コクラン共同計画

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テンプレート:Infobox Organization コクラン共同計画 (Cochrane Collaboration、略称CC) は、治療と予防に関する医療情報を定期的に吟味し人々に伝えるために、世界展開している計画であるテンプレート:Sfn。1992年にイギリスの国民保健サービス(NHS)による根拠に基づく医療政策と実践、またその定量的な評価の一環として始まったテンプレート:Sfn

ランダム化比較試験(RCT)を中心として、臨床試験をくまなく収集し、評価し、分析するシステマティック・レビュー(sytematic review)を行い、その結果を、医療関係者や医療政策決定者、さらには消費者に届け、合理的な意思決定に供することを目的としている。

コクラン共同計画の日本支部は、2014年に設立された[1]

設立

コクラン共同計画を冠すテンプレート:日本語版にない記事リンクは、根拠に基づく医療(EBM)の3人の父のうち1人と言われ、以下のことを提唱したテンプレート:Sfn。イギリスの無料の社会保健には有効な治療のみ無料とすること、イギリスではじめて行われたランダム化比較試験を重視すること、そうしたデータを批判的に吟味し遅れることなく必要とする人に届けることの提唱であるテンプレート:Sfn

コクランの弟子で、イギリスの産婦人科医のイアイン・チャーマーズは、周産期領域で行っていたシステマティック・レビューを1992年にすべての領域で開始しテンプレート:Sfn、国民保健サービスの研究開発プログラムをサポートするために設立されたイギリスコクランセンターのセンター長となったテンプレート:Sfn

システマティック・レビュー

テンプレート:Seealso 1993年7月にイギリスのコクランセンターがBMJ(イギリス医師会雑誌, British Medical Journal)と共同で会議を開き、1994年に論文となったものが、『システマティック・レビュー』(Systematic Reviews)として出版されているテンプレート:Sfn。それはシステマティック・レビューとメタアナリシスに関する章で構成されており、システマティック・レビューに関しては、バイアスとエラーを最小にする方法が議論されているテンプレート:Sfn。バイアスを避けた試験であるランダム化比較試験を、バイアスを避けるために未公表試験を含めてメタアナリシスすることで、根拠に基づいた医療で用いるための良質の根拠を得ようとしているわけであるテンプレート:Sfn。そして、そのようにして得られたシステマティック・レビューは、遅れることなく情報を必要とする人々へ届けられなければならないテンプレート:Sfn

声明

テンプレート:Seealso 抗うつ薬パキシルの否定的な試験の隠ぺいは、出版バイアスの議論から、アメリカの法改正や世界保健機関による試験の登録制度の構築など、試験の事前登録の制度の構築へとつながっていった[2]。2011年10月5日に、コクラン共同計画も試験の登録とデータの透明性を求める声明を行った[3]。声明の内容は、選択的な出版によるデータの隠ぺいが有効性や有害性の誤った認識をもたらし、危険な臨床的な実践につながり、そしてデータの公開は多大な利益をもたらすために、データが公開されることおよびそのための司法制度の導入を求めるものである[3]

コクラン・ライブラリ

コクラン・ライブラリ (Cochrane Library) は、コクラン・コラボレーションによって編纂された文書集である。四半期に一度更新され、全文(フルテキスト)はCD-ROM、またはインターネットを通じたオンライン購読の形で販売されているテンプレート:Sfn日本では多くの大学や病院等が法人契約を結んでいる。それぞれのレビュー記事の概要 (abstract) については、コクラン・コラボレーションのサイトやPubMedを通じ、広く一般に無料で開放されている。

コクラン・ライブラリは、EBMの手法について検証したThe Cochrane Database of Methodology Reviews、適切にデザインされた臨床試験についてのリファレンスを集積したThe Cochrane Central Register of Controlled Trialsなど、いくつかの文書データベースの集積である。その中でも、The Cochrane Database of Systematic Reviewsと呼ばれるデータベースは、EBMの考え方に基づき、過去の多くの臨床試験などの論文からエビデンスレベルの高いものを集めて吟味する「システマティックレビュー」(systematic review)の手法を使い、その時点での最良の治療法のエビデンスを提示する記事の集合として、コクラン・ライブラリの中核を成している。

The Cochrane Database of Systematic Reviewsにおける典型的なEBM記事の評価においては、まず、対象となっている具体的な疑問を挙げたあと、該当分野の"Working Group"から、独立して通常複数のレビュアーが任命される。レビュアーはそれぞれ独立に、コクラン・ライブラリ自身のThe Cochrane Central Register of Controlled TrialsやMedlineから、適切にランダム化された試験を検索・抽出し、その試験の妥当性や有効性を評価し、統計的な手法を用いることで、疑問について回答を導き出す。

EBMの考えに厳格に基づこうとする文献データベースとして、2004年現在、コクラン・ライブラリは世界最大規模のものであり、多くの医療従事者が信頼を置いている。

邦訳されたものは部分的に、日本医療機能評価機構のMINDS[4]にて公開されているテンプレート:Sfn

日本支部

コクラン共同計画の日本支部が設立されたことが、2014年5月30日に発表された[1]。日本の臨床研究環境の改善につなげたいとコメントされた[1]。2014年は、『ネイチャー』におけるSTAP細胞の論文不正や、『ランセット』におけるディオバン事件といった、一流論文誌における不正への疑惑解明が相次いだ。

関連項目

脚注

テンプレート:Reflist

参考文献

外部リンク

  • 1.0 1.1 1.2 テンプレート:Cite news
  • テンプレート:Cite journal
  • 3.0 3.1 テンプレート:Cite news
  • http://minds.jcqhc.or.jp/ Minds医療情報サービス