シュワスマン・ワハマン第3彗星
テンプレート:彗星 シュワスマン・ワハマン第3彗星(シュワスマン・ワハマンだい3すいせい、73P/Schwassmann-Wachmann 3)は、1930年5月2日にドイツ・ハンブルク天文台のアルノルト・シュヴァスマンとアルノ・アルトゥール・ヴァハマンによって発見された周期彗星である(なお、発見者二人はともにドイツ人であり、ドイツ語の発音としてはシュヴァスマン・ヴァハマンが近い。ただし日本語ではシュワスマン・ワハマンと表記することが慣習的になっているので本項でもこの表記を用いる)。
概要
約5.36年の軌道周期を持つため、16年ごとに地球に接近する。遠日点が木星の外側に位置する典型的な木星族の彗星で、近日点は地球軌道の内側に入り込んでいる。元々の彗星核の大きさは直径約1.1kmと推定されている。
1930年の発見後に同彗星はしばらく行方不明になり、1979年になって再発見された。1995年10月初めに彗星核の分裂を起こし、これに伴って大きく増光した。このバーストによって核はA - D核の4個に分裂した。2000年の回帰時にはA、D核の消滅が確認され、新たにE核が発見された。2006年4月現在、30個以上の分裂核が観測されている。この彗星は19世紀のビエラ彗星と同様に、将来完全に崩壊して消滅するものと考えられている。そうなった場合には、彗星の符号は 73P から 73D に変更される。
彗星の分裂核は2006年4月下旬から5月上旬にかけて地球に大接近し、5月12日にはC核が地球から0.079天文単位(約1180万km)の距離を通過すると予想されている。最接近時にはC核が2等級、B核が5等級、E核が5等級にまで明るくなると期待されていたが、実際は核の分裂が進んだせいかC核は5等級止まりであった。
核の分裂の様子は地上の天文台およびハッブル宇宙望遠鏡、スピッツァー宇宙望遠鏡などによって観測され、現在解析が進められている。スピッツァー宇宙望遠鏡は、赤外線撮影により彗星のダストトレイルの撮影に成功した。
1930年に地球からこれと同程度の距離を通過した際には1時間に60~70個程度の流星群の突発出現が観測され、ヘルクレス座τ流星群と命名された [1]。他にうしかい座 α 流星群、うしかい座 ε 流星群といった小規模な突発群も同時期に観測され、この彗星との関連が指摘されている。しかし P.A. ヴィーゲルト他による最近の研究では、2006年の接近時にはこのような流星が出現する可能性は小さいと予想され [2]、結局それらしき流星は出現せずに終わった。
2002年に打ち上げられたNASAのCONTOUR探査機は2006年6月18日にシュワスマン・ワハマン第3彗星に接近して探査を行なう予定だったが、2002年8月に探査機との通信が途絶したために探査計画は失敗している。
参考文献
- The τ Herculid meteor shower and Comet 73P/Schwassmann?Wachmann 3, P. A. Wiegert, P. G. Brown, J. Vaubaillon and H. Schijns, Monthly Notices of the Royal Astronomical Society, 361, 638, (2005).
出典・脚注
関連項目
外部リンク
- 73P/Schwassmann-Wachmann 3 - GARY W. KRONK'S COMETOGRAPHY
- The Tau Herculids - GARY W. KRONK'S COMETS & METEOR SHOWERS
- Mini-comets approaching Earth (NASA)
- シュヴァスマン-ヴァハマン第3周期彗星 - 吉田誠一のホームページ
- ヘルクレス座τ流星群 (τHerculids) - 吉田誠一のホームページ