ディープ・ブルー (1999年の映画)
テンプレート:出典の明記 テンプレート:Infobox Film
『ディープ・ブルー』（原題: Deep Blue Sea）は、1999年公開の映画である。サフロン・バロウズ主演、レニー・ハーリン監督。
あらすじ
太平洋の海上の元アメリカ海軍の潜水艦補給所を改造して建設された医学研究施設アクアティカ。そこでアルツハイマー病について研究、薬の開発をしていた科学者スーザンは、飼育されているアオザメの脳細胞を使ってアルツハイマー治療の薬を作る研究を行っていた。しかし、飼育していた第2世代のサメ1頭がアクアティカから脱走し、同施設の近くでクルージングを楽しんでいた若者4名を乗せたヨットを襲撃。アクアティカの"水の番人"のカーターがサメを捕獲することで事態を収拾するが、この事故がメディアで報じられることになった。これを重く見たアクアティカを管轄するキマイラ製薬社長のラッセルは多額の研究費用の投資差し止めと施設閉鎖をスーザンに打ち明けるが、スーザンはこれを拒否。研究がほぼ完成段階にある事を示す為にラッセルをアクアティカに招いた。そこには第2世代のつがいと、つがいの間に生まれた第3世代のメスの3頭が施設を中心としたチタン合金の網で囲まれた巨大水槽で飼育されていた。
ラッセルがアクアティカを訪れた翌日の夜。最終実験の為にカーターが第3世代のサメを麻酔弾で搬送。ラッセルが見守る中、スーザンの全体指揮の下でサメの脳から脳細胞を抽出しプロトタイプの薬品が完成。早速アルツハイマー患者から摘出した脳を使って薬を使った所、予想以上の脳の活性化に成功する。歓喜が湧く中、ジムがサメを褒めに向かったところ、麻酔が効いて睡眠状態にあったはずのサメが突如動き出し、ジムの右腕を食いちぎった。すぐさまカーターがショットガンでサメを殺そうとするも、スーザンがこれを拒絶し、サメを水槽に戻すという行動をとった。サメを逃がすという暴挙に出たスーザンにカーターは怒りを露わにしながら救助ヘリを要請する。
嵐が吹き荒れる中、ジムを担架に載せ、救助ヘリに引き上げようとするが、担架を吊り上げていたワイヤーの電動ウィンチが故障、ウィンチが逆回転を起こしジムは担架に固定されたままサメのいる水の中に落ちてしまった。この様子を見た通信室にいた通信係のブレンダは機体を上昇させて担架を水から上げるよう指示を送るが、その最中にサメがジムの担架をくわえヘリを引きずり回した。成す術がないままヘリは施設に激突、通信室もヘリの爆発に巻き込まれブレンダもろとも大爆発を起こす。その直後、爆発で飛び散ったヘリの破片が主電源装置に激突。スーザンがラッセルをアクアティカに連れて来る際に使用した飛行機を巻き込みながら爆発し、施設全体のシステムがダウンしてしまう。
ジムを搬送し、実験室に戻るも状況を把握できずにいるカーターらに追い打ちを掛けるかのように、第3世代のサメがジムを固定した担架を実験室のガラスにぶつける。ガラスはひびが入ると水圧で瞬く間に割れ、海水が実験室に流れ込んだ。
フロアを移して浸水から辛くも逃げのび、状況把握をする中でラッセルがスーザンにサメに何をしたのかを問い詰めると、スーザンはジムと結託し、遺伝子操作でサメの脳のたんぱく質を増やしたことを打ち明け、サメが人間並み又はそれ以上の知能を得たことを知る。また、システムダウンにより救難信号さえ出せなくなったアクアティカは海に佇む牢獄と化していた。
登場人物
- スーザン・マカリスター
