バーコードファイター

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

テンプレート:Infobox animanga/Header テンプレート:Infobox animanga/Manga テンプレート:Infobox animanga/Footer テンプレート:Sidebar with collapsible listsバーコードファイター』(BARCODE FIGHTER)は、小野敏洋による日本漫画作品。

概要

月刊コロコロコミック』(小学館)で1992年4月号から1994年7月号まで連載された。

1991年エポック社から発売された「バーコードバトラー」および「バーコードバトラーII」、「バーコードバトラーII2(ダブル)C0」、「C2」をモチーフにしている。玩具とのメディアミックス作品として連載を開始した。

ストーリーは大きく分けて「前編」「全国バトル選手権編」「武装恐竜軍団(ダイナアームズ)編」「桜を救え!編」の4つに分類できる。全30話。

単行本は全5巻で、長らく絶版となっていたが、2004年12月15日復刊ドットコム(fukkan.com)から上下巻本として復刊され、あとがきに代えたマンガに於いて「あくまでも抗議や苦情が原因ではなく、単に人気の低迷により終了した」と作者の小野敏洋自身が語っている。

連載当時の『コロコロコミック』には、付録としてバーコードバトラーで使用できる同作品のカードが付くこともあった。

あらすじ

前編

四鷹市にあるアミューズメントゾーン“ドラゴン”に、最新鋭の超大型体感ゲーム施設“ゲームドーム(GD)”がオープンし、バーコードをマシンに入力して戦う新感覚ゲーム“バーコードファイター”が大人気となっていた。ゲームドームの特徴はVRシステムとドーム天井を覆う巨大モニターにある。プレイヤーは“シミュレーター”と呼ばれる筐体に乗り込み、HMDを装着してゲームを進める。観客はドームの天井一面を使った巨大なディスプレイで観戦することが出来るようになっている。

ある日、虎堂烈幼馴染有栖川桜に勧められてプレイするも一撃で敗退してしまう。しかし対戦相手の掛須巧に挑発され一念発起、リベンジを果たす。

御沙吾真清白彩など様々なライバルに出会いながら次第に強くなっていく烈の前に、“バーコード皇帝(エンペラー)”ニーズホッグなる者が現れる。エンペラーはGDのネットワークに侵入して全店を支配し、より強いバーコードを求めて勝負を挑んでくる。

エンペラーと因縁があるという清白の兄“バーコードマスター”竜胆岳と共に対エンペラー用の特訓にやってきた烈達一行は、大阪店のチャンピオン阿鳥改と出会う。桜に一目惚れする阿鳥だったが、一緒に入ることになった温泉施設で、桜が実は女性ではなく男性だった事が判明してしまう。ショックから桜を「オカマ」と罵る阿鳥に対し、烈は桜の名誉を守るためにバーコード勝負を挑む。

全国バトル選手権編

第1回バーコードファイター全国バトル選手権が開催され、順調に勝ち進む烈たちだが、決勝戦の場は大会に忍び込んだバーコード皇帝の罠が待ち構えていた。エンペラーの刺客を倒した烈は竜胆の強い勧めもあり、エンペラーをも倒すため皇帝領域への招待を受ける。最初は威勢の良かった烈だが、次第にエンペラーに洗脳され始めてしまう。ただ強いバーコードだけを集めているかに見えたエンペラーだが、真の狙いは烈自身をバーコード化してしまう事にあった。人間のバーコード化とは一体何なのか、そしてそんなことが可能なエンペラーとは一体何者なのか。

武装恐竜軍団(ダイナアームズ)編

四鷹店の周囲で名のあるバーコード戦士が、「恐竜のバーコード」を持つ謎のバーコード戦士に勝負を挑まれるという辻斬りが頻発。倒されたバーコードは恐竜に変えられて奪い取られ、どのマシンでも一切認識されないという不可解な現象が起こった。この事件の犯人は樹雷3兄弟草鴫令法という謎多い男に脅されての犯行だった。草鴫は樹雷達の集めたバーコードで行った実験を元に、バーコード皇帝を復活させることができる「エンペラーコード」の生成に成功する。

桜を救え!編

HMDや高性能センサーを使用した家庭用の本格的VRゲーム機「バイブルII」を購入した桜は、開発中止になったはずのソフトのテストロム「ホーリー・マウンテン」を手に入れる。そのソフトには、基本設定をスムーズに頭に叩き込み、脳に擬似記憶を刷り込むことでリアルなゲーム体感、感情移入を実現することを目的としてバイオバーコードが使用されていた。ゲーム世界の「お姫様」になりきった桜は、ゲーム世界から戻ることが出来なくなってしまった。昏睡状態の桜を救うため、烈たちはGDを一晩借り切ってゲーム世界へ入り、桜の救出に向かう。

