クイナ

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クイナ(水鶏[1]、秧鶏[1]、水雉[2]Rallus aquaticus)は、ツル目 クイナ科 クイナ属に分類される鳥類。

なお、日本の古典文学にたびたび登場する「くひな」「水鶏」は、別属のヒクイナを指していることが多い。(→ ヒクイナを参照)

分布

  • R. a. aquaticus

スウェーデンノルウェー南部などで繁殖し、冬季になるとアフリカ大陸北部、中東へ南下し越冬する[3]

  • R. a. hibernans

アイスランドで繁殖し、冬季になるとフェロー諸島へ移動する[3]

  • R. a. indicus

朝鮮半島日本(本州中部以北)、シベリア東部などで繁殖し、冬季になるとインド東部、中華人民共和国南東部、日本(本州中部以南)などへ南下し越冬する[3][4][5][6][7]

  • R. a. korejewi

イラン東部、インド北部、中華人民共和国北西部で繁殖し、冬季になるとアフガニスタンイラク、中華人民共和国中部へ移動する[3]

形態

全長23-31センチメートル[6]。翼開張38-45センチメートル[5]体重0.1-0.2キログラム[6]。上面の羽衣は褐色や暗黄褐色で、羽軸に沿って黒い斑紋が入り縦縞状に見える[3][5][6][7]。顔から胸部にかけての羽衣は青灰色[5][7]。体側面や腹部の羽衣、尾羽基部の下面を被う羽毛は黒く、白い縞模様が入る[3][5][6][7]

虹彩は赤い[3][7]。嘴は長い[4][5][7]。嘴の色彩は褐色で、基部は赤い[3]。後肢は褐色や赤褐色[3][7]

卵の殻は黄褐色で、赤褐色や青灰色の斑点が入る[4]。繁殖期は嘴が赤い[3][5]

分類

  • Rallus aquaticus aquaticus Linnaeus, 1758
  • Rallus aquaticus hibernans
  • Rallus aquaticus indicus
  • Rallus aquaticus korejewi

生態

湿原湖沼、水辺の竹やぶ、水田などに生息する[4]。半夜行性で[7]、昼間は茂みの中で休む[3]。和名は本種ではなくヒクイナの鳴き声(「クヒ」と「な」く)に由来し、古くは本種とヒクイナが区別されていなかった[2]。驚くと尾羽を上下に動かし、危険を感じると茂みに逃げ込む[3]

食性は雑食で、昆虫クモ、甲殻類、軟体動物、魚類両生類、小型鳥類、植物の茎、種子などを食べる[3][4][6]

繁殖形態は卵生。オスがメスの胸部に嘴で触れ、翼や尾羽を上げて下尾筒を収縮させる[3]。メスは鳴き声をあげながらオスの周囲を徘徊し、嘴を互いに擦り付けたり羽づくろいをして求愛する[3]。またオスはメスに食物を与える求愛も行う[3]。繁殖期にペアで縄張りを形成する[3][6]。草原、ヨシ原などに枯れ草などを組み合わせた皿状の巣を作り、6-11個の卵を産む[3][4][6]。雌雄交代で抱卵し、抱卵期間は19-22日[3][6]。雛は孵化してから2-3日で巣立ち、20-30日で飛翔できるようになる[6]。生後1年で性成熟する[6]

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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  1. 1.0 1.1 広辞苑 第5版』 岩波書店、「くいな」
  2. 2.0 2.1 安部直哉 『山溪名前図鑑 野鳥の名前』、山と溪谷社2008年、134-135頁。
  3. 3.00 3.01 3.02 3.03 3.04 3.05 3.06 3.07 3.08 3.09 3.10 3.11 3.12 3.13 3.14 3.15 3.16 3.17 3.18 黒田長久、森岡弘之監修 『世界の動物 分類と飼育10-II (ツル目)』、東京動物園協会、1989年、58頁。
  4. 4.0 4.1 4.2 4.3 4.4 4.5 環境庁 『日本産鳥類の繁殖分布』、大蔵省印刷局1981年
  5. 5.0 5.1 5.2 5.3 5.4 5.5 5.6 桐原政志 『日本の鳥550 水辺の鳥』、文一総合出版2000年、165頁。
  6. 6.00 6.01 6.02 6.03 6.04 6.05 6.06 6.07 6.08 6.09 6.10 黒田長久監修 C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編 『動物大百科7 鳥I』、平凡社1986年、185頁。
  7. 7.0 7.1 7.2 7.3 7.4 7.5 7.6 7.7 真木広造、大西敏一 『日本の野鳥590』、平凡社、2000年、199頁。