- 主人公。キマイラ製薬の社員でアクアティカの医学研究部部長。背が高く、美しい容姿と完璧なプロポーションと持った女性で、気配りもでき、周囲の仲間にも慕われているが研究には人一倍厳しい。アルツハイマー病で亡くなった父の影響で、サメの脳細胞を利用したアルツハイマー治療薬品の研究を行っている。本編冒頭のGen3が脱走してクルージングを楽しんでいた民間人を襲撃した事故による研究中止を懸念し、サメの遺伝子を組み替えてたんぱく質を豊富にさせるという方法を取ってしまう。結果的に、実験でアルツハイマー病患者の脳を蘇生させることに成功するも、直後にジムが第3世代に右腕を食いちぎられる事故が発生してしまう。カーターが第3世代をショットガンで撃ち殺そうとするも、自らのエゴを優先したことで第3世代を海中に逃がしてしまい、カーターから「気は確かか!?」と叱咤されてしまう。事故発生後、ラッセルの問い詰めで遺伝子改造の話を暴露してしまい、仲間から冷たい眼で見られるようになる。仲間が次々と死んでいく中、研究データを取りに冠水した自室で第2世代の1頭の襲撃に遭うも、とっさにテーブルの上に逃げ、ウエットスーツを脱いで絶縁体がわりに足の下に敷き、ブレーカーのコードを引きちぎってサメの口の中に放り込み感電死させることに成功する。しかし、その代償として肝心の研究データを帯電して破壊することとなってしまい、スーザン自身も海上への脱出には成功したが、サメを殺そうとして囮になり、海上に逃げれず食い殺されるという登場人物の中で最も悲劇的な最期を迎えた。周囲の仲間には内緒だがカーターとは互いに好意を抱いており、一度だけ肉体関係を持っている設定。
- カーター・ブレイク
- アクアティカの"水の番人"の役割を持ち、水中に潜っての飼育中のサメの監視、サメが脱走した際の捕獲を主に任されている。アクアティカで働く以前は密輸の罪で3年の懲役を受けており、仮釈放の身となった後、ラッセルにアクアティカの所員として雇われたという経緯を持つ。「水が好き」と自ら言うように水泳が得意。また、社会に貢献しようとは思っておらず、仮釈放が消えるという理由で「反論する」といった「波風」を立てないという独自の理念で働いている。事故発生後、リーダーの役割となってアクアティカからの脱出方法を考え出す。潜水時、AGAマスクを着用し、水中で発砲できるショットガン型の麻酔銃を携帯する。過去において、学校に通ったことがない。スーザンを愛するが故に事件の発端となった彼女を責めることができないジレンマに苦しむ。スーザンがサメの囮になった時もサメを撃つより彼女を助ける道を選んだが、間に合わなかった。最終的にスーザンの仇を討ち、最後まで生き残る。
- ラッセル・フランクリン
- 大富豪でキマイラ製薬の社長。スーザンたちの上司で、カーターの雇い主。AGAマスクで難破船ダイブやアルプスに登山するといった冒険家気質な性格を持つ。アルプスの登山の際、雪崩で一週間雪に生き埋めになるも6人の仲間と共に生還する（途中で2人死亡）過去を持つ。事故発生後、内輪揉めばかりしていたカーターたちに団結するよう説得する途中、サメに食い殺された。
- ジャニス・ヒンギンス（ジャン）
- アクアティカの所員で海洋生物学者。金髪のショートカットが似合う美人で、普段着はかなりラフなものを着ている。人付き合いが上手く、アクアティカに訪れたラッセルのガイドを任された。第3世代から脳細胞を抽出する実験ではサメの心拍数の計測を担当する。同僚のジムとは恋人同士である。救助ヘリがサメの企みで通信室に直撃した際事故発生でジムを見殺しにするしかなかったことに激しい憤りを覚え、スーザンを「最低の女」と罵った。脱出するためにスーザンと和解したものの、エレベーターシャフトに逃げる途中梯子から水に落ちてサメに食い殺される。顔に似合わず強気で、以前、カーターとポーカーをやった時、常に強いカードを狙っていたらしく、彼女の自室で見つかったスタミナフードも「パワーバー」という強気な名前のものだった。
- 周囲からは美人で通っているが、実はスーザンの美しさに嫉妬していた（本編ではカット）。
- トム・スコギンズ（スコッグズ）
