アーラン分布

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アーラン分布(アーランぶんぷ、Erlang distribution)は、待ち行列の待ち時間を計算するためにデンマーク数学者アーランが提唱した確率分布であり、特に通信トラヒック工学で使われる。

定義と性質

アーラン分布は2つのパラメータλ(正数)およびn(正整数)によって定まり、その確率密度関数は次のように定義される。

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等価な定義として、パラメータ<math>\theta = 1/\lambda</math>を用いて次のように表されることもある。

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アーラン分布の累積分布関数は、以下のように求められる。

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定義より(あるいは後述する指数確率変数を用いた解釈により)期待値E(X)および分散V(X)は以下のようになる。

テンプレート:Indent = n\theta^{2}</math>}}

他の分布との関係

ガンマ分布との関係

定義より、アーラン分布はガンマ分布で形状母数 k を正整数に限定したものといえる。また、相型分布の特別な場合でもある。

指数分布の和との関係

アーラン分布は、互いに独立で同一の指数分布に従う確率変数の和を用いて解釈することができる。すなわち、互いに独立でパラメータλの指数分布に従うn個の確率変数<math>X_1, X_2, \ldots, X_n</math>に対して、その和で表される確率変数<math>S_n = X_1 + X_2 + \cdots + X_n</math>はパラメータλ, nのアーラン分布に従う。n=1の場合は、明らかに指数分布に一致する。

ポアソン分布との関係

Snをパラメータλおよびnのアーラン分布に従う連続確率変数とし、N(t)をパラメータλt(ただしt > 0)のポアソン分布に従う離散確率変数とすると、両者の間には

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なる関係が成立する。これはアーラン分布の累積分布関数の形から明らかであるが、指数分布を用いた説明も可能である。すなわち、互いに独立で同一の指数分布に従う時間間隔で生起する事象列を観測するとき、Snn回目の事象が生起した時点であり、N(t)は時点tまでに生起した事象の数を意味する。「n回目の事象が生起した時点がt以前である」という事象は、「時点tまでに少なくともn回の事象が起きている」という事象と等しいため、この等式が成立する。

関連項目

テンプレート:確率分布一覧