてAtari STエミュレータであるSTEEMとYSEditorを組み合わせて使うことが現実的である。
EMT-1
クラビノーバ・ポータトーン・ポータサウンド周辺機器として開発された4オペレーターFM音源モジュール。ROM32音色。プリセット音源のため音色は明るさとアタックの速さのみ調整可能。編集はできない。
FVX-1
1987年発売。エレクトーンであるHXシリーズ向けに開発された8オペレーターFM音源モジュール。

関連項目