ホンドギツネ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

テンプレート:生物分類表 テンプレート:Sister

ホンドギツネ本土狐 Vulpes vulpes japonica)は、北半球に広く生息するアカギツネの日本に分布する亜種

分布

本州九州四国に分布。四国では少ない。房総半島南部には移入された[1]

形態

頭胴長52-76 cm、尾長26-42 cm、体重4-7 kg。体色は赤みがかった黄色でいわゆる「きつね色」。腹部、頬、尾の先は白い。尾は他の動物に比べて毛がふさふさとしているので太く見え、長い。尾の基部の上面に黒い斑があり、そこには尾上腺(尾腺)と呼ばれる腺がある。毛皮が美しいので、服飾品に使用されることがある。北海道に生息するキタキツネよりやや小さく、四肢の足首の部分が黒くなっていない点で異なる。 頭骨も微妙に異なり、乳頭も2個多いため、アカギツネとは別の新種ではないかとも言われているテンプレート:要出典

生態

食性は季節や生息環境により変化する。肉食の傾向の強い雑食性であり、主にネズミ類、鳥類、昆虫類などを捕食するが果物など植物質のものも食べる。狩りをする時は、決まったルートを通り獲物を単独 で探す。里山から高山までの森林に住み、森林に接する草原や農耕地に出てくることもある。人里に近い所では、畑のトウモロコシを荒らしたり、家畜のニワトリを襲ったり、人家のゴミを漁ったりすることがある。開発とタヌキや野犬の繁殖の影響で、急速に数を減しているテンプレート:要出典

普段は縄張りを守って行動するが、交尾期の12月から2月ごろのみはテンプレート:要出典範囲アナグマが掘った古い巣を利用することもあるが、日当たりの良い林や草原などに巣穴を作ることが知られているが、この巣穴は通常、子育てのみに利用され、その他の期間は、一時的な避難場所として使われることはあっても、一年中使われるわけではない。巣穴の直径は25-30cmで、入り口はたくさん作られ複雑な構造となっている。巣穴は親子代々で引き継がれていき、年々拡張され、巣穴の長さは30m以上になることもある。

繁殖期は12月から2月で、妊娠期間は約52日。巣穴の中で体重約100 g、頭胴長約9 cm、尾長約6 cm、全身がほぼ黒色で尾の先端が白い子を、2-7頭産む。母親を中心とした母系社会を構成し、前年生まれのメス(ヘルパー)は母親の子育てを手伝う。ヘルパーは時に最大4頭になることもある。オスも子供が生後1ヶ月頃までは子育てを手伝うが、その後はこの家族群に加わらなくなる。この家族群は、子供が生まれると集団となり、子の成長とともに徐々に解散していき、9月頃には単独生活を送るようになるが、この家族群のなわばりを出ることはない。

オスは生後7-8ヶ月で親離れをし、なわばりを出て分散していく。メスは誕生した年の12月から2月までに性成熟し、繁殖できるようになるが、通常は1歳で繁殖は行わない。寿命は野生ではテンプレート:要出典範囲であるが、1歳までの生存率は4%以下である。飼育下では長くて10年ほど生きることもある。

脚注

テンプレート:Reflist

参考文献

  • 日高敏隆監修、川道武男編 『日本動物大百科1 哺乳類I』、平凡社、2002年初版第3刷、ISBN 9784582545513
  • フィールドベスト図鑑 12 日本の哺乳類、学習研究社、2002年初版発行、ISBN 4-05-401374-0
  • 阿部永ら著・財団法人自然環境研究センター編、日本の哺乳類、東海大学出版会、ISBN 4-486-01290-9

外部リンク

テンプレート:Sister

  • フィールドベスト図鑑 12 日本の哺乳類、学習研究社、2002年初版発行、ISBN 4-05-401374-0