シマアオジ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

テンプレート:生物分類表

シマアオジ(島青鵐、学名:Emberiza aureola)は、動物界脊索動物門スズメ目ホオジロ科ホオジロ属に分類される鳥。

分布

ユーラシア大陸日本北海道

夏季にユーラシア大陸北部や日本で繁殖し、冬季になるとユーラシア大陸南部で越冬する。日本には亜種シマアオジが繁殖のため北海道(青森県秋田県でも繁殖記録あり)に飛来する(夏鳥)[1]サハリン国後島でも繁殖している[1]日本海側の島嶼部や南西諸島では、春秋の渡りの時期に記録される。本州で観察されることがほとんどないことから、渡りは大陸を経由して行われていると考えられている。

形態

全長14~15cm。体側面には褐色の縦縞が入る。

オスは背面は赤褐色、腹面は黄色、顔は黒い羽毛で覆われ、喉に暗色の首輪状の斑紋が入る。メスは背面および顔は褐色、腹面は淡黄色の羽毛で覆われる。

亜種

  • Emberiza aureola aureola Pallas, 1773
  • Emberiza aureola ornata Shulpin, 1928 シマアオジ

生態

平地草原等に生息し、明るく開けた場所を好む傾向がある。繁殖期にはつがいで生活する。

食性は雑食で、種子昆虫類節足動物等を食べる。夏季は昆虫類、冬季は種子を主に食べる。地表で採食を行い、雛には昆虫類を与える。

繁殖形態は卵生。繁殖期には縄張りを形成する。草の根元等に枯草や木の枝等を組み合わせた皿状の巣を作り、5-7月に1回に4-5個の卵を産む。主にメスが抱卵し、抱卵期間は13-15日。雛は生後2週間程で巣立つ。

近年では北海道であまり姿がみられなくなっている[1]

利用

中国広東料理では、「禾花雀」(広東語 ウォーファーチョッ wo4fa1jeuk2)と称し、初秋の滋養強壮食品として食用にする習慣がある。「禾」はイネを指し、越冬するために南下してくる本種が、広東省では稲の花が咲き、実が成り始める中秋の頃に珠江デルタにやってくるために付けられた呼称[2]で、主にかすみ網などを使って捕獲された。かつては、稲穂を食べる害鳥とも考えられていた。広東省周辺で稲穂を食べて太るため、味もよいとされる。

料理としては、羽根をむしった後、しばらくたれに漬け込んでから丸ごと素揚げにした「炸禾花雀」として、頭も含めてそのまま、または花椒ウスターソースなどをつけて食べることが一般的であった。手の込んだ料理では、ニワトリ東莞ソーセージの細切りを胴内に詰めて、軽く揚げてからたれで煮る「焗醸禾花雀」などの料理もある。

しかし、これらの食習慣が個体数を大きく減らす要因のひとつとなっていることが指摘され、現在は『広東省重点保護陸生野生動物』などに指定され、捕獲が禁止されている。獲れないために、海外からも冷凍品として輸入される場合がある。

中国でも北方では、鳴き声が良いことから雄が愛玩用に飼育され、食用にはされないことが多かった。現在、中国では飼育や繁殖も許可が必要である。

Gallery

関連項目

テンプレート:Sister

脚注

  1. 1.0 1.1 1.2 テンプレート:Cite bookpp.174-175
  2. 梁昌、廖錫祥著、『順徳菜精選』p133、広東科学技術出版社、1997年、広州、ISBN 7-5359-1825-5

参考文献

外部リンク

テンプレート:Bird-stub