アレース

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
2014年5月12日 (月) 07:38時点における極楽サタン (トーク)による版 (神話)
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
移動先: 案内検索
ファイル:Ares Ludovisi Altemps Inv8602 n2.jpg
紀元前約320年のギリシアの原物を摸したローマのLudovisi Ares. 紀元17世紀にはベルニーニによる修復が加えられている。

テンプレート:Greek mythology

アレスもしくはアーレーステンプレート:Lang-grc-short)は、ギリシア神話に登場する神で、戦を司る[1]ゼウスヘーラーの子とされる[1]オリュンポス十二神の一柱[1]。アイオリス方言ではアレウスもしくはアーレウスἌρευς, Areus)とも。日本語では長母音を省略してアレスとも呼ばれる[1]。聖獣はオオカミイノシシで聖鳥は啄木鳥雄鶏。聖樹はトネリコ

本来は戦闘時の狂乱を神格化したもので、恩恵をもたらす神というより荒ぶる神として畏怖された[2]。「城壁の破壊者」の二つ名がある。戦争における栄誉や計略を表すアテーナーに対して、戦場での狂乱と破壊の側面を表す[2]。その性格も粗野で残忍、かつ不誠実であった。

神話

人間であるディオメーデースに敗北したり(アテーナーがディオメーデースの支援をしていたが)、巨人の兄弟アローアダイ(オートスとエピアルテース)により青銅の壺の中に13か月間幽閉されるなど、神話ではいいエピソードがない[1]。これはアレースの好戦的な神格がギリシア人にとって不評だったこと、主にギリシアにとって蛮地であるトラーキアで崇拝されていたことによる[2]

基本的に神々の中では嫌われているが、愛人のアプロディーテーや従者と子供達、そして彼が引き起こした戦争が冥界の住人を増やすことから、冥界の王・ハーデースとは交際がある。

戦場では普段は徒歩だが、場合によっては黄金の額帯を付けた足の速い4頭の神馬に戦車を引かせ、青銅の鎧を着込んで両手に巨大な槍を持ち、戦場を駆け巡った[2]

男神の中では1、2を争う程の美貌を持っている。身長も高く、人間の前には大抵人間サイズの大きさで現れるが、真の姿だと、その身長は200メートルを優に超える。体重は不明である。

ポセイドーンの息子の1人・ハリロティオースがアレースの娘アルキッペーを犯し、激怒したアレースはハリロティオースを撲殺した[1]。ポセイドーンは激怒し、アレースを神々の裁判にかけることを主張し、それを認められた[1]。こうしてアレースの丘で世界初の裁判が開かれることになった[1]。アレースは情状酌量の余地があるとして無罪となり、これ以降重大事件の裁判がアレースの丘で行われるようになった[2]

係累

ヘーパイストスの妻であるアプロディーテーを恋人とし、ポボス(フォボス、敗走)とデイモス(恐慌)の兄弟、娘ハルモニアー(調和)の父となった[1]エロースをアレースとアプロディーテーの子に加える説もあるが、これは元々関係のなかったアプロディーテーとエロースを関連付けるために作られたものである[1]。他にも、アマゾーンをはじめとする多くの蛮族の父である[1]

また、エリスエニューオーも彼の従者であり一般的には妹とされているが[1]、姉や妻とされることも多く、また特にエニューオーは母や娘とされていることもある。

命名

ローマ神話マールスに相当し[1]、また火星と同一視される。このため火星と同様に赤く輝く天体であるさそり座のα星はアンタレス(アンチ・アレス、アレスに対抗する者の意)と呼ばれている。火星の衛星フォボスダイモスはアレースの子の名から採られている。

出典

テンプレート:Reflist テンプレート:Sister テンプレート:オリュンポス十二神

テンプレート:Grmyth-stubテンプレート:Link GA

  1. 1.00 1.01 1.02 1.03 1.04 1.05 1.06 1.07 1.08 1.09 1.10 1.11 1.12 マイケル・グラント、ジョン・ヘイゼル 『ギリシア・ローマ神話事典』 大修館書店
  2. 2.0 2.1 2.2 2.3 2.4 フェリックス・ギラン 『ギリシア神話』 青土社