- アクアティカの所員。アクアティカの建築構造に詳しい。第2世代の1頭がクルージングの民間人を襲った事故の件で、スコッグスが柵の門を閉め忘れたことが原因だとカーターに指摘される。小心者で事故発生後は半ばパニック状態に陥る、卑猥な言動をとるといった登場人物の中で最も極限状態のストレスに耐えきれないでいる人物として描かれている。第3世代からの脳細胞の抽出実験では各コンピューターのデータリンクを行うオペレーターを担当する。事故発生後、根本的な原因となったスーザンを見限り、強く反発する場面がある。逃げる途中、サメに食い殺された。
- ジム・ウィットロック
- アクアティカの所員で医療学者。ジャンからは「優秀で素晴らしい人」と称賛されるも、風上に小便をするジムの姿を見たラッセルからは「本当なのか?」という疑問を抱かれてしまう。サメの脳細胞を抽出する実験ではサメのX線スキャンの操作を担当する。実験が成功した直後に突然麻酔から目覚めた第3世代に右腕を食いちぎられてしまう。すぐさま担架に乗せられたまま救助ヘリに運ばれるものの、電動ウィンチの故障でサメのいる海中に落下、第3世代に実験室の防水ガラスを破壊する道具にされてしまう。ジャンとは恋人同士の関係にある。緊張感に欠けている性格なのか、実験中にタバコを吸おうとしてジャンに叱られる場面があり、結果的にそれが事件の引き金になってしまった。
- シャーマン・ダドリー（プリーチャー）
- アクアティカの専属料理人。オウムのペット・バードと一緒に厨房で調理を行っている。キリスト教徒で首に十字架のペンダントを下げている。事故発生後、危険を察知したバードと離れ離れになり、冠水した通路で屋内に侵入してきた第2世代の1頭と遭遇する。スコッグスの卑猥な言動に「最低だな」と言い切る素直な性格の持ち主ではあるが、事故発生時に「神のおぼし召し」として禁酒の誓いをあっさりと破る一面がある。また、オーブンに逃げ込んでタイマーがスタートした際の「聖書の獅子の穴のダニエルかよ!? オーブンでコックが死ぬなんて冗談がすぎる!」という台詞や、自分の遺言のビデオを撮る際の「オムレツを作る時は卵は2つ、牛乳を混ぜるのは間違いだ」など、ところどころで皮肉や冗談を口に出すこともある。実質的に第2世代の1頭と第3世代を倒す。最後まで生き残る。
- ブレンダ
- アクアティカの所員で、アクアティカの通信係を担当している。陽気な性格でよく通信室で音楽を鳴らしては踊る一面がある。所員のモーニングコールや海上の気候状態の連絡も行っている。事故発生時、救助ヘリがサメの企みで通信室に直撃した際、爆発に巻き込まれて死亡してしまう。
キャスト
| 役名 | 俳優 | ソフト版吹替 | テレビ版吹替 |
|---|---|---|---|
| スーザン | サフロン・バロウズ | 深見梨加 | 田中敦子 |
| カーター | トーマス・ジェーン | 大塚芳忠 | 小杉十郎太 |
| ラッセル | サミュエル・L・ジャクソン | 池田勝 | |
| ジャニス | ジャクリーン・マッケンジー | 井上喜久子 | 小林優子 |
| スコギンズ | マイケル・ラパポート | 大滝寛 | 青山穣 |
| ジム | ステラン・スカルスガルド | 石塚運昇 | 谷昌樹 / 仲野裕[1] |
| プリーチャー | LL・クール・J | 茶風林 | 塩屋浩三 |
| ブレンダ | アイダ・タートゥーロ | 喜田あゆ美 | |
| バード（声） | メアリー・ケイ・バーグマン（台詞） フランク・ウェルカー（鳴き声） |
中村千絵 | |
| ヘリのパイロット | ダニエル・レイ ヴァレント・ロドリゲス |
辻親八 | |
| ボートの女 | エリン・バートレット サブリナ・ヘーリンクス |
鈴木紀子 浜野ゆうき |
|
| ボートの男 | イール・ポデル | 吉田孝 | 白熊寛嗣 |
| ケヴィン | ダン・ティール | 海老原英人 | 真殿光昭 |
備考
