プレイバイウェブ

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プレイバイウェブ (play by web, 略称:PBW) は、ウェブを媒体とした多人数同時参加型ゲーム。「プレイバイメール」(「メールゲーム」「メールRPG」)と類似の内容で、行動宣言と結果通知の手段としてウェブを利用するようになったものを指す。

概要

郵便媒体のPBMが主流の時代は1ターン=1か月を10回前後、1つのシナリオに数十名から100名以上のプレイヤーが参加したが、ネット媒体のPBWでは1ターンのサイクルは大幅に短縮されたほか、1シナリオあたりの定員も数名 - 十数名程度と細分化され、一般的なTRPGに近くなった。

かつての商業PBMにはキャラクター登録費や継続会費が高額なものが多かったが、2014年現在の商業PBWではキャラクター登録と交流用掲示板だけなら無料で、様々なオプションサービスに課金するというスタイルが主流である。MMORPGアイテム課金制に近い。

商業PBWの安定した運営には、MMORPGほどではないがそれなりの技術力が必要であり、郵便媒体からネット媒体への過渡期に技術的なハードルを見誤ってシステムの開発・運用に失敗し、時代の波に乗れず消えていったPBM企業もあった。

運営会社

クラウドゲート(旧テラネッツ)
2001年からプレイバイウェブを運営開始。
もともとはプレイバイメールとして「メールトークRPG(MTRPG)」を運営していたが、2001年に当時のPBM業界では初めて、ウェブ専用のゲームを開始した。
なお、クラウドゲートではPBWではなく「WTRPG(Web Talk Role Playing Game)」という用語を使用。また、WT5以降は「MMORPG」とも呼称するが、コンピュータゲームを指す「MMORPG」とは異なる。
代表作
  • 学園退魔戦記ZERO(WT1)
  • 武神幻想サムライキングダム(WT2)
  • アクスディア〜神魔戦記〜(WT3)
  • エターナルヴォイス Legend 〜聖獣の息吹〜(WT4)
  • Asura Fantasy Online(WT5)
  • Beast's Night Online(WT6)
  • Catch the Sky 〜地球SOS〜(WT7)
  • The Soul Partner 〜next asura fantasy online〜(WT5sp)
  • 舵天照 DA-TEN-SHO(WT8)
  • エリュシオン(WT9)
トミーウォーカー
2003年から運営開始。
クラウドゲートのスタッフが独立して設立した(PBWメインだが、TRPGにも関与)。
代表作
ツクモガミネット
2006年から運営開始。
厳密には会社ではなくLLPであり、運営者自体は「サークル」と称する(PBW専業)。
代表作
  • 銀幕★輪舞曲
  • 螺旋特急ロストレイル
レクシィ株式会社(REXi
2007年から運営開始。
クラウドゲートのスタッフが独立して設立した(PBW専業)。
代表作
  • Justice&Jokers
  • 神代七代 学園X
  • SINN
  • 天竜宮ティルノギア
フロンティアワークス・フロントメディア
2009年から運営開始。
アニメ関連企業とモバイルコンテンツ企業の一部門としてPBWを運営。
PBW部門立ち上げ当初のチーフプロデューサー雑賀寛(現在は離脱)はかつての商業PBM最大手、ホビー・データの元社長である。
その他運営スタッフ・マスター陣にもホビー・データ出身者が多く、事実上「ホビデの復活」と呼べる顔ぶれと言われた。
代表作
遊友館
2009年から運営開始。
クラウドゲートのスタッフが独立して設立した(PBW専業)。
代表作
  • 宵闇幻影奇譚
Chocolop
2010年から運営開始。
コンセプトワーカーはトミーウォーカーの人気MS。どのPBW会社とも運営のつながりは無い(PBW専業)。
代表作
  • バロックナイトイクリプス

PBWの特徴

2014年現在の商業サービスとして提供されるPBWと、旧来の郵便媒体のPBMとを比較すると、以下の点が進化した。

  • 一定の期限内であれば、プレイヤーはキャラクターに取らせたい行動(プレイングと呼ばれる)を何度も変更可能。
  • 公式サービスにWeb掲示板や電子メールに準ずるものがあり、交流が簡便である。
  • キャラクターデータや過去の成果物(リプレイ、リアクションと呼ばれる)を容易に参照できる。
  • シナリオ単位で参加できるゲームが多いため、初期費用が安価となる傾向がある。
  • 自分のキャラクターに関するイラストや音声を有償で発注できる。

もちろん、その上でMMORPGと違ったPBMの利点、「プレイヤーの体験した冒険を他のプレイヤーは体験できない」「世界情勢に影響を与えやすい」といった要素は維持されている。その一方で、プレイヤー対立などの要素はやりにくくなり、旧来のPBMのプレイスタイルをとる人はプレイしづらくなってきている面もある。

また、近年はMMORPGに飽きて移ってきたユーザ層や、キャラクターになり切ってチャットで交流する通称「なりちゃ」からキャラクター独自のイラストが保有できるという理由で流入したユーザなど旧来のPBMでは考えにくかったユーザ層の拡大により、遊び方が多様化してきている。多種多様なユーザ層をいかに定着させるかが課題である。

PBM/PBW各社での用語の違い

PBM/PBW各社では、同じものを指しても、使用する用語が異なることがある。

その一例を下記に記す。 なお、母体となるPBM会社が使用する用語を、PBWで引き継ぐ傾向が多く見受けられる。

PBM/PBW各社での用語の違い
凡例 PBM:遊演体 PBM/PBW:クラウドゲート
PBW:トミーウォーカー
PBW:レクシィ
PBW:遊友館 PBW:Chocolop PBM:ホビーデータ
PBW:フロンティアワークス
参加者 プレイヤー プレイヤー(PL) プレイヤー プレイヤー プレイヤー(PL)
キャラクタにとらせたい行動を送付する行為 リプライ プレイング プレイング プレイング アクション
シナリオおよび成果物作成者 マスター マスター(MS) ライター ストーリーテラー(ST) マスター(MS)
完成した小説的な成果物の名称 リアクション リプレイ リプレイ リプレイ リアクション

関連事項