トベラ

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トベラ(扉、Pittosporum tobira)はトベラ科トベラ属の常緑低木。東北地方南部以南、韓国台湾中国南部までの海岸に自生する。

特徴

主に枝の先にが集まって着く。葉は倒卵形、互生、主脈は白っぽく、葉全体はつやのある緑色で、周辺部がやや内に巻くように、葉全体が反っている。5月頃芳香のある白い5弁のをつける。果実は熟すと3裂し、赤い粘液が付着した種子を多数露出し、これが鳥のくちばしなどに粘着して運ばれるといわれる。

海岸では海浜植物などの草本につづく海岸性森林の最前線に位置し、低くて密な群集を形成する他、海岸林の中では高木層を形成する場合もある。また、潮風や乾燥に強く、つやのある葉を密生することなどから観賞用あるいは街路樹として道路の分離帯などに栽培される。雌雄異株

野生状態ではあまりトベラを食樹とする昆虫は大量発生しないが、都市に植樹されたトベラには、新芽に虫えいをつくるトベラキジラミというキジラミ科の昆虫がしばしば大量発生して、排泄物の甘露すす病菌が発生しているのを見ることが多い。

枝葉は切ると悪臭を発するため、節分イワシの頭などとともに魔よけとして戸口に掲げられた。そのため扉の木と呼ばれ、これがなまってトベラとなった(学名もこれによる)[1]。属名のピットスポルムはPitta(樹脂)とSporos(種子)に由来し、これは上記のように熟した果実から粘液が付着した種子が露出するのが特徴的なことから付けられたものである[1]

参考文献

  • 林将之 『葉で見わける樹木』 小学館〈小学館のフィールド・ガイドシリーズ〉、2004年、ISBN 4-09-208022-0。
  • 辻井達一『続・日本の樹木』 中公新書 ISBN 4-12-101834-6

脚注

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関連項目

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外部リンク

  • 1.0 1.1 続・日本の樹木 66P