ナイキスト周波数

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ナイキスト周波数(ナイキストしゅうはすう、Nyquist frequency)とは、ある信号を標本化するとき、そのサンプリング周波数 fs の 1/2 の周波数を言う。ナイキスト周波数を超える周波数成分は標本化した際に折り返し (エイリアシングとも言う) という現象を生じ、再生時に元の信号として忠実には再現されない。ハリー・ナイキストにより1928年に予想されたこの再現限界の定理は、標本化定理と呼ばれる。

サンプリング周波数 100 Hz の測定器を使用して、ある信号を測定する。元の信号に (a) 25 Hz, (b) 40 Hz, (c) 70 Hz のピークがあったとする。

このとき、ナイキスト周波数 fn = 100/2 = 50 [Hz] だから、測定信号のスペクトルにおいて (a), (b) のピークは正しく求まる。

しかし、(c) の周波数成分は fn を超えているため、測定信号において、これに対応するピークは fn から折り返した 30 Hz に出現することになる(エイリアシング)。スペクトル上では、このピークが本当に 30 Hz の成分を表しているのか、それともエイリアシングにより折り返された高周波成分であるのかは区別できない。

実際の信号測定では、測定器のサンプリング周波数 fs には限界があり、それはカタログ記載の既知のものである。

一方、測定する元の信号がどのような周波数成分を含んでいるのかは未知であることが多い。よって、このエイリアシングを防ぐためには、測定器に入力する信号をフィルタで <math>f_n = f_s / 2</math> まで帯域制限する必要がある。ただし、実際は、フィルタの性能の限界により、サンプリング周波数の45%程度まで制限する必要がある。

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