ウルトラサウロス

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ウルトラサウロス (Ultrasauros) は、かつて肩甲骨を含む数個の巨大な化石に基づき命名され、史上最大になるであろうと分類されていた竜脚類恐竜の名前である。現在では無効であることが分かっている。

経緯

1979年アメリカコロラド州ドライメサで、恐竜のものと思われる数個の巨大な化石が発見された。特に肩甲骨と思われる化石は当時発見されていたどの恐竜のものより大きく、史上最大の恐竜であろうということで「ウルトラサウルス」(Ultrasaurus) の愛称で呼ばれた。肩甲骨の形状は大きさこそ大きいものの、ブラキオサウルスのものにそっくりであったため、巨大なブラキオサウルスの姿で復元され、マスコミなどに取り上げられた。しかし、1985年にブリガムヤング大学テンプレート:仮リンクがこの化石をUltrasaurus macintoshiとして正式に記載する[1]以前に、ウルトラサウルスの愛称が世界的に有名なのを承知の上で、韓国の古生物学者・金鳳均が、自身が韓国で発見した全く別の竜脚類に1983年にウルトラサウルスと命名し中国韓国の学会誌に記載した[2][3]。そのため、命名権先取の原則によりドライメサの竜脚類にウルトラサウルスという名前が使用できなくなってしまった。

そこで1991年にテンプレート:仮リンクは意味が変わらないようにUltrasaurus の saurus を、ラテン語化した綴りである saurus から、もとのギリシャ語の綴りをラテン語でおきかえた sauros に変更し、正式にウルトラサウロス・マッキントッシ (Ultrasauros macintoshi) の名で記載した。

ところが後の研究で、巨大な骨のうちいくつかはディプロドクス科に属する全く異なる竜脚類であるスーパーサウルス のものであることがわかった[4]。また肩甲骨を含む残りの骨については、ブラキオサウルスについてのその後の発見や比較研究から、ブラキオサウルス属の既知の種ブラキオサウルス・アルティトラックスのものあることがわかった[4]。そのため現在では無効な名前である。なお、金鳳均の命名したウルトラサウルスについても、本人が上腕骨と大腿骨を間違ったことを認めており、現在は無効名である。

出典

テンプレート:Reflisten:Ultrasauros
  1. テンプレート:Cite web
  2. テンプレート:Cite
  3. Haang Mook Kim: [Lower Cretaceous Dinosaur Remains from Korea]. In: Journal of the Geological Society of Korea. Bd. 19, Nr. 3, 1983, S. 115–126.
  4. 4.0 4.1 Curtice, B., Stadtman, K., and Curtice, L. (1996) "A re-assessment of Ultrasauros macintoshi (Jensen, 1985)." Pp. 87-95 in M. Morales (ed.), The Continental Jurassic: Transactions of the Continental Jurassic Symposium, Museum of Northern Arizona Bulletin number 60.