- 本作品で登場したアオザメは宇宙航空技術を使ったアニマトロニクスのロボットとCG合成によって作られており、サメがズームアップされたり登場人物が直にサメを触れるシーン等ではロボットを、サメが素早く動くシーンや人を捕食するシーンなどではCGで再現されている。ロボットサメの馬力は凄まじく、暴走して接触した場合は時速80kmの4tトラックに激突するほどの衝撃を受けることになると言われていた。
- アクアティカの海上部の撮影は、『タイタニック』で使用された、世界で最も巨大なプールで撮影された。また、カーターのいる水中ゲート室も同じプールで撮影を行ったが、室内構造とプールの深さの都合でゲート室の室内構造を修正することになった。
- 動物系パニック映画の金字塔『ジョーズ』をオマージュしているシーンが多々ある。
- カーターがイタチザメの口から車のプレートを外すシーンは、地中海のサメの生息地でカーター役のトーマスが本物のイタチザメに取りつく場面と、アクアティカ海上部セットのプールでイタチザメの背中にしがみつくシーンを上手くつなぎ合わせたものである。また地中海での撮影では監督から「左手をサメに噛ませるように」との指示があり、トーマスは実際にサメに左手を噛みつかせた。しかし、本編でカーターがサメに左手を噛まれるシーンは存在しなかった。このシーンでイタチザメが口にくわえていた車のナンバープレートは、『ジョーズ』でイタチサメの胃袋から異物を取り出すシーンで使われた車のナンバープレートを使用している。これは、ディープ・ブルーそのものが、JAWSをリスペクトした作品であることを知らしめるための要素として監督が考え出したものである。
- DVD版パッケージ裏のアクアティカ内の登場人物たちと建物の損壊の流れが、本編の内容と一致していない。また、表パッケージのスーザンの衣装も劇中で着ているものとは異なり、胸元が露出している。
- ラッセル役を演じたサミュエルは、元々プリーチャーは別のコックの役として登場するはずだったが、ストーリー上の関係や同じ立場の人物が2人いるとサミュエル本人が見栄えしなくなるといった理由で廃案となり、代わりに大富豪で会社の社長のラッセル役になった。サミュエルは自身がコック役になった場合のディープ・ブルーの原案ストーリーを見た際、非常に気に入っていたため、廃案になることをとても残念がっていた。一方で大富豪を演じるというサミュエル自身も経験のない役柄だったため、ラッセルという役柄についても非常に気に入っていた。
- アクアティカ水上部の撮影場所の近くにはゴルフコースがあり、サミュエルが本作品のオファーを受け入れる理由としてこのゴルフコースのことを挙げている。因みにサミュエルは現場に到着してすぐに、そのゴルフコースでゴルフを満喫した。しかし、その翌日に「嵐の中、負傷したジムをずぶ濡れになりながらヘリに搬送する」シーンを撮影し、本人は撮影前にずぶ濡れになることを聞かされなかった為に「話が違う」と苦笑いしたという。
- 万が一に備えてという理由で、スコギンス役のマイケルは遺書を綴り、弁護士を雇っていた。またマイケルは「自分以外のキャスト全員も遺書を綴っていた」とも語っている。
- エレベーターシャフトで梯子から転落したジャンをカーターが逆さ吊りになって助けようとするシーンは、監督の作品『クリフハンガー』をオマージュしたものである。
日本語版制作スタッフ
- DVD・Blu-ray
- 演出：高橋剛 翻訳：久保喜昭 調整：新井保雄 制作：米屋林太郎（プロセンスタジオ） 製作：ワーナー・ホーム・ビデオ、プロセンスタジオ
- テレビ
脚注
外部リンク
テンプレート:Asbox- ↑ 2004年6月19日のフジテレビ「プレミアムステージ」での放送時には仲野裕がクレジットされ、谷昌樹も役名なしで別途クレジットされた。テンプレート:Cite webいずれかの誤クレジットか、もしくは異なる日本語版なのかは不明。