登場人物

メインキャラクター

虎堂 烈(こどう れつ)
本作の主人公。熱しやすく冷めやすい11歳の小学生。桜に誘われてバーコードファイターとなる。ライバルには雪辱戦で勝利を収めることが多い。ゲームはあまり得意ではなかったようだが、バーコードバトルではビートルの性能も相まって、当初のドームチャンピオンであった掛須と互角な戦いを繰り広げた。清白に敗れて特訓して以降は、コマンド入力の素早さと正確さが高まり、バーコードの性能と相性のみに頼ることはなくなった。バーコードバトラー本体を持っておらず、桜のを借りてバーコードの確認を行っている。父の前髪も赤い「炎の一族」出身だという[1]。妹が2人いる。
ダッシュビートル
カブトムシがモチーフの機体。小さ目の機体に高い守備力を誇る。「剣豪ビートル」「ダッシュビートル後期型」「ダッシュビートル最後期型」「ダッシュビートルIバトラーII仕様」
ダッシュビートルII
GDのバージョンアップに伴い機体を新装。基本は“戦士”だが追加バーコードによるバリエーションが豊富。「ビートルアクテオン(魔法使い)」「ビートルギデオン(魔法使い)」「ダッシュビートルII A-3装備(水中仕様)」「ビートルネプチューン(水中仕様)」「ハイパービートル(アンディーンとの融合)」「ビートルヘルクレス(9倍力)」「ダッシュビートルII A-5装備(重火器装備)」「ビートルケンタウルス(スピード強化)」「カイザービートル(スタッグビートルとの合体)」
ダッシュビートルIIタイプD ビートルアトラス
GDのバージョンアップに伴い機体を“聖戦士”へと新装。後に「ビートルアトラス バージョン2」へ改装。必殺技は「ファルネーゼ・アポカリプス」。
有栖川 桜(ありすがわ さくら)
本作のヒロイン的存在で、烈の幼馴染。11歳の小学生。明太子が苦手。常識人であり、猪突猛進な烈の性格を律し、正しい方向へ導く。見た目はおしとやかで可愛らしい美少女だが、実は性同一性障害者であり、第11話で男(女装美少年男の娘)であることが明かされる[注 1]。烈の事が好きだが、烈自身は好意に気づかず全く相手にしていない[注 2]。しかし烈は「お姉さん」が好きなので「もし女だったら」と思っている。バーコードファイターとしての実力は行きつけのバトルドームでは烈同様、毎回必ず上位に食い込んでおり決して低くないが、やられ役となってしまうことが多い。
本作品『バーコードファイター』を象徴するキャラクターであり、復刊ドットコム版1巻巻末描き下ろし漫画にて、作者による「バーコードといえば桜」とそれを認識したコメントがある。また、復刊ドットコム版の表紙は2巻とも烈以上に大きく描かれている。
アンディーン/ラ・シルフィード/シルフィード・セラフ
GDでは珍しい人型の機体。2体は同じ機体をベースにした水中仕様/陸戦仕様。ちなみに、持ち主と同様に実は男。
掛須 巧(かけす たくみ)
烈が現れるまでの四鷹店チャンプ。小学生だが家庭の財力に任せて機体を量産している。桜の(性別の)秘密を知らずに、好意を寄せている。性格は生意気でいわゆる「イヤな奴」だが、御沙吾(後述参照)より「バカな分救いがある」らしい(烈談)。バーコードファイターとしての実力は初期こそ烈の良きライバルであったが、物語が進行していくにつれ行きつけのバトルドームでは上位に食い込んではいるものの水をあけられ、やられ役のギャグキャラと化してしまう。譲司(じょうじ)という弟が1人いる。最終回まで桜の(性別の)秘密を知ることはなかった。
復刻版に追記されたあとがき・没ネームによれば、初期設定では「烈と桜とは幼馴染であり、引っ越していった掛須が5年後に再会し、この際に桜の性別が明かされる」という設定であった。
カケス1号 - 31号
実際に名前が判明している機体は「1号」「17号」「28号」「31号」のみ。17号は顔を除き特撮「大鉄人17」ほぼそのままのデザイン。
KT-1
GDのバージョンアップに伴い機体を新装。後に「SKT-1」へ新装した。
スティーブ・セコイア
各地のバーコードチャンプを倒すさすらいのアメリカ人。金髪と絆創膏がトレードマーク。語尾に「~でやんす」を付けるのが口癖。烈に敗れた後は、烈を「おやびん」と慕う。「すちーぶ」の愛称が完全に定着し、ちゃんとした名前で呼ぶ者が身内以外にはいなくなった。クリスという姉がおり、一軒家住まい。正月にはこいのぼりを飾っていた。女のように見えて男である桜とそれでも好意を寄せ続けている改に関してはひどく驚いている。初登場で掛須を問題にせず一蹴、その後烈と五分の勝負を繰り広げるが敗北、後半ではやはりやられ役となってしまった。桜に次ぐ常識人でもある。
キャプテンU・S・A
基本機体「ピルグリム」とサポートロボ「メイフラワー」を合体させた機体。後に単体の機体「USA・ザ・グレート」に新装。
清白 彩(すずしろ あや)
ボーイッシュで性格も男勝りで、桜とは正反対な少女。かなり胸が大きい。一人称は「おいら」。チャンピオンである烈に挑戦を申し込んだ。優れた機動性と正確なシミュレータ操作で格闘戦を得意とし、バーコードファイターとしての実力はかなり高い。烈は彩との勝負を通じ、シミュレータ操作のイロハを徹底的に自らに叩き込んだ。
リングスター
銃や剣などアイテムを持たず、格闘のみで戦う。プロレス系の投げ技が得意。
竜胆 岳(りんどう がく)
清白の実兄。バーコードを見ただけでその能力を判断することができ、バーコードマスターと呼ばれる。ニーズホッグを倒す目的のため、清白を使って烈を試していた。かつてニーズホッグに命を奪われそうになったが、父親がバーコード化されながらも内部操作を行ったらしく、記憶喪失だけで済んだ。元々無表情だったが、烈に会ってから少しずつ性格が変化した。
阿鳥 改(あとり かい)
大阪店チャンプの小学生。長髪で一本結びにしているのが特徴。温泉街で桜に一目惚れする。桜が男だと知ってショックを受けながらも、自身の感情と現実との間で葛藤を続けるが、後に物語終盤で桜を「体が男で心は女」と承知した上で告白する。これが、桜を救出するきっかけをつくり、裏主人公的な活躍を果たすことになる。
バーコードファイターとしての実力も高く、作中ではいいところで電源が落ちて無効となったが、烈と互角の戦いをし引き分けるほどの実力者。
スタッグビートル
クワガタムシがモチーフの機体。GDのバージョンアップに伴い“聖戦士”型へ改装した。雷をエネルギーとして用いる。必殺技は2本の角の間から雷球を生成し放出する「ツインテックボルト」。

