オキアミ

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オキアミ(沖醤蝦)は、軟甲綱 真軟甲亜綱 ホンエビ上目 オキアミ目に属する甲殻類の総称。形態はエビに似るが、胸肢の付け根にが露出することなどで区別できる[1]。体長3~6cmプランクトン生活をおくる。食用、釣り餌熱帯魚の餌(クリル)などに利用される。殻ごと干した干しエビや熱帯魚の餌(クリル)、調味用の魚醤(蝦醤、トラシなど)や塩辛魚肉ソーセージの原料としても知られる。ヒゲクジラ類の主要な餌料。

特徴

外見的には遊泳生のエビ類によく似ており、頭胸部は背甲に覆われ、腹部は6節からなる腹節と尾節からなる。胸部には8節があり、それぞれに附属肢があるが、エビを含む十脚類ではその前3対が顎脚となっているのに対して、オキアミ類ではそのような変形が見られない。第2,第3節が鋏脚として発達する例や、最後の1-2対が退化する例もある。それらの胸部附属肢の基部の節には外に向けて発達した樹枝状の鰓がある。これが背甲に覆われないのもエビ類との違いである。

なお、よく似たものにアミ目のものがあるが、胸脚の基部に鰓がないこと、尾肢に平衡胞がある点などで区別される。分類上はアミ目はフクロエビ上目とされ、系統的にもやや遠いと考えられている。

生殖と発生

雌雄異体で、雄は雌の第6胸脚の基部にある生殖孔に精胞をつける。精子はここに侵入して、一時的に貯精嚢に蓄えられる。受精卵は普通、そのまま海中に放出される。この点も、保育嚢を持つアミ類とは異なる。一部では胸脚の一部が広がって抱卵肢のようになることが知られる。

孵化した幼生は三対の附属肢を持つノープリウスで、二期のノープリウスの後にメタノープリウス期となり、ほぼ体全体が背甲に覆われる。その後、腹部が伸長したカリプトピス期から複眼が柄を持って突き出すフルキリア期を経て、その間に附属肢が発達して成体に至る。生息域によっても異なるが、成熟までに1-3年を要すると考えられている。

生態

全て海産で、その大部分が外洋の表層から中深層を遊泳して生活する。多くの場合、幼生はやや表層で生活し、成熟に連れて次第に深いところへ移動する傾向がある。また、浅海生のものは日周鉛直運動をする。プランクトン食とされ、種によって動物プランクトンか植物プランクトンのどちらを主食とするかが決まっているらしい。

ナンキョクオキアミは南極海において非常に大きな現存量を持ち、生態系全体に大きな影響を持つキーストーン種である。

分類

オキアミ科 Euphausiidae

オキアミ科 テンプレート:Sname

ソコオキアミ科 Bentheuphausiidae

ソコオキアミ科 テンプレート:Sname

  • Bentheuphausia(一属一種)

参考文献

  1. 大塚攻・駒井智幸 「3.甲殻亜門」 『節足動物の多様性と系統』 石川良輔編、岩槻邦男・馬渡峻輔監修、裳華房、2008年、172-268頁
  • 岡田要, 『新日本動物図鑑』, 1976, 図鑑の北隆館

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