クープマンズの定理

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クープマンズの定理(クープマンズのていり、テンプレート:Lang-en-short)はチャリング・クープマンスによって提出された分子の第一イオン化エネルギー電子親和力を見積もる定理である[1]ハートリー‐フォック近似において、N 個の電子からなる系の基底状態における全エネルギーEN とし、その系から電子を1個取り出した場合、つまりN -1 個の電子からなる系の全エネルギーをEN -1 とする。この時、電子は相互作用が無視できるような無限遠方まで取り去られるとする。そして取り出した電子の占有していた軌道をi 、軌道のエネルギーを<math>\epsilon_i</math>とすると、

<math> E_{N-1} - E_{N} =\, -\epsilon_i </math>

という関係が成り立つ。ここで、電子を無限遠方へ取り去ることに対し、一電子波動関数は不変であると仮定している。左辺はイオン化エネルギーに対応しており、これが軌道エネルギーから見積もられることを意味している。同様にして、N 電子系に電子1個を加えたN +1 電子系の全エネルギーをEN +1 とすると以下の式が成り立つ。

<math> E_{N} - E_{N+1} =\, -\epsilon_\mathrm{LUMO} </math>

ここで<math>\epsilon_\mathrm{LUMO}</math>は最低非占有軌道(LUMO)の軌道エネルギーである。左辺は電子親和力に対応している。

これと類似したものとして、ヤナックの定理がある。

参考文献

  1. Koopmans, T. Physica 1933, 1, 104-113. DOI: [1]

関連項目