トラコーマ

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トラコーマTrachoma)は、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)を病原体とする感染症
伝染性の急性および慢性角結膜炎。
別名はトラホーム(トラコーマのドイツ語読み)、顆粒性結膜炎エジプト眼炎

原因

流行地ではクラミジア・トラコマチスのA,B,C型が、垂直感染ではD,E,F,G型が病原体となることが多い。

最近、クラミジア・トラコマチス以外のクラミジアがトラコーマの原因となりうることを示す研究成果が発表された(PLoS Med 5(1): e14)。

直接接触による感染のほか、手指やタオルなどを介した間接接触による感染も多い。また、母親が性器クラミジア感染症を持つ場合、分娩時に産道で垂直感染することがある。

疫学

先進国ではほとんど見られなくなったが、アジアアフリカなどの発展途上国ではいまだに流行が見られ、年間600万人が失明するといわれている。先進国でも見られるトラコーマはほとんどが垂直感染によるものである。

症状

病原菌は結膜上皮細胞内に寄生する。初期には結膜に濾胞や瘢痕を形成したり、乳頭増殖したりする。その結果、充血や眼脂が見られる。慢性期には血管新生が見られ、トラコーマパンヌスと呼ばれる状態になる。

その後瘢痕を残し治癒することもあるが、さらに重症となり、上眼瞼が肥厚することがある。その結果睫毛が偏位し、角膜に接触するため、瞬きするたびに角膜を刺激し、角膜潰瘍を引き起こす。そこに重感染が起こることで、失明や非可逆性の病変を残すこととなる。

産道感染例では重症化することはほとんど無い。偽膜形成が見られる。現在出生直後に点眼薬を点眼する病院も多い。

治療

テトラサイクリン系マクロライド系ニューキノロン系抗生物質を内服あるいは点眼する。

予後

適切な治療が行われれば完全に治癒する。

トラコーマ発症歴のある著名人