イエローカード

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ファイル:Massimo Busacca, Referee, Switzerland (10).jpg
イエローカードを提示する審判

イエローカード (yellow card) とは一部のスポーツにおいて非紳士的行為等を行った選手に対して審判が警告を宣するときに提示する黄色カードのことである。単にイエローと言い表すこともある。

主にサッカーで見られるが、他のスポーツでも同様に「警告」の意味付けで用いられることがある。また「イエローカード」という語自体が一般化して「次に同じ事を行えば何らかの措置をとる」というニュアンスを持って使われることも多い。

かつては同様の警告・退場処分は主審の口頭によって行われていたが国際試合の多いサッカーでは言葉が通じないことが少なからずある。退場処分を下したにも関わらず、その意図が理解されずにプレーを続行する選手がいたという事態も生じた。そこで見てすぐに理解できるようにカードの提示制度が導入された。

イエローカードは赤色のレッドカードとともに種々の警告行為の態様に合わせて段階的に用いるものとしているスポーツが多い。ただし、警告や注意喚起の方法は必ずしも一様ではなく、例えば競歩では反則の判定にレッドカードが用いられるが歩型の修正にはイエローカードではなくイエローパドルを用いる[1]

サッカー

ルール上の規定

警告者に対してイエローカードを提示する規定はサッカーのルールとなるLaws of the Game日本サッカー協会では「サッカー競技規則」)の第12条、ファウルと不正行為Fouls and Misconduct)の中で規定されている。ファウル (サッカー)も参照の事。

イエローカードは合成樹脂などでできた黄色のプレートで、裏面は対戦する2つのチームに区分され、それぞれ背番号、時間、理由の記入欄が設けられている。

一般的な試合では、累積でイエローカードを2枚突きつけられた選手は直近の同大会の試合については出場停止となる。Jリーグではリーグ戦(J1J2J3のすべて)においては累積4枚で次回の試合出場停止となる

イエローカードが提示される反則

競技者が次の7項目の違反をした場合、警告を与えイエローカードを示すと規定している。

  1. 反スポーツ的行為を犯す
  2. 言葉または行動によって異議を示す
  3. 繰り返し競技規則に違反する
  4. プレーの再開を遅らせる
  5. コーナーキック、フリーキックでプレーを再開するとき、規定の距離を守らない
  6. 主審の承認を得ずにフィールドに入る、または復帰する
  7. 主審の承認を得ずに意図的にフィールドから離れる

警告とイエローカード

イエローカードは前述の通り主審が警告を与えた時に示される有体物であって、警告自体ではない。当該選手やその他の選手、監督、コーチ、副審、観客などはこれにより明確に当該選手が警告されたことを知るのである。

ただしサッカーの話題で「イエローカード」という言葉は「警告」と同義で扱われることが殆どである。

例えばリーグ戦など複数の試合で構成される大会では通常、各試合で受けた警告の数を累積してカウントし一定数(大会によって異なる)に達すると出場停止処分などが課せられる。カウントされるのは「警告の数」であり、「イエローカードの数」というと規則上は正しい表現ではないものの、一般的な会話やテレビ解説などでは「○○選手は、何枚目のイエローで次節出場停止」の様に言われる。

また、「同じ試合の中で2つ目の警告を受ける」と「退場を命じ」られ「レッドカードを示される」が(競技規則第12条)、これも「2枚目のイエロー」などと言われることが多い。尚、この場合、主審は一方の手でイエローカードを示した後、もう一方の手でレッドカードを上にあげて示し2つ目の警告による退場であることを示す。

その他のスポーツ

ラグビー

ラグビーでは悪質な反則や同じ反則を繰り返した選手に対して、イエローカードが提示される。サッカーとは異なり10分間の退出を命じられ、これをシンビン(Sin Bin。Sin=違反+Bin=置場)と呼ぶ。同一試合で2度またはレギュレーション内で3度繰り返すと、レッドカード(退場)となる。