サブキャラクター

権田原 夏樹(ごんだわら なつき)
21歳の大学生でゲームドーム四鷹店アルバイト。初期は「ゲームドームのおねーさん」としか呼ばれておらず、後に「なつきねーちゃん」と呼称された。全国大会の進行役を務める際に本名を暴露した(男のような苗字を気にしており、本人も名前しか教えていなかった)。竜胆岳に好意を寄せる。
『知力で走れミニ四駆』『ショッカーO野の熱血ヒーロー日記』等の小野敏洋の漫画に度々出演している。
薬師寺 蘇鉄(やくしじ そてつ)
仏像マニアの中学生。GDを仲間3人で占拠、ゲームを独占したが、バトルで烈に敗れる。その後は改心し、自身一人でバーコードバトルに参加する。常に無表情で、口を全く動かさない。
ヤプラバラージャ/瑠璃光キング
魔法使いタイプ。「瑠璃光キング」他のロボットとの合体機だったが、後半は単体として「ヤプラバラージャ」と並行使用。「十二神将」を召喚したり、相手を仏具の中に封じてしまう技などを使う。
御沙吾 真(みさご しん)
GD筒井ヶ浜店の中学生チャンプ。桜を賭けて勝負を行い烈を追い詰めるが、桜の操るキャラと合体した烈に惜敗する。後に桜の性別が明るみに出て、後悔するハメになった[注 3]
フィッシャーキング
海岸にあるGDらしく水中戦専用の機体。バリエーションには「スーパーフィッシャーキング」「フィッシャーキング陸戦仕様」がある。必殺技は「ネメシス」。相手のバーコードとの相性を合わせることにより「27倍剣」を使用可能にし、大爆発を巻き起こす。
樹雷3兄弟(じゅらいさんきょうだい)
末妹・翼(つばさ)、次男・渓(けい)、長男・竜牙(りゅうが)の三人組。GD吉祥寺店の有名ファイターだが、草鴫に脅迫され烈たちを襲う。また、翼はスティーブに一撃で負けてから好意を持つようになる。
武装恐竜軍団(ダイナアームス)
翼の「メカ-ケツァルス(翼竜)」、竜牙の「メカ-ティラノス(ティラノサウルス)」、渓の「メカ-プレシオス(首長竜)」が主機体。敵機体を恐竜の姿に変えて味方化してしまう「ダイナエボリューション」を使う。また、バイオバーコード暴走時の竜牙は周りを吸収して出来た機体「メカ-ディノケイルス」に搭乗する。
宮垣俊二(みやがき しゅんじ)
メガネをかけた、鉄道オタクのバーコードファイター。時刻表青春18きっぷ)が愛読書。自信家でかなりの実力者。全国大会でベスト4まで上り詰めた。名前は紀行作家であった宮脇俊三のもじり。
横浜にあるカレー屋の娘<仮称>
褐色肌の少女。中1。インド系イギリス人。テニス部所属。松平健のファンらしい。宮垣とともに全国大会でベスト4まで上り詰めた、その時点での烈の対戦相手。バーコード皇帝の策略で中断され、烈と戦えず残念がっていた。
本名不明で、おまけ漫画や終盤のあとがきで自分の名前がないことに不満を持ち、さらに本作が打ち切られたことで活躍をすることはなかった。

