センブリ

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テンプレート:生物分類表 センブリ(千振、学名Swertia japonica (テンプレート:AU) テンプレート:AU[1])は、リンドウ科センブリ属二年草[2]薬草として利用され、生薬名及び別名[3]当薬(とうやく)という。

分布

中国朝鮮半島日本に分布する[3]

日本では、北海道西南部、本州四国九州にかけて広く分布し、日当たりの良く、やや湿り気のある山野の草地に生育する[2][3][4]田中澄江は『花の百名山』の著書で、高鈴山を代表する花として紹介し[注釈 1][5]、『新・花の百名山』の著書で熊野路を代表する花として紹介した[6]

特徴

草丈は普通5-30 cmは薄紫色を帯び[2]、太さは1-2 mmで断面は四角く、直立し根元から数本に分かれて生える。1-3 cmほどの細長い線形の対生する[4]発芽したロゼット状の根生葉となりそのまま越冬し、翌年の8-11月[4]に多数の花を咲かせる[3]。白い花冠は深く5裂し、縦に紫色の線があり[4]、基部に蜜腺溝がある[2]。蜜腺の周囲には細い毛が生える[2]。5枚の萼片は、線形で尖り[4]、長さは5-11 mm[2]朔果は花冠よし少し長く、種子はやや円い[2]は黄色を帯びる[4]。花、葉、茎、根はずべて苦い[3]。葉の幅が広い変種ヒロハセンブリ(学名:Swertia japonica (Schult.) Makino var. latifolia テンプレート:AU )が東京都八丈島で確認されている[7]。花冠が薄紫色の近縁種のムラサキセンブリ(紫千振、学名:Swertia pseudochinensis テンプレート:AU[8])がある[4]

利用

ファイル:Hyakuso-gan.JPG
センブリを含む医薬品の一例、御岳百草丸キハダを主成分とし、センブリも配合されている、長野県製薬

1856年飯沼慾斎は『草木図説』でセンブリについて、「邦人採テ腹痛ヲ治シ、又ヨク虫ヲ殺ス」と書いている。

薬には開花期の全草が用いられる[3]。乾燥させ、煎じてまたは粉末にして飲む。薬効は、胃腸虚弱、下痢腹痛発毛[9][10]など。マスカラ眉墨などの化粧品に配合されている[9]日本薬局方に収載されている苦味チンキセンブリ末の材料のひとつである[2]ゲンノショウコドクダミと共に日本の三大民間薬の一つとされていて[11]、最も身近な民間薬の一つである[9]

センブリの名前の由来は「出してもまだ苦い」ということからつけられたとされている[4]。その由来の通り非常に苦味が強く、最も苦い生薬(ハーブ)といわれる。苦味成分はスウェルチアマリン(Swertiamarin)、スエロサイド(Sweroside)、アマロゲンチン(Amarogentin)、アマロスエリン(Amaroswerin)、ゲンチオピクサロイド(Gentiopicroside)、などの苦味配糖体(くみはいとうたい)である[9]。中でもアマロスエリンは天然物で屈指の苦い物質である。

ドクダミゲンノショウコと共に有名な薬草である。生薬名「当薬」も和語である。日本固有の生薬であり、漢方薬には用いられない。観光地のおみやげ店などで、乾燥したものが売られていることを見かけるが、乾燥品は医薬品と見なされるので、薬事法許可なく販売すると薬事法違反になる。センブリを使ったセンブリは非常に苦い。

山野草として苗が市販されている。

センブリの生産

医薬品などに利用されているセンブリは全量日本国内で生産されている。従来は野生の株の採集のみを行っていたが、昭和50年台初頭から長野県で本格的な生産が始まり、その当時の価格は1 kgあたり30,000円ほどであった[9]1973年(昭和48年)から長野県の野菜花き試験場佐久支場で、発芽技術などのセンブリの栽培技術研究が開始された[12][13]1981-2002年の国内総生産は年間30 t程度が最大で、長野県と高知県農家で契約栽培されている[14]2007年には、長野県ではセンブリさび病[15]などにより生産量が大幅に減少した[14]

「センブリ」にまつわる話

当薬を胃薬に用いるようになったのは、蘭学に影響しているといわれている。シーボルトが、近江路の製薬所で俵に入ったセンブリを「ゲンチアナ」と間違えたという有名な逸話がある。ヨーロッパでは、ゲンチアナのような苦い薬を、胃腸薬に使用していた。

しかし、上記の苦味配糖体以外には、特に薬効成分は含まれておらず、苦味が舌を刺激して、食欲増進などに効果があると言われるほかには、特に胃の疾患には効果がない。それでも胃の万能薬としてもてはやされているのには、「苦ければ胃によく、漢方薬である」という誤解が氾濫しているからだと考えられるテンプレート:要出典

種の保全状況評価

日本の以下の都道府県で、レッドリストの指定を受けている[16]。多数の都道府県で、草地の開発[17]、森林開発、生育環境の自然遷移、園芸目的の採集、薬草の採集[12][18]などにより減少傾向にある[19][20]阿蘇くじゅう国立公園瀬戸内海国立公園耶馬日田英彦山国定公園祖母傾国定公園などの指定植物であり、その採集は禁止されている[18]

脚注

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注釈

出典

参考文献

関連項目

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外部リンク

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  • 3.0 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5 高村 (2005)、239頁
  • 4.0 4.1 4.2 4.3 4.4 4.5 4.6 4.7 林 (2009)、254頁
  • 田中 (1997)、33-36頁
  • 田中 (1995)、317-319頁
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  • 9.0 9.1 9.2 9.3 9.4 兼子 (2013)、8頁
  • テンプレート:Cite web
  • テンプレート:Cite web
  • 12.0 12.1 兼子 (2013)、9頁
  • 宮沢 (1975)、153頁
  • 14.0 14.1 兼子 (2013)、10-11頁
  • 藤永 (1999)、411頁
  • テンプレート:Cite web - 「都道府県指定状況を一覧表で表示」をクリックすると、出典元の各都道府県のレッドデータブックのカテゴリー名が一覧表示される。
  • 17.0 17.1 テンプレート:Cite web
  • 18.0 18.1 18.2 テンプレート:Cite web
  • 19.0 19.1 テンプレート:Cite web
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