カフェバー

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カフェバーCafe and Bar)は、日本喫茶店飲食店の営業形態の一つ。内装、メニュー、接客スタイルがカフェバーの融合した形の店舗で、日本では主に1980年代に流行した。

概要・歴史

前史

1980年代初頭、東京都港区西麻布(霞町)に「レッドシューズ」という飲食店がオープンした。深夜営業を行っており、六本木で遊び疲れた若者が始発電車を待つのに便利であった。

ビルの地下にある小さな店で、内装は松井雅美が担当。アールデコ調に和風(風神・雷神の壁画が描いてあった)を加えたデザインがおしゃれであった。レッドシューズの扉には「cafe & bar」と書かれており、カフェバーブームの走りとなった。このレッドシューズをプロデュースしたことで、松井は「空間プロデューサー」としてその名を知られるようになる。

喫茶店とバーの境界線を越えて

同時期に渋谷では「ソーホーズ」(Soho-'s)[1]がオープンし、ニューヨークにあるロフトをカフェに仕立てたイメージ空間が評判となり、バーでありながら、「ビールウイスキーも、ケーキも味わえる店」として、連日のように人が押し寄せる繁盛ぶりを見せていた。ちなみにこのソーホーズの名前は、のちに台湾家庭小皿料理として知られる青龍門を都内各所に展開し、現在まで外食産業界屈指の人物としてその名を知られる、ソーホーズ・ホスピタリティ・グループ元会長で、現在は都内で事務所を構え、ソーホーズ・ホスピタリティ・グループの所有するレストランの企画・運営に関わる月川蘇豊の名に由来するものである。

ブームは瞬く間に各地に拡大し、若年層を集客対象とする飲食店は既存店も含めカフェバーの呼称を用いた。こういった現象によって各店は差別化に知恵を絞ることになり、多くの「カフェバー亜種」を生んだ。

デイタイム営業も多くなり、軽食、ソフトドリンクに限らず、見た目鮮やかなカクテルが昼夜を問わずテーブルを飾った。

女性に圧倒的支持を受けた東京・表参道の「キーウエストクラブ」(1984年開店、経営は東京ブラウス 店は現存しない)では服装による入店チェックも行われ、ドラマのロケに使われたり観光スポットにもなったりと、一時はカフェバーの代名詞としてもてはやされた。

沈静化と再勃興

その後1990年代より、各地に様々なタイプの「カフェ」が乱立すると、こうしたタイプのカフェでも喫茶店とバーの境界線はなくなったことで、いわゆる旧タイプの「カフェバー」に該当する形態の飲食店は現在も多数存在するが、かつてのように「カフェバー」と称することはなくなった。その後、2000年代に入ると、サブカルチャーの系譜のコスプレ系飲食店が酒類を提供したり、深夜営業を行うことも多くなった。この際にガールズバーキャバクラなどの水商売との同一視を嫌い、「カフェバー」と称して営業する店舗が出てきている。

脚注

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関連項目

  • この当時、月川は「海外ではケーキやコーヒーを飲んだり食べたりしているそばで、ビールやウイスキーを飲むような光景が当たり前だけど、日本ではまだ日常的じゃなかったから、そんなつまらない概念を取り払うために、この店をオープンさせたけど、後になってマスコミが勝手にカフェバーと名をつけてカテゴライズしてしまった。それにはちっとも納得していない。」と語っている。 1998年 商店建築社「アイ ラブ レストラン」網野由美子参照。