ビッグバン (金融市場)
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ビッグバン (Big Bang) とは、1986年10月27日にイギリスの証券取引所が実施した大改革のことである。宇宙創造時にあったといわれる大爆発(ビッグバン)になぞらえて名づけられた。
サッチャー政権が行った政策、ロンドン金融市場再生のための措置、という解釈もあるが、実際には無関係であり、独占禁止政策との関連で始められた改革である。
1976年に公正取引庁が取引規制について調査を開始し、1978年にブローカーの最低手数料、ブローカーとジョバーの兼業禁止、取引所の会員権の制限を競争制限的であるとし、1979年に告訴が行われた。1983年に証券取引所理事長と貿易産業大臣との合意がなされ、1986年10月27日に改革が実施された。
日本においてもこれに倣って、金融の「ビッグバン」が行われたが、これについては、金融ビッグバンを参照のこと。
改革の内容
ビッグバンの内容は、主に次の通りである。
- 売買手数料の自由化
- 取引所会員権の開放による銀行資本の市場参加
- 自己勘定で取引をし、売買差益をとる仲介人ジョバーと投資家から注文をつなぐブローカーの兼業許可
- 株式取引税を1パーセントから0.5パーセントに引き下げ
- 株式売買にコンピュータを導入し、無人化
- 取引所集中義務の撤廃
6. によって場外市場が生み出され、また 2. によってアメリカ系投資銀行、特にスリー・キングスといわれるモルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス、メリルリンチなどの巨大資本が進出し、180余りあった歴史あるマーチャント・バンクは姿を消した。これによって、イギリスでの売買が、アメリカの預託証券市場での売買という形を取っていたものがロンドン市場に戻っただけでなく、ニューヨーク市場の規制を逃れてロンドン市場で売買が行われるようになった。ただしウィンブルドン現象と呼ばれるように、イギリス企業の姿は消えたまま、ロンドン市場は活況を呈す現象が生じた(テニスのウィンブルドン選手権ではイギリス人のプレイヤーは姿が見えず、イギリスは場所を貸しているだけである)。