ヌアザ

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ヌアザ(Nuadha、ヌァザ、ヌァダ)は、ケルト神話に登場するの一柱で、トゥアハ・デ・ダナーン(ダーナ神族)の王。その名は「幸運をもたらす者」を意味する。宝剣クラウ・ソラスを所有する。英語ではヌアダNuada)。銀の腕アガートラームAirget-lamh)または アガートラムAgateram)の別名を持ち、合わせて銀腕のヌアザ(ヌアザ・アガートラーム)とも称される。

病を治す力を持つとされ、水に縁のある神である。戦いの神としても伝えられ、その強大な力はゼウスユーピテル)に例えられる。

フィル・ボルグ一族とのモイツラの戦いでは陣頭の指揮を取り、戦場にて武勇を轟かす。四日間に渡る合戦の末、フィル・ボルグの王エオホズ・マクアークは敗れ、ダーナ神族は勝利する。ダーナ神族を勝利に導いたヌアザが王位につくことは疑いのないものだったが、先の合戦の最中にフィル・ボルグ族最強の戦士スレンとの一騎打ちでヌアザの右腕は切り落とされてしまっていた。ケルトの掟において、肉体の欠損は王権の喪失を意味したため、王位は七年の間ブレスが継ぐこととなった。しかし後に、医神ディアン・ケヒト作の銀造りの義手を得て力を回復する。その後ディアン・ケヒトの息子ミアハによって腕は完治し、王位に再臨を果たす。

ヌアザの王権が復活したため、暴君ブレス王は王座から引きずり落とされる。これに不服であったブレスはフォモール族の大軍勢を率いて、ダーナ神族に戦いを挑んできた。ヌアザも武器を取り戦ったが、フォモール族の狂暴な蛮力の前にダーナ神族は敗れる。フォモール族の支配の下、国は圧政を強いられる。

ダーナ神族はルーの天才・多才振りを見て、フォモールに対し勝利を収めるための指導者になるよう懇願。ヌアザの後継者として王位についたルー率いる神族軍は合戦に完勝した。

最期はバロールが呼び出したクロウ・クルワッハに妃のヴァハネヴァンと共に殺害された。