黒幕

草鴫 令法(くさしぎ りょうぶ)
経歴不明。高密度な特殊バーコードを使った謎の計画を企む。
バーコード皇帝(エンペラー)
バーコード世界の王を名乗り、ゲームドームの回線をハッキングして烈たちの前に現れた。別名「ニーズホッグ(嘲笑する虐殺者)」。コンピューターグラフィックで描かれた外見も、異形の形をしている。竜胆の父や竜胆自身とは浅からぬ因縁がある。その正体は…。

書籍情報

  • 単行本
  1. 1992年11月 ISBN 978-4091420411
  2. 1993年5月 ISBN 978-4091420428
  3. 1993年10月 ISBN 978-4091420435
  4. 1994年4月 ISBN 978-4091420442
  5. 1994年8月 ISBN 978-4091420459
  • 復刊版
  1. 2004年12月 ISBN 978-4835441412
  2. 2004年12月 ISBN 978-4835441429

関連商品

バーコードバトラーII専用カードソフト バーコードファイター バーコード皇帝からの挑戦状
バーコードバトラーIIのテーマ別C2モード対応カードセット。セット内容はカード全30枚と専用カードケース、取扱説明書。
副題にもあるとおりバーコード皇帝を倒しに行くストーリーで、あらすじにおける前編の時期にあたる。クリア時に表示される「パスコード」を葉書に書き、説明書の応募券を貼って送ると「クリア認定証」が抽選でもらえるというキャンペーンが存在した。
1993年エポック社から発売。定価970円、JANコードは4905040355102。

その他

  • 有栖川桜を「メインヒロインとしての彼女の存在は、漫画のキャラクターとしては『ストップ!! ひばりくん!』に次ぐ、“女装少年”(=“男の娘”)のアイコンとなりえたキャラクターである」とフリーライターの来栖美憂に評されている[2]
  • 『バーコードファイター』連載中から連載終了直後にかけて作者が発表した同人作品およびスピンオフ成人向け漫画(タイトルは全て『ANAL ○○』で統一されている)では、中学生時代の有栖川桜たちが描かれている他、『ANAL ALICE』についてはタイトルが『BARCODE FIGHTER #31』と表記されている。
    • 同人作品において、清白彩が有栖川桜とセックスフレンドになっている事と、実兄の岳とも近親相姦の関係を築いている描写がなされている。
    • 作者が後年に上連雀三平名義で公式に執筆した『アナルジャスティス』において、最終的に桜と烈は結ばれなかったことが作中の描写にて示唆されている。
  • 復刊ドットコム版単行本のあとがきでは「このマンガの五年後にバイオバーコードを巡る世界大戦が起こり、その戦禍が世界のあちこちに形を残し、アレにつながる」と述べており、『アナルジャスティス』との世界観の繋がりと、同作の世界観においてふたなりの女性が多い原因にバイオバーコード(および桜の存在)が関連していることを示唆している。

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ

注釈

  1. 烈は小さいころから知っており、そのことでいじめられた桜をかばっていた。
  2. ただし、烈自身は親友として大事にしており、桜を「オカマ」呼ばわりして侮辱する者には制裁を行う。
  3. 無愛想な性格で女性に興味がないと言うが、桜を手に入れてどうしたかったのかは謎。

出典

テンプレート:Reflist

関連項目

  • 連載当時のコロコロ本誌に付属したカードより
  • 『オトコノコ倶楽部』VOL1、ISBN 978-4776904298 三和出版2009年、「女装少年の系譜 一回メジャー漫画2000年編」来栖美憂