なお、ゼブラカードが設けられて以降はゼブラカードを提示された側のチームの全選手がカード提示を受けたと看做される。

バレーボール

選手や監督、コーチなどのベンチスタッフが不法な行為(暴言をはいたり、行動が悪意な行為)を行うと、主審からチームに対して口頭での警告が与えられる。口頭警告を受けたチームのメンバーが不法な行為を繰り返した場合、主審からイエローカードが提示され、警告が与えられる。またその後、同様の行為を繰り返した場合はレッドカードが掲示され、相手チームには1点が加算、サーブ権も相手に移動する。また、イエローカードとレッドカードを2枚とも片手に持ち、同時に掲示された場合、そのセットのみ退場となり、ペナルティーエリアに隔離される。イエローカードとレッドカードをそれぞれ両手に持ち、提示された場合は、その試合は出場停止となり、試合会場からの退去を命じられる。また、遅延行為の際は、イエローカードやレッドカードを腕に当てて示される。[2]

ビーチバレー

バレーボールと類似のスポーツであるビーチバレーでも、反スポーツ的行為に対してイエローカードが用いられる。ただしイエローカードはあくまで警告の意味で提示され、罰則はない。

ホッケー

フィールドホッケーでは危険・不当な行為もしくは故意の反則があった場合、反則の度合いに応じてイエローカードが提示されることがある。イエローカードは5分間以上(審判が指定した時間)の一時退場を意味する(この他に警告を示すグリーンカード、永久退場を示すレッドカードが用いられる)。

バドミントン

バドミントンでは、公式競技規則において「不品行な振舞い」が定義されている。これに最初に違反した場合、警告となり主審がイエローカードを提示する。罰則はない。不品行の度合いに応じて、レッドカード(フォルト)およびブラックカード(失格)も用いられる。

卓球

卓球では定められた時間以外でコーチが選手に対してアドバイスを与えた場合、審判がイエローカードを提示して警告する。レッドカード(退場)も用いられる。

ハンドボール

ファイル:Yellow card handball.jpg
ハンドボールの試合でイエローカードを提示する審判

ハンドボールでは4種類の罰則(警告、退場、失格、追放)のうち警告で出され、危険な反則やスポーツマンシップに反する行為と審判が判断した場合に提示される。

フットサルとビーチサッカー

サッカーに類似したスポーツであるフットサルおよびビーチサッカーでも、同様にイエローカードのルールが定義されている。運用方法はサッカーとほぼ同様である。

K-1

K-1においてもイエローカードのルールが定義されている。

当初は警告処分を表し1試合で2枚もらうとレッドカードを提示され減点となっていたが、2005年のルール改正後は減点を表し3枚もらうとレッドカードを提示され失格となる。

ソフトテニス

ソフトテニスにおいては、競技規則第41条に警告に関する記述がある。 ソフトテニスでの警告の運用はサッカーと異なり、イエローカードとレッドカードの区別はなく、どちらも同じ「警告」として扱われる。 1度目、2度目の警告はアンパイアよりイエローカードが提示され、3度目の警告で(アンパイアがレフェリーと協議のうえ)レッドカードを提示し試合終了(レフェリーストップ・ゲームセット)となる。サッカーのように「一発レッド」などと言われる一度の警告で試合打ち切りになることはない。

柔道

柔道において、指導の累積はイエローカードで表示される。

ゴルフ

日本女子プロゴルフ協会(LPGA)では2012年から、遅延行為(スロープレー)に対して従来口頭による注意からイエローカードによる警告を試験的に導入している[3]

その他注意文書

スポーツに限らず黄色の注意文書をイエローカードと称している場合があり、例えば自転車の交通マナーの監視指導などで「イエローカード」と称する注意文書を手渡している警察署もある[4]

脚注

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関連項目

テンプレート:Sister

sl:Kazenski karton#Rumeni karton
  1. 競歩競技 日本陸上競技連盟
  2. 2014年度版バレーボール6人制競技規則 (日本バレーボール協会発行)
  3. 遅延行為(スロープレー)に対してイエローカードによる警告を試験的に導入 - 日本女子プロゴルフ協会(2012年3月2日)
  4. テンプレート:Cite web