ズッキーニ

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テンプレート:生物分類表 テンプレート:栄養価 ズッキーニ(英名:zucchinicourgette、学名:Cucurbita pepo)は、ウリ科カボチャ属一年生の果菜。果実の外見はキュウリに似るが、カボチャペポカボチャ)の仲間。主に緑果種と黄果種がある。

概要

原産地は明確に特定されていない。メキシコの巨大カボチャが祖先種であると考えられている。ヨーロッパには植民活動により16世紀頃もちこまれたが、本格的に普及が開始したのは20世紀に入ってからであった。イギリスでは1930年代に入っても料理の書物にあまり名前が挙げられることはなく、イギリスの料理研究家、エリザベス・デイビッドが紹介したことによって、1950年代から1960年代にかけてようやく料理の素材として人気を博するようになった。

細長い形状の果実は19世紀後半のイタリアで改良されたもの。未成熟の果実および花は食用となり、旬は夏。日本ではキュウリを一回りほど太くしたような細長い形状のものが主だが、品種によっては洋ナシ型や、球形のズッキーニなども存在する。

名称は様々で、アメリカオーストラリア英語では zucchini(ズキーニ)、イギリス英語やフランス語では courgette(コージェット, クルジェット)、 イタリア語で zucchina(ズッキーナ)、南米ではzapallo italiano(サパージョ イタリアーノ)。中国語で西葫芦(シーフール)、 美洲葫芦(メイチョウフール)、翠玉瓜(ツイユークワ)。 またアメリカ合衆国ではズッキーニや近似種をまとめて summer squash と呼んでいる。スカッシュとはカボチャ属の実のことで、カボチャのような秋冬が旬のものは winter squash と呼ばれる。

主な品種

グリーントスカ

細長い形の緑果種。

オーラム

細長い形の黄果種。

ゴールディー

全体的に黄色でヘタに近い部分が緑色の球形のズッキーニ。

アラジン

「アラジン」または「スキャローブ」と呼ばれる品種で、薄緑色のいびつな円盤形のズッキーニ。形がUFOに似ているので「UFOカボチャ」とも呼ばれる。

食材

旬は夏。果実と花が食材として用いられる。

果実は開花して4-5日後の幼果(長さ20cm程度のもの)を食用とする。成長すると繊維質が多く食用に適さなくなるため、収穫時期が難しく、保存と輸送に注意を要する。きゅうりに比べやや硬い果皮をもつこともあり、主に加熱調理される。フランス料理イタリア料理の食材として知られ、南仏の野菜の煮込み料理ラタトゥイユ」には欠かせない食材である。また南米でも一般的な食材として使用されている。油との相性も良く鉄板焼き、フライなどにも向く。生で食べる場合は、果皮を剥くか薄くスライスして食される。

花は「花ズッキーニ」と呼ばれ、花心を取ったものを食用とする。雄花の方が味が優れるとして、イタリア料理では雄花のみを用いるが、雄花・雌花の区別をしない地域もある。花は生でも食べられるが、通常は花の中に具材を詰め揚げるか炒めて調理される。

通常のズッキーニよりさらに未熟で花のついた状態で収穫し、花をつけたまま販売されるズッキーニも「花ズッキーニ」と呼ばれている。

栽培

南米原産で温暖な気候を好み連作障害も無いため育てやすい植物だが、多湿と寒さに弱い傾向がある。カボチャ属だが蔓は無く、株から長い葉柄を伸ばし羽状で大型の葉をつける。品種によっては葉が深く切れ込む。茎は品種によって長さが異なるが、長く伸びる品種の茎は細く折れやすいため支柱で誘引する際には注意を要する。株全体が横へはう性質をもつ。花茎を伸ばし黄色い花を咲かせる。雌雄異花のため、受粉には昆虫や人の花粉媒介を必要とする。高温に弱く(受精できない)夏季に殆ど収穫できない品種もある。

「蔓なしカボチャ」とも呼ばれ栽培に広い面積を必要としないとされているが、最終的に茎は人の身長に達する長さになる場合もあるので、栽培する時にはそれを考慮した十分なスペースの確保が望ましい。

茎や葉に棘があり収穫などの作業には長袖と手袋が必要。

参考画像

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参考文献

  • バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント編、山本紀夫訳「世界の食用植物文化図鑑」(柊風舎 ISBN 978-4-903530-35-2) 198ページ