ゴライアスオオツノハナムグリ

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ゴライアスオオツノハナムグリ昆虫綱甲虫目コガネムシ科に属する大型のハナムグリアフリカ大陸に生息する。Goliathus属の総称だが、その中のGoliathus goliathusのみをも指し、また近縁種に「ゴライアス」の名を持つものが存在する。

由来

旧約聖書サムエル記に登場する巨人ゴリアテ (Goliath) の英語読みゴライアスから。同じ由来の名前を持つ動物に、世界最大のカエルゴライアスガエルがいる。

形態

大型の個体は体長が100mmを越え、大高・体幅も大きい。大型のカブトムシの少ないアフリカでは最も大きい。また、世界一重い昆虫とされている。

オスでは頭部が突出し、先が黒くなって2本に分かれる。脚は特に前脚が太く長く、力も強い。

基本的に前胸背板には白色に黒色の模様が左右3対あり、後翅は白色に黒の模様がある。これが種によって模様が多少変わる。またオスとメスでは模様が違う。

前胸背板後縁は鋭いナイフのように発達し、前胸、中胸間の関節を強く反らせることで、この“ナイフ”と上翅前端の間に物を挟み切断することができる。これは、天敵である各種のサル鳥類への防衛手段と考えられる。同様の機能はコーカサスオオカブト等にも見られる。

下位分類

  • オオサマゴライアス Goliathus goliathus
    中央アフリカに生息する。前胸背板の黒い縞模様は端まで到達する。前胸背板は全体が褐色。f. apicalis, f. conspersus, f. undulus, f. albatus, f. quadrimaculatusと段階的に後翅の白い部分が増え、それにつれて希少価値が上がって値段も高くなる。ただしこれらの型が全て確認されているのはカメルーン産のみ。
  • レギウスゴライアス Goliathus regius
    西アフリカに生息する。後翅は会合部が白くなる。
  • シラフゴライアス Goliathus orientalis
    中央アフリカに生息する。後翅には白斑(しらふ)がある。f. undulatusは後翅の黒と白が反転しており、黒反転型と呼ばれる。
  • カタモンゴライアス Goliathus casicus
    前胸背板と小楯板が黄色くなっている。後翅は両肩の隅のみ褐色に、あとは白色になる。f. noirがある。
  • サザナミゴライアス Goliathus albosignatus
    4cm~7cm程と、ゴライアスオオツノハナムグリでは最小。全体的に黄色味を帯びる。ssp. kirkianusは南方に生息し、脚には黒ではなく黄色い毛が生える。
  • シンジュゴライアス Goliathus kolbei
    Argyrophegges属に含めることもある。タンザニアにて多産する。
  • プレーシーゴライアス Goliathus preissi
    後翅は縦の褐色の筋が入る。シラフゴライアスから独立した。
  • アトラスゴライアス Goliathus atlas
    とても珍しい。レギウスゴライアスの型とされていたが、その後別種扱いとなり、現在ではオオサマゴライアスとカタモンゴライアスの雑種と考えられている。

外部リンク

  • GOLIATHUS(英語)
  • Gilbert Lachaume: The Beetles of the World, volume 3, Goliathini 1, 1983, Sciences Nat, Venette. [1]

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