ハシビロガモ

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ハシビロガモ(嘴広鴨[1]Anas clypeata)は、鳥綱カモ目カモ科マガモ属に分類される鳥類。

分布

北アメリカ大陸ユーラシア大陸の高緯度から中緯度地域で繁殖し[1]、冬季になるとアフリカ大陸北部、北アメリカ大陸南部、ヨーロッパ南部、インド中華人民共和国南部などへ南下し越冬する[2][3][4]。 日本では冬季に越冬のため飛来し(冬鳥)、北海道で少数が繁殖する[2][3][4][5][6]

形態

全長43-56センチメートル[3][6]。翼長オス22.5-24.5センチメートル、メス22-22.5センチメートル[4]翼開張70-85センチメートル[3]体重0.4-1.1キログラム[6]。次列風切の光沢(翼鏡)は緑色[3][4]

嘴は幅広く、和名の由来になっている[1]。英名shovelerもシャベル型の嘴に由来する[1]。後肢は橙色[2][4][6]

卵は長径5.2センチメートル、短径3.7センチメートルで、殻は淡黄褐色[2]

オスは雨覆が青灰色[3][4]虹彩は黄色[3][4][6]。繁殖期のオスは頭部が光沢のある暗緑色[6]、胸部や腹部側面の羽衣、尾羽は白い[2][3][4]。体側面から腹部の羽衣は赤褐色で[6]、尾羽基部を被う羽毛(上尾筒、下尾筒)は黒い[3][4]。嘴は黒い[2][5][6]。 メスは雨覆が灰色で、虹彩は褐色[3][5]。非繁殖期のオス(エクリプス)やメスは全身の羽衣が褐色で、黒褐色の斑紋が入る[3]。嘴は褐色で、外縁が橙色[6]。嘴には黒い斑点が入る[6]

生態

繁殖地では開けた草原に生息し、越冬地では河川湖沼などに生息する[6]。越冬地では数羽から十数羽の群れを形成するが、数十羽の群れを形成することもある[6]

食性は植物食傾向の強い雑食で、種子プランクトン昆虫軟体動物魚類などを食べる[2]。属内では動物食傾向が強く、動物食を食べる比率が30%以上に達することもある[2][4]。水面に嘴をつけて水ごと食物を吸い込み、嘴で食物だけを濾し取り水だけを吐き出して採食を行う[4][5]

繁殖形態は卵生。5-7月に水辺にある草本の丈が短い草原に[6]、枯れ草などを組み合わせた直径20-30センチメートルに達する巣をメスが作る[2]。7-14個の卵を産む[4][5][6]。メスのみが抱卵し、抱卵期間は22-28日[2][4][5]。雛は孵化してから40-45日で飛翔できるようになり独立する[2][5]。生後1年で性成熟する[5]

関連画像

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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  1. 1.0 1.1 1.2 1.3 安部直哉 『山溪名前図鑑 野鳥の名前』、山と溪谷社2008年、257頁。
  2. 2.00 2.01 2.02 2.03 2.04 2.05 2.06 2.07 2.08 2.09 2.10 環境庁 『日本産鳥類の繁殖分布』、大蔵省印刷局1981年
  3. 3.00 3.01 3.02 3.03 3.04 3.05 3.06 3.07 3.08 3.09 3.10 桐原政志 『日本の鳥550 水辺の鳥』、文一総合出版2000年、130頁。
  4. 4.00 4.01 4.02 4.03 4.04 4.05 4.06 4.07 4.08 4.09 4.10 4.11 4.12 黒田長久、森岡弘之監修 『世界の動物 分類と飼育 (ガンカモ目)』、財団法人東京動物園協会、1980年、64、67-68頁。
  5. 5.0 5.1 5.2 5.3 5.4 5.5 5.6 5.7 竹下信雄 「ハシビロガモ」『動物大百科7 鳥類I』黒田長久監修 C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編、平凡社1986年、181頁。
  6. 6.00 6.01 6.02 6.03 6.04 6.05 6.06 6.07 6.08 6.09 6.10 6.11 6.12 6.13 福田道雄 「ハシビロガモ」『日本動物大百科7 鳥類I』、平凡社、1996年、74頁。